バッグ購入記② 店舗巡り〜購入、帰宅
こちらも長いので、お急ぎの場合目次から最後の見出しにジャンプするのがおすすめです〜
バッグ購入に至るまでの諸々はこちらから。
とりあえず片っ端から周る
ひとまずバスターミナルに近いところから見て回る。
バスの中で、荷物がたくさん入る大きめのショルダーでなくてもいい(サブバッグを持つという概念は自問自答ファッションで手に入れた)のかもな〜と思った影響もあってか、どこに行ってもチェーンがついた小さめのショルダーに目を引かれた。
プラダやミュウミュウのチェーンバッグにうっとりしたり、
グッチでゴールド金具のものとシルバー金具のものと色違いで並んでいるのを見ては「富豪になって両方買えたらなぁ」と妄想する。
ジバンシィはいつ来ても内装がクールでモードで自分好みだなあと思うけれど、いいなと思ったものはあと一歩決め手が足りない気がしたので一度出てきた。
フェンディで以前から気になっていた靴のシリーズを見たり、このバッグはどなたかJJGで気になっていた方がいたなぁと思いを馳せたりした。
ヴァレンティノでは、去年の秋冬ものかな?リボンのドレスがすごくすごーーーく可愛くて、しばらく目が離せなかった。やっぱりリボンモチーフが好き🎀
マックイーンでスタッズがたくさんついたチェーンバッグを見せてもらった時、そういえばストーリーやジュエルのシリーズも欲しかった時期があったなあということを思い出した。
ひとまずスタッズのバッグを第一候補にしたけれど、でもこれも似たようなものを持っているし、思い入れがある分手持ちのものの方が愛せるな……とややモヤついた気持ちは抱えてしまっている。
セリーヌやロエベも一時期憧れていたけれど、アウトレット店舗にはあまりバッグを置いていないので、ユーモラスな服や靴を眺めて元気をもらってきた。
憧れのバッグ、在庫はあるのか
さて、いよいよサンローランのサインボードが見えてきた。
店舗の外からガラス越しにちらりと中を見て、ああ、と思ったけれど、
中に入って、一応店員さんにも聞いて、目当てのバッグは在庫がないことを知った。
売り場には秋冬らしくブラウンのトートやベージュのファーのショルダーが並んでおり、可愛いなあと思いながらぐるっと見て回ったが今の自分にピンとくるものはなく、お店を後にした。
方針転換!
電車の中でうんうん考えただけあって心の準備もできていたのか、在庫がないと分かるとなんとなく自由になった心持ちがした。
また欲しいと思えるバッグを探そう、今日でなくてもいいや、そう思いながら少し離れたエリアを覗く。
トッズではタイムレスを持たせてもらい、軽さと取り回しのよさにとても好感を持ったけれど、Tモチーフはどうしても他人のイニシャルのものを持っている感じで今はまだ親近感が持てなかった。
(あくまで私がそう感じてしまっただけで、ブランドやお持ちの方を貶める意図はないです)
マルジェラで5ACのミニとマイクロを持たせてもらう。
馴染みがあって安心するサイズ感なのはミニ、可愛いなと感じるのはマイクロ(こちらはショルダーストラップがチェーンだしね!)。
根がガサツなので実際の運用はどうなるか分からないけど、中の布部分をしまってファスナーを閉めた状態が想像より可愛くていいなと思った。
やっぱりちゃんとして見える感じというか、カチッとしているさまに惹かれてしまうようだ。
ただカラーバリエーションがいわゆる秋色カラー、もしくはアイボリーのみとのことで、今回は試着の経験値だけ積ませてもらった。
出会いは意外なところで
そのまま、近くにあったドルチェ&ガッバーナの店舗に入る。
陽気で華やかでキラキラした雰囲気は、少し暗く設定された照明の中でもひしひしと感じられた。
ここでもやっぱり、端正な雰囲気のシシリーが可愛いなあ、などと思っていたら「バッグをお探しですか?」とベテラン風な店員さんに声をかけられる。
少し驚いて、「知人がディヴォーションのバッグを持ってて、他のも可愛いなと思って見てました〜☺️」と、自分でも嘘か本当か分からないような返事がつい口をついて出た。
「ディヴォーション!そう!可愛いのよねぇ!」と、店員のお姉さまのテンションが上がる。
こっちにいらっしゃい、さあさあ持ってみて、と棚に並んでいるものを次から次へと持たせてもらった。
小さなカードケースがギリギリ入るくらいの可愛らしいピンク色のものから、少し大きめでギラリとシルバーが輝くもの。
スマホとハンカチが入るくらいの小さめで赤いチェーンバッグは、「ハロウィンが終わったらあっという間にクリスマスだもの、その時に持ってたらとっても素敵よね」とお姉さまが言うように、とても魅力的で可愛かった。
可愛いけれど、赤はちょっと冒険ですねぇ……とこぼすと、「あら!じゃあこれはどう?ちょうど一昨日1点だけ入荷したの」と持ってきてくれたのが、色違いで白いカラーのものだった。
ドキッとした。
赤のそれを見た時にも正直かなりときめいていたけれど、真っ白なレザーに集中線のように施されたキルティング、その先で燦然と輝くゴールドのハートモチーフ。
それはそれはすこぶる可愛かった。
「かわいいー!!」
もう語彙力もへったくれもない、素直すぎる感想が口から飛び出す。
「でしょう、赤もそうだけど、秋冬になると服も重く暗くなりがちだしね。今日のお召し物にも合うと思うの」
肩に掛けさせてもらうと、その白と金のバッグは黒いワンピースによく映えた。
「う゛っ゛……可愛い、かわいいデスネ……」
もはや可愛いしか言えなくなっている。
このままでは買ってしまう!となぜか恐怖を覚えて、デザインとサイズ感的にこの白か赤のものが可愛い、けど折角だから他のバッグも見せて欲しい、とお姉さまに頼み、DGロゴの留め具のバッグや、ついさっきまで候補に入れそうだったシシリーも持たせてもらった。
シシリーはとても良かったけれど、少しサイズが大きめだったのもあってか、鏡に映る自分がとても「真面目な人」に見えた。
実際生真面目だし、この秋冬に着たいシャツとスラックスの組み合わせにも違和感なくハマりそう、でも――心が高揚したのはどっちだった?
