見出し画像

わたしはきょうだい児

わたしはきょうだい児だ。
弟が発達障害。

わたしは今23歳で弟とは4歳違い。さらにその下に歳の離れた妹もいる。

障害がわかったのは幼稚園のころだったから、わたしは物心あったし、弟が何か普通ではないと言うことを大人達が話してるということが分かっていた。
毎週のように支援センターに行って、ダウン症や自閉症、肢体不自由のある子どもたちと一緒に弟は訓練を受ける。わたしはそれについて行く。たまに障害のある子どもたちに話しかけられたり、突然体を触られたり、叩かれたりする。怖い。でも弟も突然することだから、それに対して怖がったり嫌がったりするのはいけない事のような気がするから。わたしはにこにこして、その子たちにどうしたの?と声をかけていた。

母から弟の障害のことを説明されたことはなかった。自分の気持ちを言葉にすることが苦手な弟と喧嘩になるといつもわたしが怒られた。あなたとは違うんだから、お姉ちゃんでしょ。あなたもわかるでしょ、それ貸してあげたらええんやんか。そうか、弟は普通と違うから、わたしは優しくしてあげなきゃいけない。守らないといけないんだ。

だんだん自分も成長して、一体弟はなんなのか調べるようになった。まずは図書室で、道徳の教科書、テレビ番組、インターネット。ある日家の本棚に発達障害の絵本や書籍を見つけた。難しい言葉は辞書を引きながら、母に見つからないように読んだ。母が隠そうとしていることを母に聞くこともいうこともなかった。次第に心の中のモヤモヤは増えていった。

思春期になった。進路や人間関係で悩む、心が不安定になる、イライラする。弟の世話をする母にイライラした。わたしのことなんてどうでもいいんでしょ。いつも弟ばっかり。なんでそんなに特別にするのか。わたしなんて家からいない方が母は楽なんでしょ。わたしはそこで隠さずに障害のことを説明して欲しかった。でも、どこまでも隠そうとする。なんでわからないの、あなたならわかるでしょう。わたしは絶望した。母に信頼されていない。隠し事をされるんだ。

弟の障害はなんなのか教えてよ、こそこそこそこそ隠すのやめて。わたしは何かわからないのにわかったふりをしていい子にしてなきゃいけないのか。

母は泣きながら話してくれた。どう説明したらいいか分からなかった。迷惑をかけたくなかったと。
話してくれてありがとう。わたしも力になれるように頑張りたいの。
わたしは看護師になった。そして発達障害の家族を支えられるようにさらに勉強を始める。

#わたしはきょうだい児
#発達障害

いいなと思ったら応援しよう!