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イランの影響力作戦の内幕

SEMAFOR 2023年9月29日の記事の翻訳です。
記者:Jay Solomon コラージュ:Malley, Ariane Tabatabai, Adnan Tabatabai / Al Lucca/Semafor

スクープ

2014年春、イラン外務省の高官達は、影響力のある海外の学者や研究者のネットワークとのつながりを構築することで、世界の安全保障問題(特に核開発計画)に関するイランのイメージと立場を強化する静かな取り組みを開始した。彼らはそれを「Iran Experts Initiative(イラン専門家イニシアチブ)=IEI」と呼んだ。

IEIプロジェクトの範囲と規模は、『SEMAFOR』とイラン・インターナショナル(ニュースチャンネル)が初めて報じたイラン政府の大量の書簡と電子メールで明らかになった。穏健派のハッサン・ロウハニ大統領の下で働く高官達は、このイニシアチブの影響力を自画自賛していた。外務省のリストに載っていた少なくとも2人は、今年6月にセキュリティークリアランスの停止で休職となったバイデン政権のロバート・マリー・イラン特使の最側近であった、あるいは最側近となった人物である。3人目は、マリーが国務省に移った直後にマリーが運営していたシンクタンクに雇われた。

これらの文書にあるイラン政府の出来事の描写は、IEIに関与する他の人々によって、完全に否定もしくは、疑問視されているにしても、核外交の重要な時期におけるイラン外務省の考え方や内情について、これまでにない深い洞察を与えている。米国やその同盟国がこの地域で頻繁に行うような影響力作戦に対するイランの手腕が伺える。

ロバート・マリー / BRENDAN SMIALOWSKI / AFP via Getty Images

このメールは、ロンドンに本部を置くペルシャ語放送のニュースチャンネル、イラン・インターナショナル(イラン政府の脅威のため、一時ワシントンに拠点を置いていた)によって入手され、翻訳され、『SEMAFOR 』と共有された。『SEMAFOR 』とイラン・インターナショナルは、IEIの一部について共同で報道した。両機関はそれぞれ独自に記事を作成している。

(メールの)やり取りから、特にオバマ政権末期には、このネットワークを通じて、ロウハニの外交官がワシントンやヨーロッパの政策サークルと接触していたことが明らかになった。メールによれば、IEIに所属するドイツ人学者の一人は、テヘラン高官のために論説のゴーストライターを申し出ていた。また、他の者達は、アメリカやイスラエルでの会議や公聴会への出席について、外務省のスタッフに助言を求めることもあった。IEIの参加者は論説や分析を数多く執筆し、テレビやツイッターで見識を提供し、核問題でテヘランと妥協する必要があると定期的に訴えていた。これは当時のオバマ政権、ロウハニ政権の両政権の立場と一致している。メールには、ロウハニが2013年の大統領選で当選した後、核問題で西側諸国との妥協点を見出そうとしていた時にIEIが開始されたと書かれている。メールによると、イラン外務省は、組織内のシンクタンクであるthe Institute for Political and International Studies(政治国際問題研究所=IPIS)を通じて、このプロジェクトの「中核」メンバー10人に接触し、このメンバーを通じて、2015年7月に最終合意されたテヘランとワシントン間の核合意のメリットを積極的に宣伝するために、今後1年半にわたって連絡を取り合うことを計画していた。

「私達が“イラン専門家イニシアチブ(IEI)”と呼んでいるこの取り組みは、主に欧米の主要な国際シンクタンクや学術機関に所属する6〜10人の著名なイラン人2世からなる中核グループで構成されています」と、ベルリン在住のイラン外交官で将来の外務省報道官となるサイード・ハティブザデヒは、プロジェクトが本格化する中、2014年3月5日にテヘランのシンクタンクIPISの代表モスタファ・ザフラニに手紙を書いている。2人のやりとりは英語とペルシャ語の間を行き来しており、イラン・インターナショナルが翻訳し、『SEMAFOR』が独自に検証しイラン・インターナショナルが入手した数千通に及ぶザフラニの手紙の一部である。その中には、パスポートのコピー、履歴書、会議への招待状、航空券、ビザ申請書などが含まれている。IEIに関する文書がどれほど完全で包括的なものかは不明である。

