ウィンド・オブ・チェンジの報告 件名:プリゴージン(プーチンのワグナーPMC担当マフィア)
イゴール・スシュコが英語に訳したものを8/14/22にツイッターにあげたスレッドの翻訳です。
占領下のウクライナにある ワグナーグループの司令部がHIMARSで攻撃される直前、*ウィンド・オブ・チェンジ は以下のFSBの書簡を送信した。その後、ウラジーミル・オセチキン (@Vlad_Osechkin) が返答を公開し、ウィンド・オブ・チェンジがフォローアップの返答を送った。(写真:その後破壊されたC2でのブリゴージン)
8月13日の FSB 内の ウィンド・オブ・チェンジ から、 オセチキンへの手紙、オセチキンの公開回答、ウィンド・オブ・チェンジ からのフォローアップなどのやりとりを私(イゴール・スシュコ)が翻訳したものです。
件名:プリゴージン(プーチンのワグナーPMC担当マフィア)
*ウィンド・オブ・チェンジはロシア出身でフランス在住の人権活動家ウラジーミル・オセチキンの元に、本国から送られて来るFSBの内部告発を公開する運動
ウィンド・オブ・チェンジの内容をウクライナ系アメリカ人のイゴール・スシュコが翻訳することになった経緯を語るYoutube動画へのリンク
いつものように、説明のための私(イゴール・スシュコ)のコメントは(括弧)の中にあります。ウィンド・オブ・チェンジの方は[括弧]内です。
オセチキンへ:
「プリゴージンの情報をいくつか。原則的には、彼が「テレグラマー」と問題を起こす以前から、(テレグラムはロシアで広く使われているソーシャルメディアプラットフォーム)私は彼が非常に不愉快であったと書いている。しかし、どのように「強く」、誰が関与しているのかを理解するには、もっと多くの情報を提供する必要がある。プリゴージンは、シリアの時代から、軍の「代替」の支部を形成する全権を握っていた。
この場合、そのようなアプローチは、彼にとってビジネスであると同時に、ある種のロマンスでもあった:ワグナーPMC(民間軍事団体)に関するリークは、ほとんど彼からのもので、彼はこの部隊が公式に認められていないことを非常に不満に思っていた。
(ワーグナーのような民間軍事団体はロシアの法律では違法なので、過去には公の場には出てこなかった)。
プリゴージンは、PMC(民間軍事団体)に資金を提供する代わりに、同国の多くの天然資源施設の支配権を得たのだ。
彼らはそれをめぐって防衛省と喧嘩し、その後、軍はワグナーをそれほど支援しなくなった。例によって、この争いは金銭的なものであった。誰も(シリアから盗んだ)大金を分け合おうとはしなかったのだ。
同時に、プリゴージンは "トロール工場 "として知られるメディア部門を立ち上げていた。また、彼は独自のセキュリティサービスも持っており、そのレベルは侮れない。おそらく、ロシア全土で最も優れた企業向け統合セキュリティサービスの1つだろう。
今、「ウクライナ危機」は人手不足に直面している。当分の間、総動員は行われない[以前、その理由を示したが、何も変わっていない]、(それについては、以前のFSBの書簡を参照のこと。
隠れ動員は全速力で進んでおり、囚人の大量採用によるプリゴージンの計画は当初[3月に]拒否された。その時、サービス(FSB)は間違いなくそれを拒否したが、それは我々だけではなかった。
しかし、6月から7月にかけての前線での悲惨な人員状況は、プリゴージンにチャンスを与えた。プリゴージンは、この仕事を量的な採用という観点から、純粋に技術的に有効な解決策を見出したと明確に言うべきだろう。(囚人の大量採用)
そして今、プリゴージンは「新皇帝」のような気分になっている。彼は明らかに自分の影響力を過大評価している。客観的に見て、彼のやっていることは常軌を逸している。
彼は、ある種の「法の中の組織的犯罪企業」を国家規模で構築しているだけではない - 彼は、国家であることなく、既存の国家の内部に、他の全ての参加者を完全に無視した独自の軍事政治的国家を急ピッチで作り上げているのである。
プリゴージンに重大な最後通告がなされた:「政治的な企てを忘れろ」というのだ。ドゥーマ(ロシア議会)の(彼の)操り人形の話ではなく、プロセスや人事に対する彼の影響力の話である。彼が応じれば、体制は静かに引き下がるだろう。
しかし、それは嘘だ(プリゴージンが野望を撤回すれば、体制は手を引くと言うこと)。既に一線を越えてしまった以上、状況は「以前と同じ」には戻らない。
今の課題は、プリゴージンを影響力のある存在として排除することだ[物理的にではなく、機会があれば - ぜひ] が、しかし、激しい対立のコストを避けることである。
