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回らない鮨屋に一人で

人生初めて、回らない鮨屋に一人で行ったときの時の記録。

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記念日でもなんでもないのだがずっと気になっていたので、勇気を出して突入。隣は常連らしきおじさんで、向かいはおっとりした夫婦。もの凄いのんびり時間が流れていて、昔したひとり旅の気長さを思い出す。店内は旅館の一室のような空気感で、ひたすらのんびり日本酒を啜りながら美味しいお寿司を頬張る。幸せでしかない。

片手間で野球速報を眺めて、もう完全に緩み切っちゃってる。こんな贅沢なお店に来て、ここまで緩み切れるなんて、私も大人になったものだ!鮨屋の大将はsnsで見つけて、近所だったので気になっていた。どうやら入退院を繰り返しているおじいちゃんで、今月だけ調子がよく開けているそうだ。月末ぎりぎり。来れてよかった。時折厨房から見せる姿やスタッフさんにかける声に現役らしい力強さを感じる。ゆっくりどっしり、おおらかなお店だ。となりのおじさんに話しかけてみたいけど、なかなか勇気が出ない。

こんなゆっくりした時間もなかなかないので、のんびり考えごとをする。しょうもないこと、しょうがないこと。

随分考え込んで、ふと我に帰る。
てかホント寿司美味いな?お通しの野菜も、刺身も、鍋も、にぎりも、全てとろけそうで最高の極みだ。とんでもなく長くてとろける時間が永遠と続くようだ。彼が握った、この美味しい寿司は、あと何回食べられるのか。これからまたこの店は閉まって大将は療養する。また、また食べたい。今度はカウンターでお話がしたいな。贅沢で幸せな時間だった。

今日は火曜日。明日も仕事だ。こんなことができる大人になれて、私は最高に贅沢に育った。ありがとうすぎ。視界の端で追っていた野球もなんだかよくわからないけど、勝った。

随分時間がまた経って、最後のデザートがきた。シャインマスカット握り。これが美味い。ごちそさまでした。

と、思ったら最後にとんでもないプレゼントがあった。「お吸い物忘れてるよ」だそう。バイトの女の子が出し忘れたのだ。

お会計時に流れでお隣のおじさんに「美味しかったですね」と声をかけたら、意外と気さくに返事をしてくれて盛り上がっていたところだったので、ありがたいプレゼント。さっきまで一人で過ごしてたので、突然お吸い物の美味しさを「沁みますねえ」と分かち合える人ができてテンションが上がる。しかも松茸だ。

彼は、大将のことや、お店のことをぽつぽつと話してくれた。

最後に大将本人に挨拶をして店を出る。
おじさんとは「彼がまたお店を開く時に、いつかまた。おやすみなさい」と挨拶をして分かれた。

満天の雨の夜。最高の思い出になる。

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自分だけの日記で記録しましたが、美味しく、幸せな過ぎて、ここでシェアしました。

おやすみなさい。

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