ハティブザデヒは1週間後の3月11日に再び手紙を書き、2人の若い学者、アリアン・タバタバイとディナ・エスファンディアリーとプラハで会った後、IEIへの支持を得たと述べた。「私達3人は、IEIの中心的なグループになることに同意しました。」

タバタバイは現在、米国防総省の特殊作戦担当次官補の首席補佐官として勤務しているが、この役職には米国政府のセキュリティー認可が必要となる。彼女は以前、2021年のバイデン政権発足後、マレーのイラン核交渉チームの外交官を務めていた。エスファンディアリーは、2018年から2021年までマレーが率いていたシンクタンク、International Crisis Group(国際危機グループ=ICG)の中東・北アフリカ担当上級顧問である。

タバタバイとエスファンディアリーは、IEIに関するコメントの要請には応じなかった。エスファンディアリーの現在の雇用主であるICGは、彼女のイニシアチブへの参加を認めた。しかし、世界的な紛争解決を推進するICGは、IEIはイラン外務省の監督下にない学者や研究者の非公式なネットワークであり、欧州政府と一部の欧州機関から資金提供を受けていると述べたが、それらの機関の特定は拒否した。


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イラン外務省の広報によると、この最初の働きかけの後、IEIプロジェクトは活発化した。2014年5月14日、国際核協議の場であるウィーンのパレ・コーブルク・ホテルでキックオフ会議が開かれた。メールによると、イランのモハンマド・ジャバド・ザリーフ外相のほか、同外相の核交渉チームのメンバー、西側シンクタンクの代表者 8 名が名を連ねていた。イランの下級外交官は当初、会議をテヘランで開催することを提案していたが、ザリーフ外相の代理が物流上の理由から反対した。

メールによれば、ザリーフはウィーンでの協議中、核問題に関する国際舞台でイランの見解を宣伝できるような著名人を持ち上げる、あるいは創出することに執着していた。彼は特に、オバマ政権の外交官であり核拡散の専門家であるロバート・アインホーンのイラン版について言及した。アインホーンはイランの核開発プログラムに関する学術論文を定期的に発表し、アメリカやヨーロッパのシンクタンクのイベントに出演していた。

「イランにボブ・アインホーンがいないのは残念だと仰るのは全くその通りだ。アインホーンが米国やP5+1に対して行っているように、イランの件に注目を集めることができる人物がいないのだ。」ウィーンで開かれたIEI会議に出席したドイツの学者アドナン・タバタバイは、会議終了5日後にザリーフに英語で手紙を書いた。P5+1とは、国連安全保障理事会の常任理事国5カ国とドイツを指し、テヘランとの核合意を交渉する外交ブロックである。アドナン・タバタバイはアリアン・タバタバイとは親戚関係にはない。

Adnan Tabatabai

アドナン・タバタバイはまた、イラン外務省に代わってゴーストライターを務めることも申し出た。「私達の提案としては、現在進行中の会談に関するエッセイ(2000字)をグループとして執筆することです」「例えば、CSRやIPISを通じて、元政府高官の名前で発表することもできます。- 勿論、あなたとあなたのチームが記事を修正した後にです。」と、タバタバイは同じメールでザリーフに伝えた。

外相は4日後、ザフラニのコピーを返信した。ザリーフ外相はこの提案を受け入れ、「これらの記事や論説」を、元政府高官だけでなく、海外の様々なイラン人や非イラン人の名前で発表するよう勧めた。このようなプロセスを経て、実際に出版されたかどうか、あるいは何本出版されたかは不明である。

アドナン・タバタバイはIEIについてのコメントを避け、イラン・インターナショナルと『SEMAFOR』の報道は 「虚偽と事実誤認に基づいている 」と述べた。また、ザリ-フ外相とのやり取りの信憑性にも疑問を呈した。イラン・インターナショナルは電子メールの法医学的調査を依頼したが、メタデータに偽造を示すような矛盾は見つからなかった。

