BROCKHAMPTONはいいぞ!vol.19 来日公演振り返りと覚え書き
こんばんは、BROCKHAMPTONヤクザのナカジです。
新作「GINGER」の魔力にすっかり取り憑かれている昨今ですが、アルバムの話をまとめるより先に来日公演の振り返りをしておきたいと思います。
vol.17のレポートでは新木場の単独公演の様子と、合唱ポイント予習が実際にどうだったかを検証してサマソニに繋げられるよう意識して書きました。
逆にライヴアクトとしての彼らが自分の目にどう映ったかはこれから初見の人の印象を邪魔しないように省いていたので、今回はそこのところをまとめてみたいと思います。
ちなみにヘッダー画像は自分で撮影したDomです。
アンコール2曲だけ写真と動画を撮影したんですが8割Domです。だって推しだもん。
【新木場公演】
開場を待ちながら周囲を見回してみましたが、観客の男女比は7:3くらいで男性が多かった印象でした。
フェスの観客の様子なんかを見てるとアメリカでは半々か6:4くらいに見えたんですが。
1曲目は「New Orleans」か「Boogie」、大穴で「Summer」と予想してたんですが、Bearfaceが最初にステージに出てきたので「Summer」か!?と思ったら「I Been Born Again」という予想外のオープニングでした。
でもメンバーが一人ずつステージに出てくるという演出は「New Orleans」を踏襲してましたね。
Bearfaceのウィスパーボイスから始まったのも大興奮でしたが、二番手でKevinが出てきた瞬間には興奮のメーターが振り切れて「ああああ〜Kevin〜マジでKevinだ〜うわあ〜」と意味不明なことを口走ってました。
というか一人ずつ出てくるたびにメンバーの名前叫んでギャーオーマイガーってなってた気がする。
もうビートルズの伝説のシェイ・スタジアムで失神する女子のこと笑えないよ……。
しかし「IBBA」、最後にMattが飛び出してくる瞬間の爆発力すごかったですね。
あれがライヴでの世界初披露だったとは信じられないくらい、ステージと観客のエナジーの臨界点がピタリと合ってたと思います。
8月15日の夜が特別になることはあの瞬間からもう決まってたのかもしれない。
次の「GOLD」「SWAMP」の合唱も素晴らしかったです。
ステージから見ても会場が空いてることは一目瞭然だったと思いますが、それを感じさせないくらいの合唱をメンバーに見せつけることができました。
なんかあの日のことを思い出そうとすると、頭3曲の盛り上がり方が最高だったなってことばかり頭に浮かびます。
RSJにも書きましたが、新木場の良かったところはとにかく観客とステージの親密度。あんなにメンバー一人一人が観客に手を伸ばしたりマイク向けたり、丁寧にサービスしてくれることあんまりないんじゃないかな(アメリカで単独見たことないからなんとも言えないですけども)。
目の前のめちゃくちゃ熱くて真剣なオーディエンスに自分たちも全力で応えなきゃって気持ちでメンバーがパフォーマンスしてくれたことが伝わってきました(Kevinもインタビューで「日本のオーディエンスは本当に細かいところまで観てるから自分も丁寧にパフォーマンスしなきゃって思う」と言っていたし)。
その点で彼らはプロですね。適当なウォームアップショウにせず、その時持てる全力でやってくれたと思います。
12日に日本に着いて公演当日までにコンディション整えてたのもよかったのかもしれない。
あと私が驚いたのは、トラック流すだけのライヴでもこれだけ曲が化けることがあるんだなってこと。
特にそれを感じたのが「HONEY」です。
私にとってはDomの最高のラップが聴ける曲っていう位置付けだったんですが、ライヴで観てアウトロの印象が完全に変わった。
ケンドリック・ラマーみたいに生バンドを連れてるとか、ステージ上にDJがいるとかならいわゆるライヴ・アレンジで曲が化けるというのは充分想定できるんですが、ライヴ用ミックスになってるとは言え基本的に録音済みのトラックを流してるだけのBHのライヴでこれだけ曲に変化がつくのかってことは本当に驚きました。
クライマックスの流れの時はMatt、Kevin、Jobaの3人が歌ってたんですが、中でもやっぱりKevinのエモーショナルな歌声は胸に迫るものがありました。
ここはメロディメイカーとしてのKevinの良さが出てた場面でもあった。
このシーンは背景に流れてた夕焼けの映像と相俟って、この夜の中でも特にパーフェクトに美しかった瞬間でした。
【サマソニ東京】
サマソニの観客は男女比も6:4くらいで少し女性が増えてた印象。
新木場から連戦のガチ勢もいればライトなパリピ層も結構いましたね。
選曲は新木場公演の曲順とほぼ一緒で、演奏曲を数曲カットという構成でした。
新木場で最前だった時はあの青い手で見えなかったんですが、サマソニではステージ横にいるRomilがスタート前に確認できました。
ていうかRomilもちゃんとあのシルバーのジャンプスーツ着てるんですね。
彼がステージ上のメンバーと合図しあってバックトラックを流したりしているようです。
あと袖には衣装担当メンバーのNickもいて、Bearfaceがライヴ中にジャンプスーツの上半身がなかなか脱げない時に手伝ってました。
サマソニ東京は新木場から細かくアップデートされてるところがあって、例えば「STAR」でDomが「マシュー・マコノヒー」って観客に歌わせるところは新木場では不発気味だったのでサマソニ東京では自分でラップしてたり。
あと1曲目の「I Been Born Again」でMattが出てくれば必ず盛り上がるという確信が新木場で持てたのか、Jobaパートが終わってからMattが出てくるまでの煽りが派手になってましたね。
「Boy Bye」はすでに何回か海外でやってたようですが、サマソニ東京のパフォーマンスは全体的に新木場より余裕があったように記憶してます。
MattとMerlynの掛け合いがかわいすぎました。プリプリ!