そして、プリゴージンのセキュリティー担当者のレベル[我々の元(FSB)の連中がたくさんいる]を考えると、彼は(自分が置かれているジレンマについて)至って無知である可能性は低いだろう。
この紛争における彼の敵は全て[プリゴージンは有力な敵が多いので、彼ら全員から攻撃を受けることを予期しているはずだ]、一つの課題を持っている:「彼が始めた」、「俺じゃない、、群集の誰かだ」という精神で、将来の紛争の正当性を準備するのである。
更に、破滅的なシナリオを背景に、条件付きのタカ派と条件付きのハト派[何度も言うが、これら「ハト派」の中に「平和の党」は存在しない]の残酷な対立という図式も加わる。リンク
そして、このカクテルに「古いルールはもういらない」という新しいルールを加えれば、全体として状況の見通しを理解することができる。
プリゴージンは非常に強力な切り札を持っている。彼のワグネリアン達を排除すれば、軍事機構全体が崩壊してしまうのだ。
ワグネリアンは最も給料が高く、非常にプロフェッショナル[彼らはシリアスな選考を経ている]だが、死傷者を顧みない。
彼らは前線で最も困難な(そして絶望的でさえある)仕事とセクションをやり遂げるために使われ、この戦争で軍が持っている(装備の)全てを備えているのです。
そこにいる(採用された)犯罪者は、極めて残酷に、ある意味では無駄に、しかしコントロールするという意味では効果的に使われている。軍隊は、それに近い成果を上げることはできないだろう。
この理由だけで、ロシアにはプリゴージン問題の根本的な解決を正当化できる勢力は存在しない。
これからは、彼の政治的機会を封じ、(プリゴージンに対し)大規模な最後の一撃を準備するための踏み台を作る段階である。
プリゴージンの弱点 - 彼は本当に現実を見失い、強力な敵を作ってしまったこと。
同時に、対立する多くの政党は、プリゴージンと直接の提携には踏み切れない。プリゴージンの権力と野心を考えると、自分達の利益のために彼を利用することは、プリゴージン自身の交渉材料になる危険性をはらんでいるからだ。
これからこの話題に入る分析は、全て各方面による演出の準備に他ならない。
真実は、ベグロフ(プリゴージンの公敵・サンクトペテルブルク知事)、軍、我々(FSB)のいずれからも出てこないから、待つ価値はない。皆、今の時代を自分達に有利になるように利用しようとするだろう。
プリゴージンは、彼の決定的な勝利または完全な敗北でしか終わらないような方法で事態を引き起こしたのである。 彼の野望の大きさを考えると、それは静かにも迅速にも実現しないだろう。
また、自国の保安機関の能力では、階段での事故も、お茶の中毒も、ウクライナのDRG(軍事妨害・偵察グループ)による地雷の事故も、当面は起きないだろう。」という。
上記のウィンド・オブ・チェンジからの手紙に対するオセチキンの公開反論
8月13日のFSBの手紙に対するオセチキンの公開された返答を私(イゴール・スシュコ)が翻訳したものです。リンク
「Gulagu.net(オセチキンの人権団体)の立場は、手紙の著者とは異なります。我々は、FSBがワグナーPMC(傭兵)から距離を置きたいと考えていることを理解している。
1) ロシアでは、FSBの承認なしにPMCを組織することは不可能である。
2) FSBの元エージェントは、PMCの名目で、FSBスペツナズ「Vympel」ユニット(FSB特別目的センター「V」長官とも呼ばれる)のメンバーが多くの国に行き、いわゆる「外部環境」で特殊作戦や破壊工作を行ったと既に証言している。プリゴージンとFSBの多くの将兵は、単なる友情と共通の業績以上のものでつながっている;(マネー)。
3) ワグナーを含むPMCのリクルーターに、彼らの支配下にある連邦刑務所サービスの施設へのアクセス(囚人の勧誘)を与えたのはFSBの「M」局であった[「なぜ」という疑問はまだ残っている]。
4) FSB第4局のある部署では、エフゲニーとポリーナ・プリゴージンの両名に対する有望な刑事事件の資料があり、その中には、プリゴージンの娘婿シュラ・スクリャロフが、結婚解消時の財産分割を背景に、思いがけず資料収集に「積極参加」していることが含まれていた。
しかし、(FSB)管理者は、10億ルーブル以上の詐欺事件の実施について、KYCP(内務省の事件報告の会計帳簿)に登録せずにDOU(業務記録ファイル)を装って、210条、159条、160条、174条1項、291UKの既成刑事事件の証拠を隠すよう命じた。これもFSB とプリゴージンの密接な協力関係を示している。
と言うわけで、FSBはプリゴージンと距離を置くことはできないだろう。」
(ウラジーミル・オセチキンのウィンド・オブ・チェンジ、FSBレターに対する反論の翻訳終了)