転職35歳限界説、どこから来た?
私が30後半に転職活動をしている時、とある人材紹介会社に行った。カウンセリング中に、英語習得のため留学に興味があると言ったら、
あなたの年齢で1年留学して日本に戻ってきたら、紹介する仕事はない
とはっきり言われた。会って1時間も経たない見ず知らずの人に、私の希望、考えをあからさまに否定され、ものすごく憤慨した。これが今から15年くらい前の話だ。今思えば、この担当者は、”転職35歳説”に則り、私を心配したのか、登録者確保のノルマを達成するための脅しだったのか、真意は定かでない。だが、確かに、「35歳を過ぎると転職条件が悪くなる」という話は耳にしたことはあった。最近、29歳の知り合いの人に、「”転職するなら35歳まで”っていうじゃないですか。僕もだんだん焦って来て」と言われた。まだ、そんなことってまだ言われているんだと、いささか驚いた。
アライフィのこの年になり採用の仕事をしていてが、35歳限界説というのは全く聞かない。多少、業界や企業にも寄るとは思うが、少なくとも私の携わる企業では、「40代後半、うーん、50歳くらいまでならOK」と、年齢制限は高くなっている。それは少子化になり、即戦力であり、管理職候補である30代の労働人口が減ってきていることも原因にあるだろう。35歳で切ってしまったら、中途採用なんてほぼ無理な話だ。
私が20代の頃は、まだまだ終身雇用制が支流だった。サラリーマンとして、定年まで勤め上げ、退職金をもらい、その後はのんびり過ごすことは理想と言われていた。今はどうだろう。終身雇用制なんて言葉を知らない若い世代もいるだろう。多額の資金を調達し、独立し、会社設立するのは過去の話。ネットでショップを開いたり、SNSでバズったり、手軽に自分の好きなこと、得意なことを起点に収入を得られるようになった。昭和、平成、令和と、世の中に変化のスピードは加速している昨今、定年が65歳だ、70歳だと政府が言っているのに、たかだか35歳で人生を固められるはずがない。
確かに、以前は35歳を気に、体力、気力、年収、求人数のピークがあったのかもしれない。だが、それはあくまでも、起こった事実の結果を、統計、数字で表しただけのこと。そのデータに自分の将来を当てはめて考える必要など、全く無意味だ。例え統計上、自分が当てはまったとしても、その数字では決して読み取ることのできない、一人一人のかけがえのないストーリーが存在する。
その個々のストーリーを軽視する統計やデータに翻弄されてはならない
たとえ35歳までに、いい条件の転職が出来たとしても、その会社が倒産するかもしれない。海外移住するかもしれない。出家するかもしれない。先のことは誰にも分らない。その答え合わせは、死ぬ瞬間だろう。
転職35限界説、そんなものは都市伝説だ。
追記:ごるちきさんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございました。
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