IEIは、このイニシアチブの主要な目的のひとつである、政策立案者を特にターゲットにした意見記事や分析記事を米国と欧州のトップ メディアに掲載するという目標を速やかに推進した。ウィーンでの会合から 1 か月も経たないうちに、IEI のメンバーとして名を連ねるロバート・マリーに近い弟子、ICGのアリ・バエズが、核危機の緩和に関する記事を、出版に先立って IPIS のザフラニに送った。彼は2014年6月4日、「あなたのコメントとフィードバックを楽しみにしています」とペルシャ語で 書いて、「The Conceptual Perils of Nuclear Diplomacy with Iran(イランとの核外交の概念上の危険)」と題する記事を添付した。メールによれば、ザフラニは、この記事が届いたその日にザリーフ外相と共有した。そして12日後、『National Interest』誌に「False Dilemmas in the Iran Talks (イラン協議における誤ったジレンマ)」というタイトルで、若干の文言の変更を加えて掲載された。ザリーフからの返信メールがないため、ザリーフが修正を加えたかどうかは不明である。多くのシンクタンクやメディアは、出版前に記事を共有することを禁止しているが、ICGは『SEMAFOR 』への声明の中で、紛争に関与する主要関係者の意見を日常的に積極的に求め、関連文書を政策立案者と共有していると述べた。

Ariane Tabatabai / Columbia SIPA via YouTube

ペンタゴンの現職職員であるアリアン・タバタバイは、メールによれば、少なくとも2回、政策イベントに出席する前にイラン外務省に問い合わせあせている。彼女は2014年6月27日にペルシャ語でザフラニに手紙を書き、サウジアラビアのトゥルキ・アルファイサル王子(元駐米大使)に会ったと伝えた。王子は協力に関心を示し、彼女をサウジアラビアに招待した。彼女はまた、イスラエルのベングリオン大学で開催されるイランの核開発プログラムに関するワークショップに招待されたとも語った。「行く気はないが、エミリー・ランドーのようなイスラエル人が行って偽情報を流すよりは、私が行って話した方がいいのではないかと思ったのです。あなたの意見も聞きたいし、私が招待を受けて行くべきだと思うかどうかも確認したい。」

ザフラニは同日、こう答えた「全てを考慮すると、サウジアラビアは良いケースだが、2番目のケース(イスラエル)は避けた方が良いだろう。ありがとう。」タバタバイは数時間後にこう答えた 「ご忠告ありがとうございます。サウジアラビアについては対策を講じ、進捗状況をお知らせします。」タバタバイがイスラエルでの会議に出席した形跡はないが、彼女の著書や調査報告書によれば、イスラエル高官に何度もインタビューしているようだ。

アリアン・タバタバイはザフラニに、核合意について米議会で証言する予定だと語った。2014年7月10日、彼女はハーバード大学の2人の学者、ゲイリー・サモアとウィリアム・トビーと共に、複数の議会委員会に出廷するよう要請されたと書いている。彼女は、この2人をイランに対して強硬派だとみなしていた。「近日中に連絡します。ウィルもゲイリーもイランに好意的な見解を持っていないので、少し難しいでしょう」と彼女は書いている。

タバタバイはザフラニと、彼女がボストン・グローブ紙に掲載した「イランの核開発計画に関する5つの神話」という記事を概説したリンクを共有した。その記事では、イランがなぜ原子力を必要とするのかを説明し、イランの最高指導者アヤトラ・ハメネイ師が出したとされる、核兵器開発を非イスラム的として禁じるファトワ(宗教的布告)を強調した。西側の政府関係者の中には、このファトワの正当性を疑問視する者もいる。

テヘランからの眺め

ザフラニとハティブザデヒというIEIを支えるイランの高官達は、このイニシアチブの成功について内部メールで上司に自慢した。彼らは、2015年4月2日にスイスのローザンヌでテヘランと世界の列強との間で核に関する暫定合意が成立した後の1週間、IEIの研究者達がどの程度の頻度でメディアに寄稿したり、引用されたかを追跡していた。このメディアデータはテヘランのイラン外務省の他の職員とも共有された。

「私達の電話での会話を受けて、ローザンヌ枠組み合意後の1週間に私達の友人達が発表した作品のうち、最も重要な物のほんの数点をここに添付する。」とハティブザデヒはペルシャ語で書いている。「私達は常に連絡を取り合い、24時間体制で精力的に働いた。何人かの友人達は、自分達だけでメディアを運営しているような臨機応変さを発揮してくれた。」

