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VR界隈における選択的家族構成について

どうも皆さんこんにちは。(百合)豚です。
本記事は「2030年のカゾクのかたち」に寄稿させていただいているものになります。
一時期「ママと呼ばないで問題」みたいなので話題になった関係性の今後の展望について考えていこうと思います。

P.S. 2023/05/15
noteの規約が変わり、寄稿していたものを無料公開するのに合わせて、本記事も無料公開いたします。


選択的家族構成とは

自分自身がその相手との関係を選ぶことができ、それにより生まれる家族構成の事と、本記事では定義することとします。

本来人間がこの世に生まれてきた瞬間に、産んだ女性を母親、その旦那を父親、その二人の血縁関係を親戚....のように、血のつながりなどによる生まれと同時に決定される家族構成が、よくある「家族」というものです。

それと対照的に、ネットや現実世界において、自己や他者、グループにおいて「家族の役割(のようなもの)」を当てはめ、役割を果たしていくことで疑似的な家族関係を結ぶ。その時の家族関係は自分自身と相手の関係を選択することが出来る特徴があります。

このような関係を本当の「家族」とは言えないという意見もあるかもしれないが、今回は「家族という形式」としてみることとします。
例えば、「豊臣秀吉と黒田官兵衛」、「劉備玄徳と諸葛亮孔明」は中身だけ見ると全然違う二人組になっているが、「主君と軍師」の関係の形式であるとまとめることができます。
関係の形式とは、人々を結びつける心的相互作用(親子、主従、友人などの関係)から生まれる人と人との関係の形であり、このとき、内容が異なることよりも形式が同じであることが重要であると考えるものです。

選択的家族構成の例

今回、特にこの選択的家族構成が行われているVR界隈・Vtuber界隈で例を挙げさせていただきます。

・VRChatなどのVRワールド内での一例
VRchatなどにおいては、アバター(ガワ)を纏いその世界の一部に入り込むことにより、そのワールド内部における人物との関係を築くかの選択をすることができます。これは家族だけではなく、アバターの種類においては主従や戦友のような感じで、様々な関係性があるのも特徴です。

・Vtuberにおいての一例
Vtuberにおいては、ガワを描いてもらう作家さんを「母親・父親」と見立てることが通例となり始めています。(これに関しては結構否定的な意見もあるので、通例にはならないかも)
これにより、その「母親」が生み出したキャラクターを兄弟姉妹として接することも少なくなく、そのつながりを活かしてコラボなどが行われることも多いです。

メリットとデメリット

このような関係が生まれることによる当事者への影響、及び周囲への影響をメリット・デメリットの項目に分け考えてみます。

・メリット
 多くの人脈が生まれます。ネットでの人間関係というのは結構薄い繋がりのものが多いです。知らない間に知られていて、知らない間に離れられていくような関係が昔は多かったと思います。しかしその関係性に疑似としても名前が付くことで、関係に重みが生まれるようになりました。その関係は周囲にまで及ぶため、結果的に人脈が増えることがあると考えられます。

また疑似的に家族としての繋がりを持つことで、その役割を演じることを相手に要求し、自身もその役割を演じることになります。この人と人とが互いに作用しあう関係を意図的に作ることで、曖昧な関係よりも明確化することができ、より親密な関係を築くことができます。これによりその役割を演じるためにより生産性を高める、承認欲求を高めるなどの効果が期待できると考えれます。

さらに、人は相手の個性を関係の形式に当てはめてみることが多く、その中のズレや偏差から個性を心の中で組み立てることがあります。つまり、ある人の「家族」であるという、一種の個性を認識し、記憶することがあるため、覚えてもらいやすいなどの点も挙げられます。
(「絵を描く人」という認識よりも、「○○の絵をよく描く人」の方が覚えやすいなど)

