おわりの朝【定期券内から】
今日も電車に乗っている。黒いコートに身を包んで職場に向かう人たちと一緒に、私も早足で大移動する。
つい昨日まで遠い雪の国でぼんやりと過ごしていたのに、あっという間にいつもの朝。旅から帰って来てアパートの扉を開けてから、直ぐに大きな荷物からひとつずつ物を元の場所に戻し、洗濯機を回し、熱い湯船に浸かった。
浮かれた風船の紐を手繰り寄せるような作業が淡々とできるようになって、大人になったわあなんて自画自賛しちゃう。
でもやっぱり、始発から終電をカタンコトンと乗り継いだ子守歌みたいな車内を恋しく思う。
左手に下げたバッグのなかでお土産のおつまみが揺れている。
もうすぐ職場の最寄駅につく。
同じ場所の往復だけじゃない、この乗り物は遠くまでいけるって知っている、いつもの新しい朝のはじまり。
また来年も行けたらいいな。
今回も私の短い旅の記録を読んでくれてありがとうございました。