2015年4月14日、ハティブザデヒは、ザフラニにメールを送り、ザフラニはそのメッセージをザリーフと核交渉チームのマジッド・タクト・ラヴァンチ外相代理に転送した。ハティブザデヒは、電子メールに10の別々のWord文書を添付し、それぞれがIEIの各学者のメディアでの足跡を参照していた。その中には、過去10年間マレーと密接に仕事をしてきたアリアン・タバタバイとアリ・バエズ、そしてICG在籍時にマリーに採用されたディナ・エスファンディアリーも含まれていた。(マレーは2021年1月、ツイッターでエスファンダリーをICGのチームに迎え入れたが、彼女が着任する前にバイデンの国務省に入るため退任した)

Dina Esfandiary / RUSI via YouTube

未来の外務省報道官であるハティブザデヒは、メールの中でこう自慢した「これらは、インターネット上の何百ものツイート、投稿、...に加えて、それ自体が間違いなくユニークで流行を先導するものでした。これらは英語だけでなく、他のいくつかの国際言語でも発表されたことに注目すべきです。」

ハティブザデヒによって共有されたリストによると、アリアン・タバタバイは1週間のうちに、『Foreign Policy』誌を含む4本の記事を発表し、『Huffington Post』紙や、強力なイスラム革命防衛隊とつながりのあるイランのFars News agency(ファルス通信社)のインタビューに答えており、そのほとんどが核協議に関するテヘランの見解を支持している。ディナ・エスファンディアリーとの共著である『National Interest』誌への寄稿では、イランは封じ込めるには「強大すぎる」国であり、「テヘランは力をつけ、この地域での足場を固める為には、いかなる合意も必要としない」と主張した。

アリ・バエズはメディアへの働きかけも非常に盛んだった。ICGのアナリストは、2014年3月のIEI開始から2015年7月のイラン核合意成立まで、『New York Times』紙、『Wall Street Journal』紙、『Washington Post』紙、『Los Angeles Times』紙など、米国の主要紙のほぼ全てに引用された。

イラン外務省、IPISシンクタンク、ザリーフ、ザフラニ、ハティブザデヒはコメントの要請に応じなかった。


ジェイ(記者)の見解

学者として、あるいはジャーナリストとして、イランを取材することは地雷原である。イランとイラン政府関係者へのアクセスは厳しく管理されている。そして、その機会でさえも重大な注意事項が伴う。記者としてイランを訪問した際、私は到着前に外務省に質問と記事のアイデアを提供し、政府指定のフィクサーを雇う必要があった。このフィクサーは翻訳を提供するだけでなく、私の行動や会合を明確に監視していた。イランの諜報機関が私を綿密に追跡しているのだと思っている。

テヘランはまた、時には成功し、時には失敗しながら、海外での情報活動を積極的に推し進めている。イラン人学者で米国永住権を持つカヴェ・アフラシアビという男は、テヘランの核開発プログラムに関する見識を私に教えてくれていたが、2021年にボストン郊外でイラン政権の無登録諜報員として働いていた容疑で逮捕された。バイデン政権とイランの間で今月合意された囚人交換協定の一環として、彼はテヘランに戻ることが許されているが、アフラシアビは米国に留まるつもりだと語った。

アップデート:アフラシアビは、恩赦を受ける前は裁判の前段階にあったが、この記事の発表後、私に連絡して来て、イランの利益を推進するエージェントとして行動したことはないと否定した。「私の評判を著しく傷つけた、このような不当で虚偽の記述に強く抗議する」と彼はメールに書いた。「国連のガイドラインに基づくイランのミッションの為に、非常勤で国際問題のコンサルティングをしていたことは、私の豊富な著書や記事とはまったく関係がない。私は米国にとって国家安全保障上の資産であり、決して脅威ではなかった。」と付け加えた。

「私達の電話での会話を受けて、ローザンヌ枠組み合意後の1週間に私達の友人達が発表した物の中から、もっとも重要なものをここに添付しておく。24時間体制で精力的に働いた。何人かの友人達は、自分達だけでメディアを運営しているような臨機応変さを発揮してくれた。」
サイード・ハティブザデヒ(ペルシャ語での発言)