しかしサマソニ東京のMVPはJobaでしたね。
「J'ouvert」のソロパートの気迫と完成度ヤバかったですもん(私は気付かなかったけどあの後鼻血出してたそうで)。
新木場とサマソニ東京で「J'ouvert」を見比べてみましたがJobaパートに関してはやっぱサマソニの圧勝でした。
日本での3公演のうち一番観客も多く盛り上がったのがサマソニ東京だったので、メンバーも新木場とはまた違った心情でやってくれたんじゃないでしょうか。
2019年を生きてるボーイバンドのギラギラとしたパワーをこのタイミングで生で浴びることができて本当によかったです。
招聘してくれたクリエイティブマンさんに感謝。
ところで確か10月20日?にWOWOWでサマソニダイジェスト12時間放送っていうのがあるんですけど、BHはどれくらい流れるんですかね。
3日開催だから1日あたり4時間であのアクト数だから流れても2曲スニペットとかなのかなあ……BHのために加入するか迷うところ。
私はこの日も最前にいて自分の目でメンバーを見るのに一生懸命だったので会場のモニターに映ってた映像はほとんど見てないんですが、カメラにちょっかい出したりするシーンもたくさんあったのでなんていうかその映像全部くれ。
【各メンバーのパフォーマンスについて】
Twitterで新木場やサマソニを観た人の感想をいろいろ拝見したんですけど、それまで特に意識してなかったメンバーの魅力に気付いて「やべえ◯◯推しになりそう」って言ってる人が男女問わず本当に多くて。
私は前からDom推しなんですけど今回の来日で他メンバーの魅力もたくさん発見できたし、生で見ないとわからないことってあるよなあと実感した次第です。
というわけで各メンバーの生パフォーマンスを観た感想をメモ。
★Kevin
ステージに出て来た瞬間の存在感、オーラが一人違った。動きの一つ一つに美学があるし、ステージ後方から冷静に観客を見てる時間も多くて、やっぱこの人がリーダーなんだなって感じ。でも新木場で「1999 WILDFIRE」の時にグイグイ前来て観客にマイク向けた姿はめちゃカッコよかったですね。これからもついていきます。
★Matt
ステージ上でラップしてる時はワイルドでカッコいい、そして顔がいい。ステージ上での暴れ方が一番派手。でも曲の間に観客に構ってくれる時の笑顔はめっちゃ幼い。オンとオフの時と一番ギャップがあるように感じた。なんで海外では女性ファンから一番人気なんだろ〜と思ってましたけど今回でわかりました。女はイケメンとギャップに弱い。これは真理。
★Merlyn
ラブリ〜〜〜!マニキュア塗った爪と腕時計見ながらパフォーマンスしてる時かわいくてどうしようかと思った。あと動きがめちゃ軽い。自分のパートが回ってきたらピョンピョンしてるし、座ってるとき以外ずっとダンスしてる。小柄だけどめちゃくちゃスタイル良くて、音源で聴くよりラップもずっとパワフルで、ファンサも惜しみないし、今回一番発見が多かったのがMerlynだった。彼が新木場で淡い照明に照らされながら祈るようにじーっとしてた瞬間は美しすぎてしばらく時間が止まってた。私が飛鳥時代の権力者なら鞍作止利に仏像彫らせてるレベル。
★Bearface
一番出番少ないしファンサもほとんどしないし座ってる時間長いけど、歌い出したら即優勝。この人の声の良さはワン&オンリーすぎる。Kevinもそれがわかってて彼をBHに引き入れたんだろうなって。や、でも「SATURATION」期のライヴ映像見てると自分の出番がない曲はステージ上にいないことすらよくあったので、最初から最後までフルでステージにいるようになっただけでもファンとしてはお姿が長く拝めてありがたいってもんです。
★Joba
表情と感情の表現がジェットコースター並みに忙しい人だった。彼も音源で聴くよりもっといろんな引き出しを持ってて、やっとそれが生で観られたという感じ。攻撃的なラップからファルセットコーラスまで、実はヴォーカリストとして一番表現の幅を持ってるのはJobaかななんて思ったり。自分の担当パート以外のサポートもすごくよくやるし、Domとのコンビネーションが特に最高だった。
★Dom
6人の中で一番ラップがうまいのはDomだろうとは思ってたけど、今回の来日で確信に変わった。とにかく安定感と安心感が半端ない。しかもノリ方と笑顔もめちゃかわいくてカッコいい。「Bleach」で2回同じパート繰り返す時、2回目のキーを上げてメロディアスかつエモーショナルにラップした時に私は爆発しました。ファンサも丁寧でたくさんしてくれたし、これからも推しです。
6人それぞれにみんな個性的で、一人ずつがみんなカッコいいのにそれが6人同時進行というカッコよさのインフレにして暴力。目の前にいるメンバーも見たいけどあっちにいるメンバーも見たい!と忙しくて仕方ないライヴでした。音楽性は違うけどMUTEMATHのステージからいつも感じてたパワーと同じものをBROCKHAMPTONからは感じました。強烈な才能と個性のぶつかり合いが散らす火花と、そこから生まれる調和のバランスが絶妙で。絶対また日本で観たい。
というわけで来日を終えて皆さん推しは決まりましたか?
箱推し(個人の推しを決めずグループ全体を推していること)の人もまだ迷ってる人も、彼らの新たな魅力が感じられる新譜「GINGER」を聴いてさらなる深みにハマるといいと思います。
次回は「GINGER」についてのアレコレを書く予定です。
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