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この関係がずっと続くといいね
寝返りの打てない小さな車の中で布団にくるまりながら友達と目を覚ましたのは公園の駐車場。疲れきった体に優しい秋のお日様が差し込んできて、「おはよう」と呟きます。
学生の頃、車中泊しながら東京から大阪までのんびり旅をしたお友達と数年ぶりにまた同じ道を辿って旅行をしました。今回で3回目。
同じ道とはいっても、また一つ大人になった私たちは高速道路を思いっきり使ったり、お金を使って観光地の中でお腹と心を満たしたりして、成長した喜びにひたひた浸って、昔のことを思い出しながらゆっくり過ごしました。
でもやっぱり車の中に布団を敷いて美味しいお酒とお惣菜を並べて湖の見える駐車場で語り合いながら眠る午前二時は、いくつになっても変え難いもの。
あの頃は観光地で遊ぶお金はなかったね。こんな場所があったんだね。あの頃はあの人もいたね。仕事が無くなったり、忙しくなったり、新しいことに挑戦したりしたね。またこうしてここにこれてよかったね。
色んなお喋りをした旅の終わり。お友達のご実家にお邪魔して、お母さんが車で駅まで送ってくれました。
「この関係がずっと続くといいね」
お母さんは朗らかにそう言いました。まるでサンタさんは来ると言って枕元にプレゼントを置く天使みたいな声。
「そうですね」
前を向いて溢れそうな気持ちで返事をしました。祈るような心を受け取って、私たちはいつまでも誰かの子どもなんだと安心して、また明日からも頑張ろうね。
ずっと続くことを願える今をありがたく思って過ごしていきたいですね。