恋じゃねえから
渡辺ペコ『恋じゃねえから』(講談社)
5巻まで一気読みしました。
前々から気になっていた作品だったが、ようやく。
本当に多くの人に読んでほしい。
タイトルが作品のあらゆる場面で深く響いていて、その巧妙さに驚かされる。
振り返ることのできない過去があると、自分の人生が一本の連続した線として認識できず、記憶が断片化してしまう。
その結果、どこか不安定で心細い感覚に苛まれる。そんな感覚にものすごく共感した。
過去に蓋をして生きてきたとしても、それに向き合った瞬間、停滞していた時間が流れ始め、ようやく過去が現在に繋がる。
その描写が胸に刺さる。
「通じ合えている」と思い込むことの傲慢さと、「助けてほしい」と願う切実な気持ち。
その複雑さがとてもリアルで胸のざわざわが抑えられない。
そして、性加害というテーマに対して、この作品が持つ厳然とした視点は本当に重要だと感じる。
重たいテーマを扱いながらも、一気に読ませる力があって、読み終わった後は涙が止まらない。
一気読み必至。
多くの人に読んでもらいたい。