39・モラ逃げXデー。18年間のモラハラからついに逃げました【中編】
前回の記事はこちら ↓
引っ越し先のアパートに向かう電車に乗った頃、もう外は日が暮れて来ていました。
薄暗い窓の外を見ながら、
「私はいま、逃げているんだ」
という事実は理解しているものの、地に足がつかないふわふわした気持ちでした。
そろそろ夫が置き手紙を見つける頃かな…。
見つけたらなんて思うんだろう。
怒るかな、悲しむかな。
それともせいせいするかな。
けどそんなのはすぐにどうでもよくなって、
夫が追いかけて来たら、アパートが見つかったら・・・
すぐにその恐怖感で胸が苦しくなりました。
本当ならここでは子供を守る強い母でいなきゃならないのに。
別居を決めたけど自信なんかなくて、ただただ怖かったです。
最寄り駅の改札を出ると、私は脇目も振らずにアパートまでの道を急ぎました。
寒くて、北風がビュービュー吹いて、私の髪を乱しました。
コートの裾が翻るのも気にせずに、前をぎゅっとつかんで急ぎ足で歩きました。
途中の公園の柵に雀のオブジェがあります。
秋に下見に来た時は、渋めのグリーンの毛糸で編んだ服を着ていました。
それがこの時は赤と白の服に変わっていました。
ああ、そうか。もうすぐクリスマスか・・・。
顔を上げて周りを見渡すと、通りの商店はクリスマスの飾りが施され、イルミネーションも光っていました。
歯科医のガラス戸にはサンタのステッカー。
今年はクリスマスパーティーなんて出来るのかな。
子供達はやりたいだろうな。
・・・なんて考えながら、
「とにかく急ごう」
私はまた歩きだしました。
玄関の鍵を開けると、傾れ込むように靴を脱いで床にへたり込みました。
「随分遅かったじゃない!」
母と子供達で私のことを待っていてくれました。
車ではかなりスムーズに移動出来たようでした。
そして、夜はすぐに眠れるように、前の家から運び出した布団を敷いておいてくれました。
とても寒かったので、部屋にエアコンが最初から備え付けられていたのが本当に助かりました。
「さあ、ご飯食べに行こう!」
暖かな店内で温かい飲み物を飲んで、改めて子供たちの顔を見た時、すごくほっとしました。
料理も運ばれてきました。
「とにかく食べて!元気つけなきゃ!」と母は励ましてくれました。
私、落ち込んだ時も食事がのどを通らない・・・なんてことはほとんどなく、泣きながらでもご飯は食べられる人なんです。
しかしモラ逃げの数カ月前からは本当に食べられなくなって、がりがりに痩せてきていました。
この時のご飯は、久しぶりに美味しいなぁとじんわり心にしみてくるようなご飯でした。
すると食事中、知らない番号から着信がありました。それは固定電話で前の市の市外局番でした。
私はとっさにモラ夫が誰かに電話を借りてかけてきているのだと思いました。
数分おきに3回ほど着信があり、私はインターネットでその番号を検索してみました。しかし、市内の固定電話とだけしかヒットしなかったので
「これは夫に違いない」と思い、その番号を着信拒否しました。
ホッとしたもの束の間。
また緊張が走りました。