「シシリーもいいけれど、やっぱり可愛いのはディヴォーションよね?」
「……ですね!」
まるで心を見透かしたようなお姉さまの言葉に、またディヴォーションの並ぶ棚の前に戻ってきた。
今日選ぶならこれだ。
ただ、アウトレット価格とはいえ無職の自分には高い買い物、可愛さだけでは理性を納得させられない。
長々とすみません、でもちゃんと考えたいんです、と、遠慮なくお姉さまに色々聞いた。
アウトレット品でも修理対象か。
日頃の手入れはどうしたらいいか。
普段はパンツスタイルが多いけど違和感はなさそうか。
そして今更、ナンセンスだと思いつつもぼやかずにいられなかったのが、
「まあまあいい年齢なんですけど、こんなに可愛いもの持っていいんですかね……」
そういったしがらみからは自由でいたつもりなのに、いざ自分の身に降りかかると日和るの、めちゃくちゃ格好悪い。
「あらあら、そんなの気にすることないし私だって持てるわよ、ほら!」
お姉さまは嫌な顔ひとつ見せずバッグを手に取って肩に掛ける。
その溌溂とした人柄とバッグの可愛さが相まって、とてもチャーミングな雰囲気だった。
もしかして、これがポエム?
その時はじめて、ちゃんとハートのモチーフを見た。
それまで見ているようで見ていなかったけれど、ゴールドカラーのハートはパールモチーフのリボンに縁取られて、更にそれを何やら厳かそうな葉が囲んでいた。
(キリスト教に全く明るくないので、調べてみても未だに何の葉でどんな意味があるのか分かっていない)
そもそもわたし、なんでここに来たんだっけ?
せめてわたしだけは自分のこころを守ろうと思ったんじゃなかったっけ?
だからハートモチーフを買うって訳じゃないけど、
他人からどう見られるかとか、
年齢相応の装いをしようとか、
自分の心に蓋をして“あるべき姿”を優先させた成れの果てがこの痛みじゃなかった?
思考が頭の中を駆け抜けていって、気持ちが決まった。
「すーっごく悩みましたが……買います!」
傍から見ていると何が決め手になったか分からないからか、お姉さまは一瞬驚いたような顔をしたけれど、すぐに包みの用意をしてくれた。
改めてバッグの確認をする。
接着剤の染みのようなものがあったが、アウトレットで1点しかないということもあり受け入れることにした。
あくまで想像だけれど、店舗で色々な人が試して、でも誰の手にも渡ることなく自分の手元に来てくれたのが、歴戦の頼りになる使い魔が相棒になったみたいでなんだかいいなと思った。
出口までショッパーを持ってもらいながら、
「今日お求め頂けたのは本当にタイミングが良かったです。土日に入ると多分すぐ売れましたし、人気のモデルだから入荷も少なくて、今聞いたら値上げも控えてるって」
と聞いて、ラッキーでしたね、とお姉さまと笑い合った。
そして、またバスと電車を乗り継いで帰宅した。
せっかくだからショッパーの写真を撮ろう、と気がついたのがエントランス付近で、興奮と焦りでショッパーの裏側を向けて撮ってしまったのがヘッダーの写真である。
バッグのことは家族の誰にも伝えていない。
もう少し先の誕生日にでもしれっと下ろそうと思う。
たぶん、演歌バッグで使い魔
かなり長い購入記になってしまったが、こちらが私の使い魔で、後になって考えてみたらこれが演歌バッグでは?となったバッグである↓
帰宅して過去のnoteやファッション日記を見返していると、今回の決断は少なくとも悪いものではなかったと思える要素がちょこちょこと見つかって、ひとまず安心している。
(もしそうでなくても、この選択を力ずくで“正解”にする……!くらいのポジティブさにあふれているよ)
今はまだダストバッグと箱に入れているけれど、いつでも眺めてニコニコしたいのでどう保管するか考えている。
前回のあきやさん講演会で聞いた「ピンクのキラキラのバッグ」みたいな存在になってくれたらいいなという願いで、この記録を結びたい。