見出し画像

胎動

この間会った年上の友人が
「胎動の感覚って忘れちゃうんだよね」
と言っていた。そういえば痛かったなぁとかは覚えているんだけど、どんな感じだったかはもう思い出せないという。

臨月の今、毎日ものすごく感じている胎動。人によって感じ方は様々で、お腹の中で魚が泳いでいるみたい、とか腸の動きと区別がつかない、とか色々な意見をみかけた。ほとんど分からなかったという人もいた。妊娠してから、本当に身体感覚というのは「人によって違う」ということが、頭では理解していたけれど、こんなにも違うのかと実感することが多い。

私の場合、胎動をどう感じたかというと、最初のほうは瞼の痙攣に似ていると思った。自分の意思で動かしていないのに、身体の一部がピクピク動いているあの不思議な感じ。

胎動を感じる前の妊娠初期は、まだお腹も出ていないしとにかく潰さないように気をつけていた。お腹の中に赤ちゃんがいる♡なんて感じではまったくなく、悪阻の真っ最中でもあったし、自分の臓器の一部がなんかすごい事になってるわ…みたいな、腫れものを扱うようなよそよそしさで、ただ順調に育ってくれますように、とだけ思って経過を見つめていた。そこからだんだんお腹の表面に泡のようなものが移動しているような感覚が出てきて、これが胎動か!とハッキリ分かったのは16週(妊娠5ヶ月)くらいだった。

胎動を感じられるようになると、ちゃんと生きているって分かるから、少し安心出来るようになる。

妊娠34週の頃の日記を見返すとこう書いてあった。

胎動すごい。たまに肋骨まで蹴られて痛いときもある。ぐいーーーん、と動く時の感じを表現するなら、マッサージチェアで背中をぐいーんとやられるあれだ、モミ玉。あれがお腹の内側からやられている感じ。目で見てもお腹が変形しているのが分かって、おわっと変な声が出てしまう。

そして38週の現在、胎動がもはや痛い。肋骨や腰骨をグリグリやられるし、下のほうだと膀胱に直撃を受けたりする。それ以上伸びないってー!というくらいお腹の皮膚が伸ばされて、もー痒くて痒くて、とうとう掻いていた皮膚が赤黒くなってきてしまった。妊娠線になるだろうなこりゃ…。割と初期のほうからお風呂上がりにオイルを塗りたくっていたけれど、いくらこまめにオイルを塗ってても妊娠線は出来る人は出来るらしい。仕方ない。もうこれくらいのマイナートラブルは諦めて受け入れる。

ていうか私の胃はどこにいったんだろう??胃炎でしょっちゅう痛んでいた鳩尾のあたりは、だいたい中央よりやや左側がポコっと膨らんでいて、どうやら胃だった場所には今、赤子の踵があるらしい。トントン、と手で触ってみたりすると、押し返されて普通にグエッっとなる。なんならそこから吐き気に繋がって吐いたりしている。産む直前まで吐いていました、という恐ろしいブログを悪阻の時期に読んで震えていたけれど、自分もそうなるとは…。ま、もういいけどね!あとちょっとだしさ!

一体内臓は今、どういう位置にあるんだろうと「臨月 内臓の位置」とかで画像検索してみるも、なんかいまいちピンとこない。

なんていうか、妊娠出産ってなんでこんなに痛みや苦しみが付き纏うんだろう、とたびたび思ってしまう。なんかもっと良いやり方があっただろうに人類…と気が遠くなるような。だけどそこに思考を広げても仕方がないよな、とも思う。そういうもんなんだって次から次へと受け入れていく日々。そうやって少しずつ自分の許容範囲が広がっているのかも、とポジティブにとらえよう。

今日から妊娠38週。37週〜39週に産まれる人が大半らしいから、もういつ産まれてもおかしくない。そして今日は新月なんだよね。今日お産になる人もたくさんいるんだろうな。それが私になる確率も低くはない。まだ信じられないけど。

お腹の中の君の誕生日は、いつになるんだろうね?
もうすぐ分かるんだけど。もういつでも大丈夫だよ〜!

いいなと思ったら応援しよう!

藤井 友梨香
記事を読んでいただいてありがとうございます。いただいたサポートは、次のだれかの元へ、気持ちよく循環させていけたらと思っています。