対談! 暮らし手しごと市 vol.1 を終えて(イベント企画・運営の話)
こんにちは、協力隊の遠藤です。
同僚である地域おこし協力隊の太田さんが主催となって、2023年10月22日に湯梨浜町のはわい温泉広場で開催された「暮らし手しごと市 vol.1」。この記事では、vol.1 がどのように企画・運営されたのかを対談形式でたどるとともに、きたる2024年5月19日に開催予定の vol.2 のことも語って行きます!
イベント開催に興味のある方にとって参考になる記事となれば嬉しいです。
●対談者のプロフィール●
遠藤 (むだに緊張して)はい、じゃあ対談を始めます。よろしくお願いします。
太田 はい、よろしくお願いします。
遠藤 イベント開催から4ヶ月くらい経ってて、日々薄れゆく記憶の中での対談なので、ぼんやりしたところもあるかも知れません。最近いろんなことが思い出せない。
太田 (苦笑する)えっと2022年10月に着任したので、ほぼ1年経ってから大きめのイベントをやりました。
遠藤 そもそもどんなイベントなのか、全然知らない人に向けて簡単に説明してもらえますか?
太田 今回初めて企画した大きいイベントで、湯梨浜町を中心に丁寧に、こだわりを持って作っている作家さんや生産者さんに来て頂いて。暮らし手しごと市って温泉朝市になるんですけど、その中で直接作り手さんと買う人が交流できる場を作りたかったです。そこで買ってくれた人への特典として、旅館さんにご協力頂いて日帰り温泉の無料券も用意しました。
遠藤 なるほど。
太田 場所をはわい温泉広場にして、温泉街の中にある湖に面した大きめの広場なんですけど、温泉とか、湯梨浜町自体を楽しんでもらえるような感じのイベントにできたらいいなと思って、開催しました。
場所はそもそもイベントする前にどこにしようか、いろいろ探してて、いろんな人にちょっと場所ないか聞いてみたりしてたんですけど、その中でちょうど「はわい温泉広場」の存在を教えてもらって。
遠藤 湖がほんとに目の前でロケーション最高なんですよね。
太田 そもそも暮らし手しごと市をやる前に、はわい温泉で小さいイベントを開催したりとかして、その時に地域の方、事業者さんとかとお話しする機会があって。その話を聞いていく中で、温泉街で食べ歩きできる場所がないっていう意見があったり。
遠藤 温泉街では食べ歩きしたいですよね。肉まんとか。
太田 だからイベントみたいに一時的にでも食べ歩きできる場所を作りたいなって思ったのと、あとは温泉広場自体がそこまで使われていなくてもったいないなっていうのもあって。広い駐車場がすぐ隣にあってすごい使いやすい場所なのに。温泉広場でイベントをやろうと思ったのはそんな感じかな。
遠藤 いきなりイベントをそこでやったというよりは、そこに至る伏線がいろいろとあったという感じですね。需要が見えてきたというか。人の流れとか、町の人が何を望んでるかとか、何が欠けてるかとか、新天地でそういうのが見えて来るのに1年くらいかかった、ということかも知れません。湯梨浜町だと東郷エリアで結構イベントがあるけれど、はわい温泉の方ではあんまりイベントがない、っていうのも聞きますし。
太田 場所として、やっぱり観光客の人が一番来る旅館さんがたくさんあるので、人の流れがまずあって、湯梨浜町をPRするっていうことをしていく上で、町の外の人にも知ってもらいたいんで、観光客の人が通る場所でイベントをする方が外への広がりはあるのかなと思って。
遠藤 遠方からの観光客もはわい温泉が一番多いですし。団体で大勢で来てたりとか。
遠藤 話は少し変わりますが、イベントをやるっていうこと自体がまず結構なかなかどうやったらいいか分からない、っていう人も多いと思うんですけど。
太田 はい。
遠藤 まずイベントをやる上でどこから着手したのか、聞きたいです。
太田 当たり前ですけどまず一番最初は場所探しと日にち設定っていうところから、そこが決まらないと何も決められない。その前の段階としては、コンセプトというか、趣旨の部分を固めないと。あとは誰に出店してもらうか。
遠藤 鳥取ではキッチンカーのイベントが多い印象があります。家族で来てぐるっと一周して食べて帰る、という感じのマルシェとか。
太田 そういうイベントが色々と開催されている中で、それに町自体もやってるイベントとかもあるから、そういったイベントといかに差別化して行くかは考えました。あとは来場者の人や出店者さん、地域の人や事業者さんとか、そういった方々みんなにメリットがあるようなイベントにするにはどうしたらいいか、っていうところもありました。それでコンセプトとか趣旨とか、内容を詰めるのはすっごい時間をかけてやっている感じで。あとは参考になるようなイベントを色々視察に行って、運営の人に話を聞かせてもらったり。
遠藤 暮らし手しごと市の構想自体は元々あったけど、実現するきっかけとなったイベントがあるんですよね?
