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掲げられたアレの話

はじめに言っておくが
※これは、ノンフィクションである。

小学校6年生の時の話だ。

「これ、誰のー?」

仁王立ちした先生が
片手で握った"何か"を天に掲げている。
(自由の女神をイメージしていただきたい)

🗽

休み時間の廊下に響く先生の声。

何持ってるんやろか??

私は凝視した。

そして、自分の目を疑った。

嘘だろ

なんで、そんなものを。。。

掲げられた"何か"とは


トイレットペーパーに包まれた

う●こであった。


私は、二度見した。いや、私だけでない

あの日あの時間あの場にいた人全て
掲げられた糞を二度見した。

なぜ、、先生は、、

糞を天に掲げているのだろう。?

パニックだった。

周りが、認知しざわつき出した時

「これ、誰のー?!!」

に、、二回目。。2回目だ

もし、もし仮に、自分が脱糞していたとしても
掲げられ、みんなに晒された糞を
自分がしました!ごめんなさい!なんて
その場で白状する訳ないだろう。

もし仮に、便器にものすごく立派な糞が
流し忘れていて、表彰したいから
名乗り出てほしい!と言われても
それはわたくしの糞です!
なんて、、言えないだろう。

言わなくていいとも思う。

自分の糞が大衆に晒される必要はないからだ。

どうやら、トイレの手洗い場の前に
例の"あれ"は、落ちていたらしい。

便器で排泄するのをめんどくさかったのか
便器でするつもりが、漏れてしまったのか
そんな理由で脱糞したのではないだろうか

「ちょっと、これ、誰のー?!」

3回目!!!!さんかいめ!

一度、持ち主を募ってしまったから
引っ込みがつかなくなったんだろうか
名乗り出ると信じているのだろうか。

顔色一つ変えず、持ち主が名乗り出るのを待つ先生

休み時間も終盤になり
教室に戻る生徒が増えてきた時

キーンコーンカーンコーン
切なく響くチャイムの音。


先生、残念

タイムアップです。

この15分間の休み時間
糞を握りしめて終わってしまった、先生。
きっと、やることがたくさんあっただろう。
先生の心情を慮ると、やりきれない。

その後、もちろん誰も名乗り出る事なく
掲げられた糞は、掲げた人によって始末された。

20年近く経った今でも思い出してしまう。
あの声のトーン、シーンとなる廊下。
切ないチャイムの音、全部しっかり覚えている。

きっと、自分で処理させたかったのか
便器で排泄するように伝えたかったのか
そんなようなことを伝えたくて、募ったのだろう。

でも、先生、流石に掲げられた自分の糞を
大衆の前で引き取りに行く人間はなかなか居ないよ。




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