ちなみに、小生は現在彼女を募集中なんですが、リアルはチビデブで彼女できる可能性1%くらいの人間なので、アバター(ガワ)をかわいくして、彼女になってくれる人を人脈増やしつつ探したりしています。彼女募集しております。よろしくお願いします。


・デメリット
人間関係に押しつぶされやすくなります。昔からのSNS上での付き合いというのは軽い付き合いだと前の方で述べましたが、自分とは合わない人や苦手な人、危ない人間に近づくのも離れるのも自由だというメリットもあるわけです。相手の事を知れば知るほど、離れがたくなりやすく、より深い問題に関わってしまうこともあるでしょう。
その中でも、「家族」として取り上げられることに嫌悪感を感じる人間も勿論いるため、その関係を演じることに拒否感をおぼえる・一時的に適当に接する・ストレスをためる(役割距離)などの状態も起こりえるでしょう。

小生も、人間関係でかなり揉めてしまい、様々な方面の方にご迷惑をおかけしてしまい、結構大々的に謝罪をしたこともあります。あの時のストレスは本当に尋常じゃなかったです。


今後の10年間での選択的家族構成の在り方の予想


VRの普及、およびVRという技術を中心とした開発がこれから10年で大幅に進むとした前提で予想を行います。
 
選択的家族構成などが行われる界隈に流入する人間の低年齢化による、様々な問題の取り上げが大きく行われると予想されます。
現に、配信などの簡単化による流行に伴い、子供の軽率な行動が一時期話題にもなっています。同じような事件がVRを中心として起きる可能性があるでしょう。
しかしこの時、”VR”ということを中心として取り上げられることはないかもしれないです。現在まだVRはマイナーな部類になっているため、これから10年において、VR自体の開発や普及は進んでも、まだSNSなどに比べれば普及率は低いだろうと予想しています。


ネットへの人間関係に重みが着く場合、今現在匿名性を盾にした誹謗中傷などへの軽い抑制が考えられます。
現在のSNSにおいては、匿名性に守られている(個人としての注目が行われない)、相手の事を知らないからこそできる(人間関係への重みが無い)ということが特に問題点としてあげられますが、VR界隈に置いてアバターの存在はある意味の第2の自己への置き換えが過剰なまでに行われるため、誹謗中傷への経験による相手への言論の抑制が行われると考えられます。
しかし、誹謗中傷がすべてなくなることはないでしょう。これは現代でも大きな問題となっているいじめが、匿名性を盾にしておらず、相手の情報を持ったうえで行われる行為であることより予想しています。

これらのことより、ネット関係の法整備の需要が高まると予想されます。
多くの人間がSNSを使い、より重みのある関係でつながることにより、今まで日常でも起きていたような問題が同じように起こることが増えると予想されます。ネット上での不倫関係、いじめなどの問題がVRというアバターを持つことでより具体的な現実に近づく事で、一般の人にもその深刻さが伝わりやすくなります。今まで深刻に考えられなかった問題が、より現実味を帯びて考えられるようになるのです。
この時ネットという特殊条件下においての法の解釈が広くなり、より深い法の適正が行われることで、現在も問題になっているネットへのリテラシーが一般的に浸透するのではないかと予想しています。


まとめ

選択的家族構成がネット上で行われることで、より人間関係が重くなっていくことが想定されます。また近年発達し流行しているVR界隈と混ざり合うことで、より現実に近い感覚での人間関係が生まれ、それによるメリットも問題も発生することが予想されました。

現実味を帯びるということは、一般的に普及しやすいことの裏返しだとも考えているので、自分で選ぶ家族が広がっていく状況をどう捉えていくのかというのも重要になるとも思っています。
勿論それでいいこともあれば、悪いこともあるので、唯々知らずに排除するのではなく、そういう形があるんだと片隅に覚えてもらえれば、今後問題が起きても大きくはならないのかなと思います。


P.S.
この文章は無知識の人間が書いたものなので、意見や疑問などがあれば、コメントいただけると作者も助かります。よろしくお願いいたします。

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