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苗字が嫌いだった話

4月から仕事上の苗字も、戸籍上の苗字にします。

1. 苗字で呼ばれるのが苦痛だった

2人姉妹。二卵性の双子。同居の家族は両親・祖父母。2世帯住宅。家族は私のことを「ゆりちゃん」と呼びます。

一般的に、同じコミュニティに同じ苗字が2人以上いれば、名前で呼び合うことが多いですよね。苗字で呼んじゃうと全員反応するからややこしいし。双子も同じで、近くにいるので、多くの場合、名前で呼ぶことが多いように思います。

でも、私は物心ついた頃から「うのちゃん」と苗字で呼ばれていました。
双子だけど、それはもう幼稚園の頃から性格も違えば、仲良しのお友達も違い、小学校に上がってからはクラスも別れちゃったもんだから、「ゆりえちゃん」と下の名前で呼ぶ必要性もなく、さらになんなら、「ゆりえちゃん」よりも「うのちゃん」のが言い易いもんだから、ずっと「うのちゃん」人生でした。

でも、本当は嫌でした。「うのちゃん」って言われるたびに、名前で呼んでもらえない寂しさを感じていたように思います。
それは単純に、名前を呼び合う関係性と比べて、心の距離を感じたりしていたということでもあります。

ただ、それ以上に、「うの」ではなく、「うのゆりえ」として見て欲しいという、なんだろう、アイデンティティの欲求のようなものが後ろにあったように思います。

2. 双子というバックグラウンド

世の中の双子仲間な皆さんも同じかどうかはわかりませんが、私は「双子」がコンプレックスでした。
「双子」ってよく比べられるんですよね。周りの人は良かれと思って、それぞれを褒めるのかもしれないけど、同じ場所にいるときにそれをされると、片方が褒められたことは「自分は褒められてない=劣っている」みたいにも感じられる。(ま、受取り方が、ひねくれてるんですけど)
そういうところでは「年子」とかも関係が近いのかもしれません。

「あなたはあなた、私は私」と思いたくても、常に良くも悪くも比べられるもんだから、自分の価値定義を「誰かと比べて優れているかどうか」に起きがちだったように思います。

それに加えて、我が母が「ちゃんとしなきゃ!」といつも思っていた人だというのも影響しているように思います。(そう思っていた母には、母なりの理由があるのですが、それは割愛します。決して母を責めているわけではありません)
母からは、「〇〇さんの〇〇ちゃんはこうらしいよ」と何度か言われたことを覚えています。その表現は暗に「〇〇ちゃんはちゃんとできるのに、あなたは…」と言われているように感じ、私がどうあるかという評価基準は「誰かと比べてどうか」というところに置かれているんだなあと、ここでも受け取っていたようにも思います。(今思えばなので、当時は自覚なしだし、相変わらず、受取り方がひねくれている。)

なので、嫌いだったのは、「苗字呼び」ではなく、「常に誰かと比べなくちゃ自分が確立されない・誰かと比べてどうかが自分のアイデンティティだという現実」だったわけです。
つまり、「苗字で呼ばれる」ということが、「名前で呼ばれる」よりも心の距離を遠く感じるとともに、「私自身だけを見てくれない」という現実のあらわれのように感じていたんじゃないかなあ。

それがこじれていって、「うのちゃん」が嫌いになっていったと。

3. 苗字呼びを手放すジレンマ

そんなこんなで、どんどん定着していく「うのちゃん」に抵抗したくて仕方なかった(けど言い出せなかった)学生時代を終え、社会人に。
(学生時代のささやかな抵抗は、当時の彼氏に名前で呼んでもらうことだったなあ。懐かし。)

仕事になると、苗字呼びが当たり前。(そりゃそうよ、ビジネスだもの)
ビジネス上はしょうがない。プライベートでは名前呼びがいいなとか、こじらせを引きずっていた時代もありましたが、パラレルワークをはじめ、仕事とプライベートの境目がなくなる生活を送るようになったら、全然そんなことを思わなくなり。なんなら、苗字呼びに愛着すら湧いてきました。

いや、苗字呼びはたまたま呼びやすかった名前がそれだったというだけで、あだ名の人もいるだろうし、名前の人もいる。
要は、「うのちゃん」が「うのゆりえ」個人を指していると思えるようになったから、その呼称に愛着が湧いたんだと。

人から「あーあのうのちゃんだ」って言ってもらえるたびに、「うのゆりえ」の個性を持った「うのちゃん」がじわじわ広がっているように思えて嬉しかったし、誇らしさも出てきたり。

だからこそ、このタイミングで「うのちゃん」を手放すことにはちょっと怖さがあります。
でも、私が「うのちゃん」を作ってきたように、きっと新しい名前でも、個性を作っていくことはできるし、新婚の今は、「光野」という新しい苗字(family name)で呼ばれることが新しい家族が作られた1つのあらわれのように感じて嬉しいので、その選択をしたいなと思いました。

そして、嫌な気持ちからではなく、ポジティブな気持ちで、名前を変えられて、本当に良かった。

4月から、「光野」でよろしくお願いします。
(あ、ややこしいけど、うのちゃんと呼んでくれても全然構いません。だって、mitsunoにunoも入ってますし。)

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Yurie
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