変わる犯人、終わらない惨劇『レイジングループ』2周目プレイを終えて

はじめに

Switchでプレイしていた『レイジングループ』、2周目のエンディングまで無事にたどり着きました。1周目とはまったく異なる展開が繰り広げられるループ構造に、すっかり引き込まれています。
特に2周目では、1周目とは異なる選択肢や新しい情報が加わり、ストーリーの核心により深く迫っている実感があります。早くも3周目に突入したい気持ちを抑えつつ、このゲームの面白さや魅力をさらに語ってみたいと思います。


人狼ゲームをベースにした連続殺人事件

プレイヤーが挑む“人狼ゲーム”の世界

『レイジングループ』のストーリーは、主人公(=プレイヤー)が、ある集落で発生する連続殺人事件に巻き込まれ、その真相を解明していくクローズドサークル的なミステリーです。
ただし、この連続殺人事件は単なるミステリーではなく、“人狼ゲーム”をそのまま物語に落とし込む形で展開されていきます。

プレイヤーは“人狼ゲーム”のように、村の住人たちの中に潜む“狼”、つまり連続殺人事件の犯人を見つけ出すために推理を進めていきます。

①犯人の人数が事前に明かされる新鮮さ

『レイジングループ』では、殺人事件の犯人の人数が「2名」あるいは「3名」と、推理を始める前にあらかじめ提示されます。事件解決を軸としたストーリーにおいて、犯人の人数が最初から明かされる形式は非常に珍しく、プレイヤーの推理は「誰が犯人か」を探るだけでなく、「複数犯がどのように連携して行動しているのか」という視点も求められます。

また、疑わしい人物との会話中も、他の人物たちの動向や言動を読み解く必要があり、特定の人物だけではなく、全員の動きを把握する必要があります。すべての人物の言動が複雑に絡み合いながらも、ひとつのエンディングへと繋がっていく。その過程が圧巻でした。

②ループによる新たなストーリー展開

『レイジングループ』では、ループ=繰り返し、やり直すという仕組みがあるため、1周目プレイ時と2周目プレイ時ではストーリーが大きく変化します。
つまり、1周目の犯人と2周目での犯人が異なるだけでなく、犯人の人数や人間側の役割=“人狼ゲーム”における“占い師”、“霊能者”、“狩人”、“共有者”を持つ人物も、ストーリーによって異なるのです。
これは実際の人狼ゲームのように、毎回異なる状況で展開される感覚を再現していて、それぞれのストーリーをより複雑で面白いものにしています。

③「犯人側につく人物」の存在

さらに『レイジングループ』では、単なる犯人当てに留まらず、「犯人ではないけれど犯人側につく人物」も登場します。調べたところ、これは“人狼ゲーム”における“狂人”に該当する役割のようです。

そして、この“狂人”の存在が、プレイヤーの推理をさらに複雑にさらに広がりのあるものにしています。“狂人”は、表向きには“村人”として振る舞いながらも、実際には“狼”側の勝利に数的優位をもたらす存在です。この「“村人”でありながら“狼”側に有利に働く」という特異な立場が、不確定要素を生み出し、プレイヤーの思考を一筋縄ではいかないものにしているのです。

人狼ゲームと伝奇的要素の融合

“人狼”のルールをストーリーへと適用

『レイジングループ』では他にも、“人狼ゲーム”のルールがそのままゲーム内で起きる連続殺人事件に適用されています。

ただ、対人ゲームのルールをそのままストーリーに組み込むと、現実的には矛盾や違和感が生じるものだと思います。たとえば、
・どうして夜にだけ殺人が起きるのか
・犯人が一晩に1名しか殺害しないのはなぜか
・犯人は施錠した部屋になぜ入れるのか
など、現実の行動原理としてはやや不自然に感じられる部分が出てくることがあります。

伝奇的要素で説得力を持たせる

しかし、『レイジングループ』では、これらの違和感を伝奇的な因習や文化、宗教を使って巧妙に解消しています。たとえば、村の伝承として語られていたり、『おおかみ様(大神様)』という神聖な存在の意志として説明されたり。展開上、説得力が補強されているのです。

このように、“人狼ゲーム”のルールを、このゲーム内のストーリーや設定・世界観と緻密に結びつけることで、プレイ中に違和感を感じることなく、自然にストーリーに没入できるのです。この点は本当に見事で、『レイジングループ』ならではの魅力だと感じます。

観察と思考を求められる推理の本質

確かに、犯人そのものについては、展開上、ある程度予想がつく部分もあるかもしれません。特に2周目のプレイでは、プレイヤーが人狼ゲームにおける“占い師”の役割を担い、“狼”か“人間”かを見分けられる能力を持つため、その能力を活かして「誰が犯人か」「誰が犯人ではないか」を判別できる場面がいくつも登場します。また、作劇上も伏線が張られており、犯人像を推測しやすいように設計されているのです。

しかし、それがこのゲームの魅力を損わせることはありません。むしろ『レイジングループ』の本質は、「誰が犯人か」を当てることではなく、物語全体に張り巡らされた人間関係や心理的な駆け引きを読み解く過程にあるのだと思います。プレイヤーは単に犯人を見つけるだけではなく、それぞれの表向きの言動と裏に隠された意図のギャップを観察しながら推理を進める必要があります。主人公(=プレイヤー)を含めて全員の行動に明確な理由があり、それが展開上どのように影響を与えていくのかを考えることが、このゲームの醍醐味なのではないかと思いました。

とりあえず、 おわりに

いろいろと語りましたが、私は実際に“人狼ゲーム”をプレイしたことはありません。それでも、『レイジングループ』が“人狼ルール”をただトレースするだけではなく、独自のストーリーや設定、和風ホラーの世界観を融合させた唯一無二の作品であることは強く感じました。

プレイヤーとして、“人狼ゲーム”のルールを踏まえつつ、その背後に隠された伝奇的な謎や仕掛けを深く読み解いていく過程は、まさに「考える楽しさ」そのものです。これから3周目に挑むのが楽しみな反面、実は少し怖くもあります……正直、怖いです……!

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