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【報告レポート】ウクライナ避難者支援活動の1年を振り返って(2)

日本YMCA同盟の横山由利亜です。
 
YMCAウクライナ避難者支援プロジェクトでは、全国の皆様に本当に力強くお支えいただき、心から感謝を申し上げます。
 
◯【報告レポート】ウクライナ避難者支援活動の1年を振り返って(1)
  https://note.com/yurianne/n/n4a8867045962

■来日避難・緊急支援フェーズから生活スタート支援フェーズへ

避難者への来日支援・緊急支援と同時に、日本に避難してきた方々のニーズに応じた居場所づくり、日本語教育の提供などが始まりました。
夏からは東京に集中する避難者の生活支援というように拡大し、YMCAの支援は全体として日本にいる避難者2300名の4割近い方々、約900名にアプローチするに至っています。

これはYMCAのグローバルなネットワークによりいち早く命のバトンをつなげたこと、そして来日してからは日本各地のYMCAの協力を得てどこに行っても温かな生活支援ができたこと、なにより共感してくださる多くの方々に募金や励まし、差し入れなどをいただいたことがあって実現しています。
このグローバル、そしてローカルのYMCAの人道的な伴走支援は世界的に見ても非常にユニークな事例となっています。
 
YMCAはこれまでも、国内外の災害や紛争の支援を行ってきており、フェーズに沿った支援という考え方を持っています。
進行直後の3月、4月は今お話ししたような世界的混乱の中、命を救う緊急フェーズでありました。
私たちも支援をした人たちが成田空港に到着するたびに出迎えに行き、避難者と家族の涙の再会に立ち会いました。
そして、「あぁ」と胸をなでおろして安堵していました。
 
しかし、考えてみればこれはゴールではなく新しい生活のスタートだったのです。
当然ですけど、それに気付かされ時にははっとさせられました。
なぜなら、人は命が助かったということだけでは生きられる存在ではなく、今回のように全く準備のない、計画のない異文化での生活、そのスタートがいかに困難であるか、一緒に直面する毎日が始まります。
 
そして、避難者たちの心の大半は、遠い本国に残してきた家族や友人への未練や心配、そういったもので占められていて、彼女たちはニュースやインターネットから離れられない、そういった二重生活を送るという特殊性もありました。
 
最初は住居の手配から、複雑で縦割りな行政の手続き、住民登録、保育園、学校探しなど私たち日本人でも大変な作業が待ち受けていました。
もちろん、全部が日本語で、ウクライナはテクノロジーが発達していますけれども、日本の手続きの多くは書類、ハンコ、それの連続でした。

膨大な日本語の書類に翻訳機片手に挑む日々

■ウクライナカフェ・ひまわりのオープン

そうこうしているうちにあっという間に彼らが経験したことのない梅雨、猛暑がやってきました。
私たちは居場所として「ウクライナカフェ・ひまわり」をオープンし、生活支援講座や無料バザーなどを行いました。
避難者の多くが女性であることから、できるだけリラックスした雰囲気をどうやって作るか、例えばウクライナにいた頃、週末や仕事帰りにしばしほっとするできる空間、スタバ的なカフェでコーヒーを飲むような空間、そういった空間づくり、できるだけ支援する人・される人ではない関係作り、生活に直結する知恵や工夫の分かち合い、そして必ず子供のプログラムを入れて母子で安心して過ごせるようにするなどの工夫をしました。

母子で参加するクラフトワークショップ


ウクライナ語の絵本を本国から取り寄せて小さな図書館づくりに着手したのもこの頃です。
 

ウクライナから取り寄せた絵本や日本語の絵本にウクライナ語翻訳を貼り付けたものを貸出し

ご存じの方も多いと思いますけれどもウクライナでは成人男子、18歳から60歳は兵役のために出国することができません。
日本に避難してくる人たちの75%から80%が女性、その多くが母子、次に中高年のご夫婦、単身女性、最後に障がいや理由があって出国が認められた男性となっています。
私も驚いたんですけれども、避難してこられる方々も医師、弁護士、建築士、鉄道技師、エンジニアなど理系・工学系の専門性のある仕事に就いておられた方がたくさんいました。
皆さん、非常に独立心が強く、支援に頼るのではなく1日でも早く仕事がしたいと訴えられました。
現在、避難から8か月から1年という中ですけれども就業率は15%程度、そのほとんどが自らのキャリアを活かす仕事ではない、パートタイムでの軽作業などに従事しています。
そしてもう一つ印象的な子度が、テクノロジーが非常に進んでいる国と申し上げましたけれども、子どもたちは本国の学校教育を来日したその日も小さなスマホで授業を受けて、今でも本国の教育を続けていることです。
 
(3)へつづく

 活動はTwitterでお知らせしています。

ウクライナからの避難者に寄り添うYMCAの支援活動は変わらず継続してきます。
皆さまにおかれましても引き続きご関心・ご支援くださいますようよろしくお願いいたします。

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