【自閉症のCさん】
Cさんは若くて元気な自閉症のお兄さん。
施設の入り口に当たる曲がり角に立ち、出勤する職員の車一台一台に両手を大きく振って挨拶してくれます。
でも全員じゃありません。
お気に入りの職員だけです。
そうでない職員には見向きもしません。
100人規模の建物が3棟、50人規模の建物が4棟と、利用者の方が生活されている建物は全部で7棟ありますが
夕方にはすべての建物をまわり、お気に入りの職員一人ひとりに「さよなら」の挨拶をします。
お気に入りじゃない職員に声をかけられたときは、耳をふさいで横を向いて唾を吐きます。笑 ヒドイ
お気に入りになるポイントはなんなのかはわかりません。
そして突然、お気に入りから外れることもあります。
事務所勤務だった私は、ある日突然、お気に入り職員に昇格しました。
退勤時 車に向かうと、走って追いかけてきて挨拶されます。
初めは驚きましたが、挨拶を返すと満足げに次の職員を求めて去っていくCさんが
とても愛らしく思えました。
そしてそれは突然のこと。
ある日突然、私はお気に入り職員からはずされました。
退勤時に駐車場を歩いていても、駆け寄ってくる足音がしません。
辺りを見ると、私が見えるいつもの位置にいるのに、私には見向きもせずに遠くを見ています。
「Cさん!さようなら!」
と、私が駆け寄っても耳をふさがれました。
軽くショックを受けた私は、それからは逆にCさんを追いかけて挨拶し続けました。笑
しばらくはことごとく無視されましたが、ある時私のことを面倒なヤツと認識したのか、それからは私が挨拶職員から外されることはなくなりました。
その後、私はその施設の中で数カ所に異動になりましたが、Cさんは私がどこに異動しても追いかけて挨拶してくれます。笑