家電ほど殿方を必要としたことがない
「このnoteを読んでいて、まりかさんは「結婚」がしたいわけではないじゃないのかなー、なんて思いはじめています」
「ええ、結婚は二度もしましたので(笑)。
両親と伯父夫婦の世話やら、お墓やら、相続やらを考えると、結婚はないかなー」
ライターの大先輩で、同じアラフィフ世代のM子さんから、メッセージが来た。
図星を刺された。
そう、マッチングアプリにもお見合いパーティにも、まりかは結婚を求めていない。
いまのアプリのプロフィールも、「結婚にはこだわらない」を選択している。
「M子さん、まりかが「結婚」したくないと思わせるのは、どのあたりですか?」
「離婚を独立と解放と書いた回がありましたよね。あれが印象に残っていて。
まりかさんは、心が合うかどうかを大切にしているのが、伝わってくるので」
これも図星である。
だって、私は、心が合わなければ体も合わせる気にならないし、そもそもハダカで一緒にいようとは思わない。
でも、これはあくまでもさくらまりかは、の話である。
マッチングアプリ、カラダを求めるもよし、法律婚もよし、ゆるやかに連れ添える関係もよし。
大切なのは、おたがいに求めるものが一致するかどうか、だ。
だから、こないだの動物づかいのアキラさんのように、最初にカラダが合うかをお試ししてからおつき合いするのも、もちろんありだ。
ただ、私はそれを求めない、というだけ。
M子さんの分析は続く。
「結婚って、まりかさんが思い描いているよりも、もうちょい「打算」や「不安」が必要な気がするんですよね」
打算や不安?
「たぶん、一緒に生活を続けること以上に、結婚には打算、もしくは不安感が必要な気がします」
打算はわかる。
多少、不自由なことがあっても、結婚によって経済的、社会的、精神的なメリットはきっとある。
私がまるまる1年休職したときも、二番目の夫がふつうに働いていることで、娘も私もこの3つのメリットを享受して、世間並みの家族として機能することができた。
彼がいることで精神的に安らぐことはなかったけれども、夫婦でいること、マジョリティであることは精神的に一定の安定を与えてくれた。
彼は、抱きしめてくれることも、手をとってくれることも、ただの一度もなかったけれども。
でも、どうして結婚に不安が必要なの?
「私、そもそもひとりであることに、不安感がないのですね(笑)」
「私、夫が死んだらソッコーで婚活すると思うんですよね。
いないと不安だから。
私は夫に恋愛は求めていなくて、生活家電としての夫を必要としているんです」
生活家電としての夫!
日常生活の役に立ったり、便利になったり、時短になったり、という存在は、たしかに私は求めていないのかもしれない。
毎日の生活が少し明るくなったり、楽しくなったり、豊かになったり。
マイナスをゼロにするのではなく、ゼロをプラスにする存在を、パートナーには求めたい。
「ウチの夫は生活の一部と化しているから、冷蔵庫がなくなると困る! 怖い! 不安! に近いんだと思います」
そうか、そうなのか。
私は冷蔵庫が壊れても、きっと中身をあっさり捨てて、2、3日は生活するだろう。
洗濯機だってコインランドリーに行ったっていいし、もしひとり暮らしなら、20代の旅のように手洗いをザブザブすると思う。
高機能な電子レンジや、オプションがたくさんついた炊飯器みたいな、壊れるかもしれないよけいな家電はいらない。
レンジはダイヤル式ので十分だし、炊飯器も何なら保温機能もなくていい。
「まあ、さみしいの部分は、ネコでいい気もするけど」
「ネコを愛でながら、恋するんです、まりかは」
「まりかさん、恋するなんて、タフ!」
タフかな?
私は、人間が一生のうちにする恋の量はみな平等に与えられていて、人によってそのピークが違うのではないのか、という気がしてきている。
それが数なのか、総量なのか、おそらくどちらの人もいるのだろう。
若いころ、まったく恋に縁がなかった私は、この歳になって、あのころ満たされなかったものを取り返すように、アプリに出会いを求め、朝から晩まで愛を囁く相手を求め続けている。
きっと、幸せな結婚生活を続けている人というのは、その人に与えられた恋の数をすでにこなしたり、あるいはひとつの恋で総量を満たしたりしているのではないだろうか。
「生活の一部で、ないと不安になる夫の存在は、愛なのか執着なのか。
LOVEっていうことにしておいた方が平和なので、そうしておきます」
そう語るM子さんは、自分に与えられた数の恋をして、必要十分な愛を満たすパートナーとめぐり逢えたのだろう。
冷蔵庫や洗濯機と同じくらい、ないと不安で、あってもうっとうしくない存在。
羨ましい限りだ。
まりかは、家電を同じくらい殿方を必要としたことがない。
結婚に向かない理由がまたひとつ、見えた気がした。
*2023年4月20日の活動状況
・もらった足あと:4人
・もらったいいね:2人
・やりとりした人:4人
朝から足あとといいねラッシュ。
やりとりが続いている人が2人になってさみしかったので、いいねをマッチングさせたが、ひとりは父の世話で忙しい、と返信したら即、ブロック。
手近な遊び相手がほしかったのね。
もうひとりは、住んでいるところやひとり暮らしかどうかなどを執拗に問いただした挙句、LINEのIDをよこせと言ってきた。
だれでもいい人のお相手をするつもりもないし、すぐにLINEに移りたがる人とは気が合わない。
いい悪いではなく、合うか合わないか、なのだ。