太田 そうですね。きっかけは「なかやま温泉 ゆーゆー倶楽部naspal」でちょうど温泉朝市のイベントが定期開催されてて、そのイベントが自分がやろうかなって思ってる感じにちょっと近かったというのがあって、じゃあ実際にどういう風に運営されてるのかなっていうところで、具体的なことを聞いてみたかったので行ってみました。
遠藤 そこで色々とアドバイスをもらえたのがすごい大きい気がします。背中を押してくれた。
太田 湯梨浜町でもこの部分はできそうだなとか、具体的なイメージが結構そこで湧いたりしたかな。
遠藤 結局そこでアドバイスをくれた「小僧ロップ」の宮下さんが、暮らし手しごと市当日にも出店してくださったりして、色々と良い感じにつながって行きましたね。
太田 なかやま温泉朝市は湯梨浜町ではなくて大山町のイベントだけど、町を越えてというか、地域を越えたつながりで鳥取を盛り上げることができたっていうのはすごい良かったです。
遠藤 鳥取は人口が少なくて、ひとつひとつの町にすごくたくさんのコンテンツやイベントがあるわけじゃないから、市町村を横断して人に来てもらうというのが正しい在り方な気がします。
太田 地域間で連携して県外の人にPRできるようなら、さらに広がりが出て来るというか、一人でとか、町内だけでやってるよりはその方が人も来るし。鳥取に旅行に来る人とかのリサーチをしていると、鳥取県ってひとつのエリアに来るというよりは、鳥取を横断しながら旅行している人も多いです。
遠藤 鳥取を横断するかたちで無料で走れる道路があるのが大きいですね。ところで10月は毎年イベントが特に多い月です。暮らし手しごと市の開催日にも町内の別の場所でたくさんイベントをやってました。
太田 東郷湖畔公園でのイベントとか、蚤の市とか。あとはウォーキングイベントを町内でやってて、それとまた別に商店街で市をやってたりとか。
遠藤 そのウォーキングイベントの道順が暮らし手しごと市の会場の横を通る感じで、その流れでウォーキング参加者が手しごと市にたくさん来てくれました。結構買ってる人を見ました。
太田 ところが冬になるとイベントは少なくなります。
遠藤 春になると急に増えるから、梅とか桜よりイベントが増えてくると春が来たことがわかります。
太田 暮らし手しごと市のコンセプトには、普段なかなか知ることができないようなものや人を知ってもらいたいなっていうのがあって、観光地めぐって見て終わりみたいな感じだと、特にその土地をあんまり深く知らずに帰っちゃうっていうのがあると思います。だから、直接作り手の人と話して、何かを買ってもらうみたいな体験ができるのが良いなと。例えば農家さんと直接話す機会というのは、ない人にはないですし。
遠藤 観光地をめぐって見て終わりっていうのは、人と関わらない旅をするとそんな感じになりますね。人と話すことで記憶にも残りやすい。「あのお店にいたおばちゃんと話したらめちゃくちゃ面白かったな」みたいなのが旅のなかであると、その土地との結びつきが、ただ観光するよりちょっと強くなるというか。
太田 旅行ではわい温泉に滞在した人が暮らし手しごと市に立ち寄ることで、旅行の思い出になったら嬉しいです。
遠藤 当日は400人程度が訪れたイベントになりましたが、特に最初の方は人が多すぎて写真を撮るのも苦労しました。竹下通りかな?
太田 開始は10時だったのですが、それより少し前からお客さんが来始めて、すごく人気だったお店は30分ぐらいで完売したりもしてて。最初の1時間とかで飲食系の完売が続出して、ちょっとびっくりして、でも初回のイベントだったからどれくらい出るのか量が読めなかったのはあります。
遠藤 食以外のクラフト系も結構売れてたみたいですね。のぎ屋さんの藍染のサコッシュがすごく人気で、協力隊も3人買ってました。
太田 こういう手しごとというかクラフト系のイベントが鳥取中部ではあんまりないのかな。だから食に興味を持ってきてくれたのももちろん嬉しいですが、クラフトに興味を持って来てくれた人が一定数いたのは嬉しかったですね。
遠藤 工芸とかクラフトとかが元々好きだから、そういうイベントをやりたいっていう気持ちはずっと温めてたんじゃないですか?
