十和利山熊害事件の始まり
2016年5月から6月にかけて、平成最悪の熊被害と言われる「十和利山熊害事件」がありました。その最初の被害者は私の祖父でした。何があったか、後世に伝わるか分かりませんが参考にして頂けると幸いです。結構主観的に書いていきます。
高校3年生に進級しGWが明けた天気のいい春先だった。私は大学受験の為にテスト勉強に励んでいた。もしかしたらこのテストの結果で推薦枠が貰えるかもしれない。大学、受かって、東京に行きたい。夏のAOで受かればその後友達ともたっぷり遊べる。そんな思いで必死に猛勉強していた。一緒に住んでいる父と祖父母も応援してくれていた。
祖父母は山菜採りをしていた。いつもは17時頃に2人とも帰ってくる。
でも、その日は少し遅い。
18時になっても、戻らない。
たまに祖父母が昔住んでいた家で山菜を加工して遅くなる日がある。今日もそれだろう。
19時半になった。
遅い。いくら何でも遅すぎる。
だんだんと変な胸騒ぎがする。
その日、金曜日だったが父は配達の仕事は休みで、リビングでテレビを見ていた。
私はリビングに飲み物を取りに行く。
「じいさんとばあさん、おせな(遅いな)」
父が話しかけてくる。
「山菜加工してらんでねが(してるんじゃない)」
私は答えるが、嫌な予感はする。
そして、その予感は父も感じている。
お互い無言になり、私は部屋へ戻る。
テストの最中なので、勉強再開だ。
と、思った瞬間。
「ガチャン!!!!!」
玄関の扉が勢いよく開いた。
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