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モルディブに想いを馳せて。
整理整頓のお話。
最近、小さいスペースの整理をちょこちょこと行っている。整理するのがどんなに素晴らしい効果をもたらすかは、行わなければわからないものだ。
仕事で持ち歩いているデジタルツール用ポーチは、ずいぶん以前に桐島かれんさんの営む「HOUSE OF LOTUS」で手に入れたもの。デジタルツールの殺伐とした感じを拭いたくて、異国の手仕事の香りのするポーチを愛用している。
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しかし長らくこの中は混沌としていた。PCの充電ケーブル、スマホの充電ケーブル、モバイルWi-Fiとその充電ケーブル、PCのイヤフォンとスマホのイヤフォン、録音マイク、USB、SSDなどなど。ケーブルを束ねるストラップなども導入しても、収納のタイミングというのはたいてい大急ぎで、丁寧に束ねている余裕はなく、毎度ケーブル同士が寝起きのロングヘアのように絡まり合っていた。それを解きほぐすたびに自己肯定感が下がる。つまり仕事の始まりごとに自己肯定感が下がる。これはとんでもない損失だ。そう気づいていながら何の対策も打っていなかったのだが、ふとジップ袋を導入してみたら、この問題が瞬時に氷解した。
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本当に、何でもないことの中に、答えはあるものだ。
気をよくして、裁縫箱の整理も行った。必要に応じて買い足してきた糸、衣類に付属していたボタンなどが貯まりに貯まり、蓋が閉まらない程になっていたのだが、しかるべきポジションに分類し、ボタンをジップ袋にまとめると、随分見晴らしがよくなった。
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こんな場所が随所にあって、一つひとつ向き合っているところ。生活というのは何と雑貨の多いことよ。
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キッチンにも、電池類、輪ゴム、ドライバー、ネジ釘類、爪楊枝、梱包用具、どこかでもらったポケットティッシュやミニカイロなどの日用品がごった返しているルーズな引き出しがあって、ジップ袋にまとめて不要なものをいくらか処分しただけで全貌が明らかになった。さてこれから取捨選択。
まだまだ、ものが多い。使いたい時に使いたいものが揃っているというのは一見豊かなようだが、今必要でないものに煩わされ縛られる人生は貧しい。
判断に迷った時、念頭に浮かべるのは、「3ヶ月後にモルディブに移住する自分」だ。もしも3ヶ月後にモルディブに移住するなら、このアイテムはもっておく必要があるか? 買う必要があるかどうか? と考えると、必需品はグッと少なくなる。我慢する、節約する、質素倹約、断捨離、と考えるとやるせないが、モルディブ移住のためなら気持ちは明るい。欲しいものがあっても「でもモルディブに持っていけないしね」と思えば優雅に欲を手放せる。「旅行」ではないから地に足のついた生活という軸はぶらさないまま、この先の美しい人生に本当に必要なものはなにか?が見えてくる。まあこれは極論ではあるのだが、私にとって迷った時の気持ち良い基準なのだ。まだまだものは多いが、少しずつ身軽になっていこう。もっと身軽になれば、本当に、モルディブが近づくかもしれない。