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合否通知が来ない、これは当たり前か?
「合格した方のみ、ご連絡をします」
応募が完了し、このようなメッセージを受け取ることがよくある。まだまだ「企業優勢」の採用の世界では、仕方ないと思う人が多いかもしれない。だが、数々の企業の採用業務をし、かつ、数々の企業に応募した不合格通知を受け取った私は声を大にして言いたい、「それって失礼じゃない?」
そもそもなぜ、合否の通知、正確には「不合格の通知」を企業は送らないのか。だいたいが、
めんどくさい、文句を言われたくない
という企業、採用担当の保守的な言い訳なのだ。大勢の男性アイドルタレントを抱える"J"芸能事務所ならば、1日何百通と履歴書が郵送され、合否の手紙や電話で返信するのは確かに大変だ。それに、「明確な合否通知がない」というのが、ある意味この事務所の「企業文化」が世間に広く認知され、それも含め、承知で応募してくる。だが、そんなに処理しきれないほど中途採用の応募が来る一般企業などめったにない。むしろ、そういう企業は、自動に合否を送信できるシステムは導入済だし、仮に今回は不合格でも、未来の求人でマッチする人材を検索でき、企業から声をかけることが出来るAIだってあるのだ。
確かに、ごくまれだが、「どうして不合格なのか、理由が知りたい」と、問い合わせ(いうなればクレーム)をしてくる人がいる。正直、合否を決めたわけでは採用担当が対応するのは気が重い、つらい。が、私は過去に1件だけだ。それくらいめったにない。もちろん、ホントは文句だって言いたいと思う人は多いが、ぐっと我慢をしてくださっているのだろう。そんな応募者の気持ちに、企業が付け込んではいけない。むしろ、今は企業にとっては、個人のSNSの方が怖い。採用担当とのやり取りの履歴をアップされ、拡散され、場合によっては株価に影響する危険性をはらんでいる。こうした、トラブルを避けるた、だから通知をしなくていいことにはならない。数ある企業、求人の中から、興味を持って、応募してくれたことはありがたい。だが、採用出来ないことに、「あなたにとって最高なキャリアが未来にあることを切に願います」という気持ちを一人一人に最低限、伝えるべきだ。
この多様性の時代、
「企業が候補者を選ぶ」のではなく、「企業が候補者に選ばれている」
応募者をおざなりにする「ブラック企業」に、入社してはいけない。不合格の人に対して不誠実な企業は、どんどん淘汰されるべし。
追記:ほのかさんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございました。
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