太田 私は京都に住んでいたので、京都ではそういうクラフト系のイベントにはよく行ってました。まさか自分がそういうイベントをする側になるとは思わなかったけど。
イベント開催前に、可能なかぎり直接会いに行って、写真撮影をさせてもらって、ということをしました。自宅が工房の方だったり、予定が合わなかった方にはお会いできませんでしたが、基本的にはオンラインでやり取りだけして当日会いましょうじゃなくて、やっぱり一回顔を合わせるのって結構大事だなと思いました。出店のお誘いをする時とかも直接会いに行って出店しませんか、みたいな。
遠藤 会うのは大事ですね。オンラインも良いけど、会うことでしかわからないその人の波長、雰囲気みたいなものはありますし。
お客さんとか出店者さんからイベント後にもらった感想とかありますか?
太田 またやって欲しいという声は結構頂きました。はわい温泉の事業者の方、旅館さんとか旅館組合の和湯さんとかも今回すごく協力してくれて。
遠藤 和湯さんにはお世話になりっぱなしでした。日帰り温泉の入浴券を来場者に渡すというアイデアが実現したのも、和湯さんのおかげです。
遠藤 去年の10月22日に第1回をやって、同じ場所で第2回を5月19日に予定していますよね。今年はあと何回開催しようと思っていますか?
太田 今年の目標としては季節ごとにやれればいいなと思っていて、春になって5月にやって、夏と秋に開催する予定です。夏はちょっとやり方を変えたいと思っていて。昼間はさすがに暑すぎるから同じようにはできないので、夜市的な感じでできないか模索してます。
遠藤 なるほど。5月19日の第2回は、第1回とちがって何を変えて行きたいとかあるんですか?
太田 第1回とはまた違う感じの出店者さんをお呼びしたいと思っています。1回目で農家さんを数名お呼びしたんですが、5月は繁忙期ということもあって、第2回は農産物は少なくなりそうです。
次回は鳥取中部を中心ではあるけれども、西と東からもちょっと来て頂いたりするつもりです。前回は食関係が多かったのですが、次回はクラフト系の比率も増えそうです。
あとは、第1回になかったものとして、公式ブースを設けて、イベントのオリジナルグッズを作って販売しようかなと思ってます。
遠藤 オリジナルグッズはどんなものを作る予定ですか?
太田 前回はイベント特典として旅館の日帰り入浴券を購入特典としてお渡ししたのですが、次回は、イベントと一緒にはわい温泉を楽しむためのグッズを作りたいなと思ってます。まずはとりあえずやってみるのを大事にしてます。
遠藤 第2回の準備はどれくらい進んでるんですか?
太田 出て頂く出店者さんはほぼ決まって、あとはチラシとグッズを作っているところですね。グッズは初めての試みなので果たしてどうなるのかっていうところですけど。
遠藤 グッズは湯梨浜町に来た記念の品というか、お土産というか、そういう感じでもお客さんには買って欲しいですね。
イベントを今後やってみたいなと思っている人に向けて、コメントをもらえますか?
太田 何だろう、イベントっていうとやっぱり大きなことをする、みたいな感じで構えちゃって、自分には無理かもと思うこともあるんですけど、とりあえず小さいところから出来ることをやって行くのが良いと思います。
イベントをするとなると周囲の人から色んな意見を頂くことにはなりますが、全部を取り入れてしまうと曖昧なイベントになってしまうので、自分が最初にやりたかったこと、自分が楽しいと思えることからブレない方が良いです。自分が楽しめないイベントをやると作業にしかならないと思うので。
遠藤 大きい都市でイベントを開催するとなると、やっぱり場所代とかが高かったり、競合も多かったりで気持ち的にハードルが高いかも知れませんが、何かイベントを自分でやってみたいという気持ちがあるのだったら、地方で、たとえば地域おこし協力隊になってみるとかも、結構良いのかも知れませんね。
太田 これから第2回開催に向けて出店者さんの取材や撮影をしに行ったりとか、色々発信して行きますので、インスタの方も見て頂けたら嬉しいです。
遠藤 それでは、対談終わります。ありがとうございました!
太田 ありがとうございました!