【短編】劣等感の塊
その人は,人当たりがよく,優しいと評判な人。
その実,野心家で,虚栄心が強い。
だから,目の上のたんこぶ的な彼のことが気に入らない。
たんこぶ的な彼もまた,その人をうっとおしく思っている。
基,たんこぶ的な彼は,その人を疎んでいるわけではなく,自分以外のだれのことも認めないのだ。
だれの言動も,すべて否定することから始まる。
だったら,初めから自分の意見を言えばいいのに。
だったら,最後まで責任を取ればいいのに。
人のよさそうなその人は,その実,たんこぶ的な彼のことをうらやましいと思っていて,彼のやることなすことマネしたがる。
自分がすごい人とつながっていることを自慢して,ひけらかす。
自分には能力がないことがわかっているから。
劣等感の塊のような人。
本人はそのことに気づいていないだろうけど,周りはみんな気づいてる。
だから,あえて,そこに触れないように気を付けている。
そんな二人の関係。
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