アナの偽相続人疑惑: マー・ア・ラゴとFBI調査
ポスト・ガゼット紙 8/26/22 の記事の翻訳です。
組織犯罪・汚職報告プロジェクト(OCCRPの報告書)
フロリダ州パームビーチ - アンナ・ド・ロスチャイルドは一時期、ヨーロッパの銀行王朝の家系であることを自慢し、デザイナー服やロレックス時計を身に着け、17万ドルの黒のベンツSUVを運転していた。
バハマのエメラルド湾に広大な高級住宅地を開発すること、モナコに高層ホテルを建てること、マイアミにF1レース場を建設することなどを話していたと、彼女を知る人たちは言う。
数カ国語に堪能な彼女にとって極めて重要な出来事は、昨年、マー・ア・ラゴに招待され、ドナルド・トランプ前大統領の支持者と交流し、翌日、トランプやリンゼイ・グラハム上院議員ら政界の著名人とのゴルフに姿を現したことだった。
しかし、この33歳の女性は有名な銀行家の一員ではなく、現在、彼女の過去の財務活動や元大統領の自宅に彼女を導いた出来事について掘り下げたFBIの捜査の対象が広がっている。
「完璧に近い策略で、彼女はその役を演じた」と、クラブのプールを囲んで他の客と彼女に会った元投資銀行家のジョン・ルフェーヴルは言う。
FBIに加え、カナダの法執行機関は、彼女が2月からケベック州の重大犯罪課の捜査対象になっていることを確認した。
FBIが前大統領の海辺の家を華々しく踏み込む1年前、ウクライナから移住したロシア語を話す本名インナ・ヤシュチシンと言う女性は、前大統領の主要な支持者達に取り入りながら、名家の一員を装って何度も屋敷に足を踏み入れた。
イリノイ州のトラック運転手の娘であるヤシュチシンがトランプのクラブのセキュリティーを回避できたことは、アメリカの権力の中心地の1つであり、共和党政治の震源地である施設に、偽の身分と影のある経歴の人物が簡単に入り込めることを証明している。
2週間前、FBI捜査官がトランプの自宅の捜査令状を執行した後、マー・ア・ラゴから機密・極秘資料の入った箱を押収したことで、それらの問題はさらに重大なものとなっている。
彼女の入室 - クラブ敷地内への複数回の出入り-は、前大統領の住居とプライベートクラブを兼ねる施設の脆弱性を露わにし、起こりうるセキュリティーのギャップを浮き彫りにしている。
元米国財務省特別捜査官で、20年以上犯罪情報に携わったエド・マーティンは、「あそこは彼の住居だ」と語った。「彼女はあそこに入ってはいけなかったんだ 」と。
ヤシュチシンは、法的紛争における宣誓供述で、自分は別の名前を使ったことはなく、いかなる法律も犯していないと述べた。ポストガゼット紙のインタビューでは、彼女はアンナ・デ・ロスチャイルドを知らないと述べた。
「何か誤解があるようだ 」と彼女は言った。
彼女は、8月19日にFBI捜査官と面会しており、ロスチャイルドの名前と彼女の写真で作成されたパスポートや運転免許証は、元ビジネスパートナーが彼女を傷つけるために捏造したものだと言った。「それは全て捏造で、何もなかった 」と彼女は言った。
ルフェーヴルとこの記事のためにインタビューした他の3人のゲストは、ヤシュチシンが宮殿のようなマー・ア・ラゴの敷地に入ってから、自分がロスチャイルドであることを繰り返し人々に話し、「誰もがそれに食いついていた」と語ったという。
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