見出し画像

ウズベキスタンdiary5 「ヒヴァで手刺繍のスザニを探す」

ヒヴァはとっても期待していた場所だった。ウズベキスタンに行く事を決めるキッカケとなった写真もヒヴァを写したモノだったし、noteでウズベキスタンについて書いてある記事をいくつか読んでも、とっても楽しそう。特に買い物が!

ここでは物欲を爆発させるつもりでいた。ウズベキスタンの伝統刺繍であるスザニの布も一枚くらい欲しいし、陶器もたくさん見れそう。noteには現地のお姉さんと仲良くなって、素敵な布やティーカップを買ったりしている記事があって、そんなやり取りも夢を膨らませてくれた。

……だったんだけど!

画像7


ヒヴァは、城壁に囲まれた小さな町だ。中世の時代からほぼ完璧な形で残されているという建物は、みな乾いた土の色で、大きなミナレットやモスクには、美しい青が基調のタイルやモザイクが装飾されている。街全体が、博物館のよう。


正面に大きな門があり、その手前でタクシーから降りた。時刻は午後3時を過ぎた頃。ヌクスからここまで連れてきてくれたタクシーの運転手さんは、私達が泊まる宿に電話をしてくれて、宿の場所まで案内してくれた。とっても優しい人だった。

宿に向かう道の両脇には、たくさんの出店が並んでいた。カラフルなストールや器が並んでいる。ワクワクしながら見ていると、夫が

「うわ〜〜〜完全に観光地だね………」

と苦々しく呟いた。
なにぃぃぃぃ〜〜〜人が楽しみにしてるのにテンション下がる事言うな〜!と内心ムッとしながらも、宿に着いた。

画像7

ヒヴァの宿は「Qutlug Qadam Guest House」という、3ヶ月前に出来たばかりのところで、玄関を入ってすぐ両側に2部屋、その奥は家族が暮らしているようだった。二人で36US $。小さな男の子が2人、真ん中の吹き抜けになっているリビングで走り回っている。

荷物を置いてすぐ、街に出た。宿は中心地からそんなに離れていない。というか城壁の中はそれほど広くないし、大きなミナレットが建っているので、方向感覚が掴みやすく歩きやすかった。

まずはミナレットに登って、上から街の全体を見てみたい!ので、ヒヴァで一番高い「イスラム・ホジャ・ミナレット」に登ってみることにした。

画像2

このミナレット、中世に作られただけあって階段が物凄く急な上に、すれ違うのも難しくて、登る時は、壁にくっついて降りる人を優先させて登った。階段もツルツルで、結構怖い。高所恐怖症&閉所恐怖症の人には辛いと思われる。

そして私はこのミナレットに登ったお陰で、翌日から太ももがあり得ないほど筋肉痛になった(泣)運動不足の人は要注意かもしれない........。

でも!この頂上からの眺め。ここからの景色を、私は誰かのTwitterでたまたま見かけて、ウズベキスタン行きを考え始めたんだ。ここに来れて、嬉しい。

画像1

街を散歩しながらお店の品物を見始めた。土っぽい街の中にたくさんの露天が並んでいる。小さなお店がたくさんで期待が膨らむ。


ところが。最初はカラフルで楽しかったんだけど、だんだん、あれ??という違和感が……

あれ???なんか………商品が.................死んでる………(泣)

人の手が生み出したものは、どうしたってそこに生命力のようなものが宿るものだ。感覚的な話かもしれないけど、良いものほどそれが強いと思う。機械で作られたものは均一的過ぎるところがある。要は、どれも同じに見えてしまって決めてにかけるのだ。

ウズベキスタンの伝統刺繍のスザニは、手刺繍な上に、糸も天然の染料を使って染めたものだそうだ。付け焼き刃の知識だったけど、そういうものが観れるのだと、勝手に期待していた。

画像3

写真上:ヒヴァの工芸センターにかけられていた、天然の染料で染められた糸

だけど、ヒヴァにあるお店のほとんどの物は大量生産の機械織&合成染料だった。夫がいうように観光地なのだから、当たり前といえば当たり前なのかもしれなかった。

可愛いものも、たくさんある。風景として見ているだけなら、全然良い。ていうか機械織りのものも、もちろん買いました。だけどやっぱり!ちゃんとした手仕事の物も一枚くらい欲しい。

でも、歩いても歩いても見つからない。

結局カフェに入り、ネットで情報が無いか血眼になって探した結果(物欲大放出)広場の前のお店が手刺繍のものが買えると書いてあったので行ってみることに。

画像7

お店の前に掛けられていたスザニ。可愛い!!!!

ここのお店は確かに、ちゃんと手刺繍のものを扱っていた。手刺繍か機械織かは、裏地の縫い目を見ればすぐ分かるよ、とお店のおじさんが教えてくれた。 

手刺繍のものは、裏地の刺繍糸の端が玉結びになっている。そしてやっぱり縫い目が不揃いで、そういった綻びから想像力が広がって行く。

どんな人がこれを作ったのかな。

手刺繍のスザニは、まるで一冊の絵本のような物語性に溢れていた。

お店のおじさんに模様の説明もしてもらった。ザクロは子孫繁栄、トウガラシは魔除け、この枕みたいなモチーフは?…...あぁ、それはクラン(家系)だね。家紋みたいなものかな〜。などなど。

画像8

これがその「枕」みたいなモチーフ。かわいい。。。


おじさんが次々と広げて見せてくれる。同じものは一枚も無い。みんな違う模様だ。これこれ!こういうのが観たかったんだよ〜!

その中から、これかなぁ〜という一枚を選んだ。
真ん中に植物の蔦が万華鏡のようにデザインされている。模様の中にちょこちょこと散りばめられた鳥や花瓶のモチーフも可愛い。だいたい15000円くらいだった。

画像9

おじさんはここでずっとお店をやっていて、4人の子供を育てているそうだ。携帯で撮った、子供達の可愛い写真をニコニコしながら見せてくれた。


ちなみに、ヒヴァの工芸センターに行けば、手織りをしているところや染物をしているところが見られます。ものすごい技術!

画像7

後から知ったことだけど、スザニの最盛期は18〜19世紀で、ソ連に併合された時にスザニを作ることを規制されたために、一度廃れてしまったそうだ。その後国が独立して、欧米人の愛好家から注目されるようになってから、その価値が再認識されて、今ではNGOなどの力を借りながら、伝統工芸として技を継承して行こうという段階のようだ。

このスザニをきっかけに、帰国後、少数民族の手工芸にどハマりし、それは今も続いています。2020年は、ウズベキスタンやハノイで出会った民族柄が作品に取り入れられる予感です。

すっかり止まっていたウズベキスタン編、まずは最後まで書ききるのが目標になりつつあります・・・やっぱり毎日文章書いている人って凄いなぁ!それが分かっただけでも大きな収穫かも。

いいなと思ったら応援しよう!

藤井 友梨香
記事を読んでいただいてありがとうございます。いただいたサポートは、次のだれかの元へ、気持ちよく循環させていけたらと思っています。