「志望動機」に正解なし
応募の時も、面接の時も、必ず聞かれる「志望動機」。多くの人が、会社のホームページやネットの情報などで、あれこれ考察し、練って練って書いたり、話したりしている。特に面接で、面接官の反応が微妙だと「変だったかな?」「何か間違ったかな?」と不安になり、そのあとの質問に答えることが怖くなる。
そもそも、志望動機、つまり、応募の理由は何故聞くのか。これまで、数々の企業の採用業務に携わり、自らも何十回と面接を受けてきた私ははっきり言う、
志望動機を聞く確固たる根拠も、理由もない。
例えるなら、私的な会話の中で、「ねえ、私のどこが好き?」と聞いているのとたいして変わりない。好意的に思っている人にそう聞かれて、正直に答えても、相手が喜びそうなことを答えても、結局聞いた相手の真意は、「私っていい人でしょ!私ってモテるでしょ!」その自尊心を満たしたいだけだ。
それは企業の選考も同じ。場合により、面接官が個人的に、こう答えてほしい、会社のここを知っててほしいと、想定している場合もなくはないかもしれない。だからといって、それとは違うことを答えたから不採用する企業で働くこと自体が不幸ではないか。たとえいい条件で内定をもらっても、入社しないことを強くおススメする。
そうは言えども、聞かれるので、何らかの答えを用意しておかねばならない。そもそも、初めて会う、良く知らない企業や面接官が喜ぶような回答をしようとすること自体に無理で、不自然でないだろうか。質問の意図を沿って答えるなら、
応募する理由ではなく、応募したきっかけ
に変換すれば、それほど頭を悩ませることはなくなるだろう。例えば、
「人材紹介会社に、御社の求人を紹介され、失礼ながら、初めて御社のことを知りました。それからホームページで御社のことを調べたら、先日、友人が御社の商品の話をしていたことを思い出し、とても親近感がわいて、応募してみました」
他にも、
「知人の知人から御社の働き方に関する話を聞いたことがあります。〇〇という制度があるそうですね。それが御社が掲げる”〇〇〇”の精神と、どうつながるのか、詳しく知りたいと思い、応募してみました」
興味津々ではなくとも、”又聞き”や”なんとなく気になる”ことを、少し改まった表現に変えれば、更に「もっと詳しく知りたいから応募した」とダメ押しで付けくわえれば、企業側は喜んで「事実はこうだ」とどんどん勝手に話してくれるだろう。そこまで来たら、もう志望動機なんて、どうでもよくなっているはず。
企業の掲げる理念や業績などの褒めどころなんて、たかが知れている。それよりも、
「興味、関心があるので応募しました」
といたってシンプルな回答で問題はない。
ちなみに、海外の企業で、志望動機など聞かれた記憶がない。面接が始まると、「何をしてきたのか」、「何が出来るか」、「何をしたいか」、そんなスキルや経験の質問がほとんどだ。海外は、収入やキャリアアップを求めて転職が当たり前だから、志望動機を聞く必要性がないのだ。日本も、早く形式ばった質問をやめる会社が1社でも増えてほしい。
追記:びとねさんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございました。
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