イラン政権は派閥化も進んでおり、外交官やジャーナリストにとって、こうした亀裂を乗り越えるのは危険だ。「イラン専門家イニシアティブ(IEI)」は、ホロコーストを否定しイスラエル撲滅を推進したマフムード・アフマディネジャド大統領の8年間を経て、テヘランの亡国の地位を終わらせようと躍起になっていたロウハニ政権から生まれた。ロウハニの外相のジャヴァド・ザリーフは、以前テヘランの国連大使を務めていた時に、欧米の政治家や学者と幅広いつながりを築いていた。IEIの参加者だけでなく、ほとんどの西側諸国政府は、ロウハニ大統領の就任とザリーフ外相の登用を、イスラム共和国を世界経済に統合し、核危機を終わらせるための機会と見ていた。オバマ政権は、そのために表と裏の両方のチャンネルを使った。

しかし、ロウハニはイスラム共和国のより過激で強硬な面、特に革命防衛隊(IRGC)を代表することはなかった。そして2021年、人権侵害で米国から制裁を受けているイブラヒム・ライシ大統領が選出されたことで、こうしたチャンネルはほぼ閉ざされた。実際、ライシ政権はここ数週間、ロバート・マリーやIEIのメンバーの一部を目の敵にし、国営メディアで国内の人種・民族不安を煽動しようとしていると非難している。ライシ政権と関係のある英語メディア『テヘラン・タイムズ』紙は、マリーの活動停止を喜んだ:同紙は一連のコラムで、外交官の処分が、彼と彼の同僚の何人かが追求したイランへの働きかけそのものと結びついていると主張している。

『テヘラン・タイムズ』紙は先月掲載したコラムで、「マレーのイラン系補佐官との不審な交流が彼の失脚につながった」と書いている。国務省は彼の停職の理由についてコメントを避けている。FBIもマリーを調査しており、この外交官の行動は、機密情報の取り扱いミスにとどまらない深刻なものである可能性を示唆している。

イスラム共和国の策略にはまった米政府高官は、マリーが初めてではない。テヘランのシステムの不透明さと情報機関の広範な活動は、政府の真の意図を覆い隠してしまう。IEIのメールは、イランのシステムを覗き見ることができる。

見解の相違の余地

イランの外交官が「イラン専門家イニシアティブ(IEI)」の一員であるとして挙げたマレーの仲間で、『SEMAFOR』に直接話をした者はいない。しかし、バエズとエスファンディアリーの現在の雇い主であるICGは、IEIとその中でのテヘランの役割について、大きく異なる理解をしている。

ICGの代弁担当チーフであるエリッサ・ジョブソンによれば、IEIは、様々な組織の研究者にIPISやイラン政府高官と会う機会を提供する「非公式なプラットフォーム」であり、欧州の機関と欧州政府1つから財政支援を受けていると述べた。ジョブソンはそれらの機関の名前は明かさなかった。

「もう少し詳しく言うと、これは研究討論を促進するための手段であって、参加者が誰かに指示できるような正式な組織ではなかったのです。」「参加者が様々なシンクタンクから集まっていたことは、それが単なる非公式な場であったことを示しています。」と彼女は述べた。ICGはまた、スタッフが発表する文書は全て社内で吟味され、合意されたものであり:彼らは、イラン、あるいはいかなる政府も、彼らのチームのメンバーに対し、組織の公式見解と相反する立場を取るよう指示することはできないと主張している。

別の欧州のシンクタンクであるEuropean Council on Foreign Relations(欧州外交問題評議会)=ECFRは、シニアフェローの一人であるエリー・ゲランマエがIEIに参加していたことを認めた。ECFRの広報担当者は、ある欧州政府がIEIを支援していると述べたが、その政府名は明らかにせず、同シンクタンクはスタッフの調査旅行の「主要経費」を常に負担していると強調した。「欧州の政策に情報を提供する取り組みの一環として、ECFRは研究視察やワークショップなどを通じてを、世界中の専門家やシンクタンクと定期的に交流している」と広報担当者は述べた。

マリーはコメントの要請に応じなかった。国務省と国防総省は、IEIに関連する文書の内容についてのコメントは避けたが、アリアン・タバタバイと、彼女のセキュリティー・クリアランスの承認に関わる審査プロセスを支持すると述べた。「タバタバイ博士は、国防総省での雇用条件として、徹底的かつ適切な審査を受けた。彼女が務めてくれることを光栄に思う。」と国防総省は声明で述べた。

訂正

IEIに名を連ねるアナリストの一人とロバート・マリーとの関係を明確にするため、記事を更新した。マリーはこのアナリストを自身が運営するシンクタンクのチームに迎えていたが、彼女が入社する前にバイデンの国務省に入るために退任した。

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