他者
久しぶりに出かけた。
今にもぎっくり腰になりそうで、やむを得ず整体に行った。庭でする運動はやはり些細なもので、川辺での散歩も人が多くままならなかったら身体中痛くなってしまい、なんだか山のような罪悪感とともに街を歩いた。
家から出ないで済むのは有難い事だ、というのは理解している。恐る恐る歩く街には、昼間だったこともあり人がそれなりに多くて、私はなんだか怖くなってしまった。
感染とかそういうことではない。スーパーに買い物は行っているので。
なんだかこう、慣れていない気持ちがしてそわそわした。もう10年以上の付き合いの整体の先生とも、私はうまく会話ができないことに自分で驚愕した。
2ヶ月ほど、私が家族以外の方と会話しているのはコンビニの店員にマスク越しに「あ、一緒でいいです」とお菓子と食べ物を同包する旨を伝えているだけだったからだ。
短い時間で、忘れてしまうものなのか。
感覚は5分くらいで元に戻ったが、衰えてしまったときの感覚は忘れきれなかった。私はこんなにも簡単に忘れてしまうのだった。
部屋の消毒にいつもの倍以上時間をかけてくれ、些細な出来事の会話は有り難く、楽しかった。
帰路で身体の痛みと鬱屈した気持ちは晴れたが、思うのは人間は、他者との関わりがあった方が良いのだ、と感じる。多くのストレスはあれど、人間は家族以外とも関わりを持って生きる動物なのだなと思う。
当たり前のことに気づかされる毎日だ。
2020.04.26.