涙と鼻水でマスクの中にキノコが生えそうな湿度になる、桜嵐記(6回め)
りょうちゃん(珠城りょうさん、月組トップスター)の退団する日まであと6日となりました。
今日も桜嵐記を観劇。6回目の観劇です。あと2回見るので、最高記録になりそうです。
心にずしっとくる一日でした。お芝居って、こんなに変わるんですね。ラストウイークが始まって、いろいろな思いが交錯しています。
気が付いたことを、ぽつぽつ残します。
結婚を辞退する、正行さんの瞳のうごき
私は読解力がないのか、注意散漫なのか、観劇しているときにあちこち見てあちこち思いを巡らしてしまい、本筋をよく理解しないまま終わってしまうことがあります。
今日は大事なシーンをやっと深く理解できました。
後村上天皇(暁千星)が正行(珠城りょう)に「お互いが嫌じゃなければ、弁内侍と一緒になったらどう?」と言うシーン。正行は「自分の命は長くないから、儚い契りを結ぶことはできない」と断ります。私はここを、「ほのかに恋心を持ってはいるけれど、自分は出陣が迫っていて死ぬのが明らかだから、弁内侍がかわいそうだから、結婚はできないと辞退する」と理解していました。ある意味、愛の告白ですね。良いシーンだと思っていました。
ところがところが、やっと気づきました。
後村上天皇が「…中宮も、苦労の多かったこの子を幸せにしてやりたいと申す」と言った瞬間に、正行の瞳がカッと動いたんです。そしてそこから、「とても世に、ながらうべくもあろう身の…」(自分は長く生きられないから…)と歌を詠んでいます。
「この子を幸せにしてやりたい」という一言で、自分にはそれができないと改めて再確認したように感じました。
…すると、最初「公家ともののふの結婚は許されませんから!」と答えたときには、「絶対お受けできません」というかんじではなかったのかなと。
「自分には幸せにしてあげられない」と辞退したときに、悲しみ、未練を断ち切るような気持ちがあったのではないでしょうか。 だからこそ後村上天皇が「待て…」と言っているのに「これより赤坂で軍を立て直します!」と立ち去ってしまう。普通、天皇に待てと言われて先に立ち去る武士はいないと思うので、そこにはそうせざるを得ない心の動きがあったのだなあと。
そう解釈しました。(長い)
そう考えると、正行さん、やっぱり全部頭の中で整理できていたのではなくて、少しは若武者らしい恋心があったのだね、と少し嬉しくなりました。
楠木の歌を嬉しそうに歌う大田父…
今まで何回も見ていたのに、初めて気づいて嗚咽が漏れたシーン。イノシシを囲んで楠木の歌を郎党どもが歌いだしたとき、大田父(春海ゆう)も真っ先に嬉しそうに歌ってるんですね。
「甲斐性のない男に娘を嫁にやってしまった」とか嘆いているのに、嬉しそうに婿殿の家の歌を歌ってる。楠木大好きじゃん? 後に北朝に寝返ることが、そうせざるを得なかった相当な理由を彷彿とさせて、泣けました。
立派な服を着ているから、大田さんも結構よい家柄の武士ですね。きっと家来もたくさんいる。みんなを食べさせるために北朝に寝返ったのかな、とかいろいろ考えてしまいました。
ちなつさんの絶叫はどこまで進化するのか
百合の自死を知らされて「百合…!」と絶叫するシーン。ちなつさん(鳳月杏)の絶叫が半端ないことになっています。悲しみと、自分が殺してしまったようなものだという絶望と、悔しさと、もうぐちゃぐちゃの絶叫。今日の客席はすすり泣く音がよく響いていました。
ありちゃんの「戻れよ」の深化
今日はありちゃんのマイク、スンスンとかすかにすすり泣くような音を拾っていたような。
演劇の中の「間」って、たった一秒の長い、短いでその場が変わる、すごいものだなと思っていますが、今日の「戻れよ」は溜めて溜めて…とても長く感じました。本当は行かせたくない、行かせるのは仕方ないけれど逡巡している、幼馴染を失いたくない、でも出陣するなとは言えない…そんな思いを表現していて、とてもよかった。
ありちゃんの深化と進化は、これからのお楽しみです。どこまで成長していくのだろう。
Dream Chaserもいよいよ大詰め
二階席から見た舞台。天井のこんな広い領域まで投影されていたのを初めて撮れました。
るうさんのハグ
黒燕尾のあとの男役七人とのシーン、るうさんがハンカチでりょうちゃんの汗をぬぐうテンポが、いつもより早い。ぽぽぽぽん!というかんじ。
いつもはここのコミュニケーションをじっくりしているように見えたので「今日はるうさん、あっさり早めだな」っと思っていたら。
るうさん、感極まった様子ですごい勢いで抱き寄せ、りょうちゃんをハグしていました。りょうちゃんも驚いた様子。あれはサプライズだったのでしょうか。るうさんがりょうちゃんを抱いた…!
るうさんってそういうことをするイメージがあまりなかったので、びっくりしておかしいくらい泣いてしまいました。鼻水が今日はすごくて、顔の下半身がべっちょべちょでした…
観客席もラストウイークの気配が出てきました。二人組の女の子、髪をきれいに編み込みにして、おしゃれして、二人そろって真っ白なレースのワンピース。見渡すと明らかに白を選んで着てきました、という方が増えています。
最後まで無事に開演できますように。祈るような気持ちです。