喧騒と憧れと #ネパール旅行記 vol.1
2023年8月2日
4時に起きると、空はまだ暗かった。ものすごく眠かったけど、頑張って支度をする。夜まで仕事をしたりして、なんだかんだで結局2時間しか眠れなかった。逗子駅の始発に乗って、大船で成田エクスプレスに乗り変える。寝不足だと全然頭が働かない。電車の中で少しでも眠りたかった。
目を瞑ってボーッとしていると、東京駅から乗ってきた欧米人のファミリーから、懐かしい香りがふわっと漂ってきた。去年ベネチアで、間に合わせに買った化粧品の香りと同じだった。香りは記憶と強く結びつく。今回の旅も、色々な匂いを体験するんだろう。そしてこんな風に、不意に思い出す時がくるんだろうな。
成田空港に着いて、電光掲示板を確認する。カトマンズ、カトマンズ……あった!カトマンズ行きのフライトの時間が変更されたと出ている。出発10:30→12:00。おおぅ、マジですか…。
成田に着いたのは7:20。まだ4時間以上ある…とにかく横になって寝たい。仕方がないので、とりあえずカフェでぼーっとする。そうだ、両替をしないといけないんだった。
両替所に行き、紙に記入していく。とりあえず予備としてUSドルを3万円くらいと、ネパールルピーを3万円くらいで考えていた。でも、ネパールルピーの記入欄が無い。窓口で聞いてみると、成田空港ではどこもネパールルピーの両替は行っていないとのこと。そうか、考えても無かったけど、確かに全部の国の通貨を扱っている訳ではないよね。とりあえず米ドルだけ両替してもらう。
今回乗るのはネパール航空。搭乗ロビーのGate87に向かう。額に赤い印をつけた、ヒンドゥー教徒の人がたくさんいてドキッとする。額の印の場所も割とまちまちで、私の前にいる人は、センターに分けた分け目のところを赤くしている。鮮やかでなんだか見てはいけないような気がして目をそらす。
長い待ち時間の末、ようやく搭乗。8時間のフライト。これがなかなかきつかった。喉が痛い!ペットボトルの水を買い忘れるというミス。もともと喉の調子がイマイチだったから、機内が乾燥していて思わずむせる。
ネパールの空港は世界一着陸が難しいと言われているらしい。飛行機が無事に滑走路に降りると、機内からわーっと拍手が鳴った。なんだかほっこりした気持ちになる。あぁ、初めての国って、どうしてこんなにワクワクするんだろう。憧れのネパール!最高に生きてる!って感じ。
飛行機から降りる前に、今回の旅で心がけたいことを書き出した。それは「ゆっくりと味わう」ということ。焦らない。なるべくゆっくり、ゆっくり。そして楽しむ!
空港に着いたら、VISAをとって、現地のSIMカードを買い、ホテルまでのタクシーに乗り込む、という予定だった。勝手が分からずに焦りそうになるところを、ゆっくりゆっくり、と心で思う。私が少しでも迷っていそうな雰囲気を出すと、すぐにネパールの人は、こっちだよ、と案内してくれる。みんなすごく親切でニコニコしていて優しい。着いて早々、こんなに安心感があるなんて。
タクシーに乗って、今夜の宿を目指す。宿があるタメル地区は、昔からバックパッカーの聖地らしく、沢木耕太郎の深夜特急にも出てくる。さすがに一泊300円の安宿に泊まったりは、もうしないけれど、今でもそうやってここを目指してくる人はたくさんいるみたい。
最初の二泊だけbooking.comであらかじめ予約しておいた「The Melo Pomelo Courtyard」というB&B。若いネパール人の夫婦が出迎えてくれた。中庭には大きなマンゴーの木があって、鳥もたくさんいる。一瞬でここを選んで大正解!と嬉しくなった。
4か月前にここをオープンしたばかりで、日本人は私が初めてだという。日本のドラマをNetflixで観て、日本人と話してみたかったんだよね、というので、なんのドラマ?と聞くと「テラスハウス」。テラスハウスかぁ……観てないけれど、なんとも不思議な気持ち。
中庭で2人と少しお喋りしてから、夕飯を食べに出かけることにした。バックパックを置いて、最初の街歩きが1番ワクワクする瞬間かもしれない。ここに来るまでのタクシーからの景色もすごかったけれど、実際に歩いてみても、すごい交通量。車もバイクも人も、みんなそれぞれのペースで動いている。
時間は19時を少し回ったところ。まだまだ人がたくさん歩いている。道端にある祭壇のようなところで、鈴の音を鳴らしながら熱心にお祈りをする人。鮮やかなサリーを身に纏う女性たち。信じられないくらいのボリュームになっている電線の束。あちこちで工事をしたり、何かを作ったりしている。
ネパール、かなり好きな国になるかもしれない、と強く思った。
今は雨季で、事前の予報だと1週間毎日「雷雨」のマークが出ていたけれど、雨には降られなかった。少しだけ地面が湿っているくらい。乾季はそうとう空気が悪そうだな、と思う。自分が今、喉をやられているのもあると思うけど、とにかく排気ガスと砂埃がすごい。
宿の人に教えてもらったチベット料理のお店「Yangling Tibetan Restaurant」へ。チベット料理のモモと、蜂蜜入りのラッシーを頼む。モモはいわゆる水餃子だった。美味しかったけど、疲れているからか1人で10個は多く感じる。2階の窓際の席から、外を眺める。意外と後から、こういう何気ない風景が思い出されるんだよな、なんて思いながら食事をする。
帰ってきたらどっと疲れが。やっぱり喉の調子が良くない。ソファでウトウトしてしまい、慌ててシャワーを浴びたりしていたら、いつの間にか夜中の1時。長い1日だった…。
明日の予定は決めずに寝ることにする。やらなきゃいけないことなんて、一つもない。明日の私、よろしく頼むよ!おやすみなさい。