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マイヒーローの話

この節は観に行けなかったので、マイヒーロー…こと、エヴァンスルーク選手のプレーで私が好きなところを延々と書こうと思います。なので、ほかは特にないです。あ、ひとつだけ。

お通夜ベンチじゃなかった!

茶化しているわけではありません。為せば成る。やればできる。こういう言葉、薄っぺらいようで、そうでもないと思っています。

観客である私は、勝ち負けに関わらず、その日の試合がどうやる側からは感じられたのか、言葉で聞けることも嬉しく思います。
その作業が、負けた日にはしんどいものであること、切り替えて進まなければならないことだということも、理解はできています。

ただ、これを仕事と考えたときに、私自身に当てはめて考えると、ミスをしたときほどよく考えて、それを無駄にしないようにしたい、と思って生きています。
もちろん、プロスポーツは特殊な業界でしょう。けれども、思うようにいかないとき、前に進むためのある種のネガディブさは、ステップアップのエネルギーにもなり得るのではないか、と思います。

鹿児島戦の2戦目から、エクセレンス戦の1戦目、そして2戦目へと、徐々に良くなってきたゲームでした。今シーズンの中で、いちばんしんどい振り返りだったかもしれません。
その中で苦しんで全員で出した結果は、残り4戦への糧になったと信じたいです。

前を向く、ということは、ただ前向きになることとは随分違います。

東京エクセレンスとは3勝1敗でした。

悔やまれますが、チーム状態も決して良いとは言えず、力負けなので仕方ないです。
ホーム最終戦を勝ててよかったんじゃないかと思いました。正直、自力優勝のプレッシャーが消えた方がいい試合をしたのではないか、という印象でした。
エクセレンスとは序盤に対戦していましたね。

いつものみなさんは、お元気そうでした。
おつかれさまでした。

「献身的」というひとこと

バスケットボールの面白いところのひとつに、ひとつのシュートが決まるときに、無数の献身が隠れていること、だと私は思っています。バスケットはコートに10人いるけれども、最終的にシュートを打つのはただひとり。
その1人を守り切れば得点は入りません。その中で、味方5人全員が役割を全うすればするほど、得点は楽に取れる、と言っていいでしょう。

受け取りやすいパスを出すこと。
ボールを奪われにくいように動くこと。
ボールを持ってない人も、抜け目なく自分のディフェンスを引きつけておくこと。
シュートに持ち込みやすいように道を切り拓くこと。

アシスト以外は、上記は直接何の記録にも残りません。当たり前に、自分の得点にはならない行為です。しかし、それがなければ成り立ちません。献身とは、身を捧げて何かに尽くすことを表しますが、バスケットボールでは、それが大切な競技であり、観ていると分かりやすい(コートが狭いのに選手が大きいから)スポーツだと思っています。

エヴァンスルーク選手を表現するときに、どういったイメージを持たれているでしょうか。
簡単に検索すると、美しさを讃えるものが多いです。確かに「映える」類の選手なのかもしれませんが、彼がこの世界で生き残っている最たる理由のひとつに、その献身の度合いが挙げられても許されるのではないか、と私は感じています。

たぶん、こういう姿を収めるべきではないのかもしれません。世間一般の求める「かっこいい」の範囲の方が、いいのかもしれないです。

でも、私はルークのディフェンスが大好きなのです。

適切に速く戻ろうとすること。
決してあきらめないこと。
どのポジションの相手でも守り切ろうとすること。
チームメイトのカバーに奔走すること。
残り時間を計算してベストを追求すること。

それでも、得点されてしまう場面はいくらでもあります。どんなにやれる手札を全て出して守っても、シュートは入る時は入ります。
悔しそうな表情は幾度となく観ました。それでもそれはほんの一瞬で、躊躇うことなくオフェンスに今度は関わり、またすぐ戻ってきてより適切に守ろうとします。

それは、何分出ても、どのような使われ方でも、何年観ていても、変わりません、というか、年々守れるポジションは増え、ファウルの管理もより賢くなってきている印象さえあります。
自身の得点の確率や、アシスト数も徐々に増やしながら、です。

4Q 1:24〜26

B3TVで見逃し再生のできる方は、是非見てほしい場面です。昨日(5/22)の試合ですね。
静岡89-85EX です。89-83でリードのところ、時間を使いたいガードのキャリーをハードコンタクトでスティールされてレイアップを沈められ、4点差まで追いつかれた場面です。

コートにいる静岡のメンバーは、マイク・大石・ガドソン・村越・ルーク。残り時間が少ないので、比較的ボールが持てるメンバーにしていますが、ムッサとルークを同時出しはしていません。何故なら、この時点でルークと村越の両者のファウルが4つまでたまっていました。
どちらかが消えてしまうときに備えて、ムッサは出ていません。

ボールを持っているのは個の打開力ならB3ではトッププレーヤーのひとりである、マイケル・クレイグ。
マッチアップは村越です。切り返して(ここで簡単に抜かれなかった村越も大切な役割でした)キングのスクリーンにより、マッチアップがスイッチされます。
クレイグ対ルーク。ルークのファウルが4なのは皆分かっているので、クレイグはアンドワン、もしくは2スローに加えて、ルークを追い出すことを狙い即座に突っ込んできます。

ここでの2点ないし3点で、87点か88点になり、ルークが消えるのは死線に突入することを示しています。

ルークが手を出してくることを期待してか、クレイグはターンアラウンドをしてきます。クレイグは104キロ。ルークは100キロ。もう、軽い交通事故みたいなものです。ルークのアームがクレイグに触れた途端に笛は鳴るでしょう。

ルークは迷わなかったと思います。身体は付いてきていました。飛ばずに両足も床に付けたまま、ハンズアップのままで、その勢いを身体全体で受け止めて倒れ込みます。

倒れたルークの角度から見えたサイドのトレイルオフィシャルはルークのファウルなのかどうか迷いがありましたが、エンドで見ていたリードオフィシャルがはっきりとクレイグのオフェンスファウルと判定し、それに従いました。

オフェンスファウルというのは、条件の難しいものです。
☑︎シリンダーはもちろん侵食していないこと
☑︎コンタクトの瞬間に両足が床についていること
☑︎ノーチャージエリア(ゴール下の半円)の外であること
全てできていました。ここで流れを相手に渡すことを防げたのだと思います。私は泣きました。とてもルークらしいと思ったのです。

そのあと、ルークは残り25秒、ガドソンのドライブが2人引きつけてパスが出ることを予測してコーナーから走り込み、92-87としました。
この2日間、右脚は、アンダーの下にもサポーターをしていました。こんなことは観ていて初めてです。それでも、いつものように最後まで丁寧にボールをリングに沈めるシュートでした。

今シーズンも、あと4試合。
どうかご無事で。ご武運を祈ります。

2021.05.