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臨月。出産に臨む今の気持ち

ようやくようやくここまで来た、妊娠36週。つまり妊娠10ヶ月に入った。数日前からお腹を下した時のような痛みがちょこちょこあって、どうやらこれが前駆陣痛というものらしいと気づいてから、慌てて入院に必要なものをネットで注文したり、1日5000歩以上を目標にヒィヒィ言いながら散歩したりして過ごしている。とにかく酸素が常に薄い感じと、体重の増加による腰&膝への負担で歩くのも一苦労。

予定日まではちょうど1ヶ月くらいあるんだけど、なんとなく少し早めに産まれるのではないかと予感している。分かんないけど、ね。

さて。私は自然分娩で産む予定である。

正直、妊娠する前は無痛分娩が選べるなら絶対そっち!痛く無いほうが良いに決まってるじゃん!と思っていた。妊娠が分かってからも無痛分娩が出来る産院を探してみたり、実際行ってみたりもして結構迷った。でも結局、家から一番近い(なんといっても車で5分の距離)個人病院で産むことにした。それも割と成り行きというか、ここで産みたい!と決めたというより、無痛分娩が出来る病院が近くに無かったことと、自分が側湾症であり、背骨からの麻酔にリスクがあることを知ってから、そっちの恐怖心も出てきてしまって。だったら家からこんなに近くに産院があるのも何かのご縁かもな〜ご飯も美味しいらしいし、助産師さんもみんな親切だし、なんて流れに任せて決めたのだった。だから時々、本当に無痛分娩じゃなくて良いのか自分…って思ったり、結構いつまでも煮えきらない気持ちをどこかで抱えていた。

でも今は「自然分娩で産む」ということに対してポジティブな気持ちだ。ちょっと楽しみですらある。

これまでソフロロジー法という、呼吸に意識を向けた穏やかな出産動画を見たり本を読んだりして、出産に対して恐怖心じゃなくて、なるべく良いイメージを持つように意識してきた。だけど楽しみだとか、そこまでの気持ちにはなかなかなれなかった。自分がこういう気持ちで出産に臨めるようになるとは、数日前にも思っていなかった。

きっかけはYouTubeで「アミプラ」という助産師さん2人がやっている動画を見たことだった。

たくさん動画を出されているから、全部見たわけではないけれど「出産は思考ではなく心と身体をフル活動させる」とか「頭で考えることを超えてくる」というお話が、最近自分が考えていたことと重なって、出産ってそういう体験が出来る可能性があるのか…と思ったら、めちゃくちゃ貴重な1日になるよな、と急に気づかされたのだった。

「とにかく頭で考えない」というアドバイスが響いた。

私の場合、妊娠中は常に具合も悪いし分からないことが多すぎて、自分がよく陥りがちな、左脳が働きまくって思考がグルグルすることが多かった。何で女性ばっかりこんな大変な目に合わないといけないんだろう、とか、もう2度とこんな苦しい思いはしたくない、ましてや2人目なんて絶対に考えられない!とか。ほんとグチグチ言っていた(笑)。妊娠後期に入って、長かった悪阻の余韻から抜け出すことが出来てから、少し冷静に自分を見つめなおしてみて、この感じで出産まで行ったらダメだ、とは思っていた。悪阻がトラウマになってしまっていて、このままでは妊娠が辛い辛いと思い続けた記憶になってしまう。そんなの、なんか違う。

そもそも妊娠は自分自身が望んだことなのに、いつの間にこんなに主体性が無くなっていたんだろう。まるで誰かにやらされているかのような被害妄想が、いつの間にか大きくなっていた。健全な精神は健全な身体に宿ると昔から言うけれど、確かに具合が悪いと心は簡単に病んでいくということを悪阻によって体験した。「悪阻は病気じゃない」という言葉も、悪阻中にはとてもキツく感じた。

でも今は、やっとあの悪阻という体験にも感謝出来るようになってきた。うーん、信じられない。
3ヶ月半の妊娠悪阻は人生で一番辛かったとまで思ったし、仕事が出来なくなったことが本当に悔しくて、こんなはずじゃなかったのにってどこかで思い続けてきたけれど、今は、仕事が強制的にストップされたことで、妊娠に伴う痛みも苦しみもじっくりと味わうことが出来たと考えられるようになった。そして吐き続けた地獄のような悪阻の期間にも、もちろん幸福もあった。結果的にだけど「妊娠中」という人生の中の限られた時間に集中出来たことは、有難い経験以外の何ものでもなかったと今は思えている。夫の最大限のサポートのお陰ももちろんあるし、何よりお腹の中の子が臨月まで順調に育ってくれたこと。それだけですべてが報われる。

過ぎたことだから言えることだとは思うけれど、人間って「忘れていく」という素晴らしい能力が備わっているんだよね。

陣痛中はリラックスすることが出来ていれば、ちゃんと脳内麻薬的なホルモンが出て、赤ちゃんと言葉ではないコミュニケーションがとれるらしい。そして赤ちゃんに2人の世界に連れていかれる、とか。そのとき周りは関係ない、と動画の中の助産師さんは話していた。この間会った友人は、陣痛中にモンゴルの草原を白い馬が駆けている映像がずっと流れていたらしい。だからいつか息子とモンゴルに行くんだ、と話していて面白いなと思った。

私はどんな経験になるだろう。イメージしてもきっと思い通りにはならないだろうけど「母子ともに健康に産む!」ということだけは思っておいて、後はただ身体と赤ちゃんの感覚だけに身を任せて、命の巡りを感じたい。そんな経験になるといい。

もうとことん味わうぞ!と腹を括ったり、まぁ普通に怖くなったり、まだゆらゆら揺れてるけれど。

今はそんな風に思っている。
妊娠36週4日、予定日まで24日の今の気持ち。

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藤井 友梨香
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