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変態と春浮かれポンチ野郎の違いはなんだろう

ひとつの空間に集まった人たちは、ただ当たり前の日常として、何の目的もなく、お互い踏み入れることなく混じり合うことなく、身を寄せ合っている。そんな体験は電車やバスなどの公共交通機関以外でしたことがない。電車で出会うひとはみんな普通の人で、でもよく目を凝らすと一人一人が愛おしい。私は一緒に居合わせた、その人たちと手を取り合って踊りたい。電車で出会った人たちと私の試行エッセイ。

隣に座った男の子はたぶん6歳くらいかな。肩からキッズカメラのようなものを下げている。最近はカメラが安価になって、キッズカメラがよくプレゼントに選ばれるという話を思い出した。彼は、念入りに自分が撮った写真を見ている。ちょっと横目に彼のカメラロールを一緒に拝見させてもらう。「がんばれ、日本」と書いてあるホワイトボード、海の写真、ふとした時の手の影の写真....。彼にとってはこのカメラロールが自分の見ている世界の切り取り方で、そのひとシーンひとシーンが宝物なんだろうなと思った。彼は一通り見終わると、満足げに手遊びをはじめた。彼が切り取る世界の続きを想像する。

小田急線 2023年4月2日 本厚木行き 17時くらい


前に座っている小学1年生くらいの女の子と小学3年生くらいの男の子がもたれあいながら健やかに眠っている。たぶん兄弟かな。お母さんらしき人も隣に座っているけれど、2人の眠りが車窓からの木漏れ日で照らされていてとってもいい姿だった。2人はいつもは喧嘩しているのかな、仲良しなのかな、昨日の夜食べたものとかで取り合いっこしたのかなと一人っ子の私は妄想する。眠っている顔というのはいつも無防備で、愛おしさが芽生えてくる。人生は私が小学生の時に思っていたよりも、なかなか険しいこともあるけれど、彼や彼女が、あどけない寝顔のまま人生を歩めればいいなと思った。

東海道線 2023年4月3日 古河行き 14時くらい 


電車が東京駅に入ると、窓から桜の花びらが舞い込んできた。これだから春は好きだ。ひらひらと迷い込んだその花びらに電車に乗っている人たちとニコニコしてしまう。桜は本当にすごい花だ。見頃なんて1ヶ月もないのに、みんな桜を見るだけで浮かれてしまう。わたしも春の陽気や桜をまちで見かけるだけでなんか気分が晴れてくる。悲しいこと、さみしいこと、つらいこと、思い出してちょっとしょんぼりすること、人生にはいろいろあるけど、春が来たらなんか浮かれてしまう気がする。変態は春に出る理由がわかるって昨日友達とLINEしたな。変態と春浮かれポンチ野郎の違いはなんだろうとか、考えてニヤけていた。

東海道線 2023年4月3日 古河行き 15時くらい

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