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紛失神が1年ぶりにピアスを買ったら破壊神になった〜形あるものはいつか壊れる編〜
久しぶりに日記になってしまったが6月はベルリンで人生初個展をし、展示、パフォーマンス、ワークショップとやりたい事を詰め込んだ。
7月に入ってからは魔女が春に集まる事で有名なブロッケン山に登り、蒸気機関車に乗った。
疲れが出たのか1週間風邪で床に伏せ、ゼリーが大好きになり、誕生日の16日は合同誕生日パーティーを開き、DJ、ダンサー、演奏家のゲストとともに盛り上がり芸能人並みの大きさのケーキが一瞬でなくなった。
これらのことは追い追いメモとして残そうと思う。
個展のオープニングパーティに合わせて着るものとアクセサリーを調達しようと買い物に出た。
ベルリンという街に移り住むと、周りを全く気にせず自分のしたい格好をするようになるか、全く見た目にこだわらなくなるかの二つに分かれる。
私はというと好きで髪を青く染め続けているものの、この3年着るものは貰い物か拾い物ばかり、アクセサリーもほとんど失くすのでつけることもなくなっていた。
特にピアスは大敵であんな小さいものをみんなどうやって管理しているのか世界七不思議である。
中でもキャッチタイプは大の危険で、耳から取った瞬間にどこかに消えてしまう、私の耳の付近には小さいブラックホールが現れるんじゃないかと疑うほど。
17年来の付き合いのいくつかのピアスホールも、そろそろ自分が作り出された存在意義を問い始める頃だろう。
頑張って悟りを開いてほしいものだ。
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とはいえ数年ぶりに着飾りたいと思えるシチュエーション、ここはひとつ気に入ったものを買って大事に使おうとアクセサリーも置いてある服屋に足を踏み入れた。
綺麗に並ぶピアスを眺める、とてもワクワクする。
キャッチタイプは避け大きすぎないリングタイプ、髪色似合うシルバーにした。
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またなくすんじゃないか、という一抹の不安はかき消され、新しいピアスにテンションが上がる。
店を出てすぐに袋から取り出し、耳につけてみる。
今気がついたが、私には買ったらすぐに物を開封する癖がある。
梱包と共に説明書やレシートもゴミ箱に捨てて後で困ったりするのだ。
手に入れた獲物をその場で食べる動物的な本能なのだろうか。
ハンドメイドのピアスは繊細なのでゆっくりリング部分を開いてみる。
開かない。
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どうやら細い部分は可動式でなく力ずくで開く模様。
持ち前の力を微細に調整しながらリングを広げると、まるで枯れた花びらが落ちるように一部が折れ石畳に落ちた。
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やっぱり形あるものは壊れる、というか壊してしまう。
諸行無常を痛いほど感じる。
芸術家である私はやはり何かを破壊し、そこから創世するしかないのか。
残ったリング部分を耳たぶにねじ込んでみる、なんと無事貫通した。
さらに欠けた部分を塞ぐために指で思い切りリングを閉じると、最初よりも一回り小さいだけのシンプルで美しいリングピアスになった。
このサイズの方がしっくりくる。
破壊神と創造神は自分の中に存在している、であれば、紛失神とペアで発見神も自分の中にいるのだろうか。
服屋はここ