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【 貫 禄 】
私が勤務している施設は大きいので、年に一度の開園記念祭は毎年盛大に行われます。
セレモニーには町の議員さんにも出席してもらったり地域のお店に出店してもらったりと、町の人も自由に遊びにきてもらい、小さな田舎町の 町のイベントのようににぎわいます。
そんな盛大な開園祭。
歴代の施設長も来賓としてお招きします。
まだ施設職員として採用されて間もないころ。
私は歴代の施設長の顔なんてわかりません。
立派な車が到着すると上司がみんな総立ちになって、気さくなおじいさんをうやうやしく出迎えています。
何もわからない私は、総立ちになって居並ぶ上司の後ろで直立し、失礼のないようにお茶出ししました。
そのおじいさんは、まだ若いぺーぺーの私へも気さくに会釈してくださいました。
そんなおじいさんが何名か来園され、緊張の中お茶出しするという開園祭。
そんな開園祭からほどなくの週末。
土日は職員が交代で事務所の日直をします。
事務所で一人だけの勤務。
土日は来客もないし、ゆっくりと自分の仕事を片付けていると、ふいに少し離れたところから気さくな声が聞こえます。
「やあ!どうもどうも!」
私はわからないけれど、明らかにこちらのことは知っているというふうな
貫禄のある堂々とした気さくな笑顔。
え!?
歴代施設長、こんな土日に連絡もなく突然来たの!?
私、この人知らないけど
え!?
何しに来たの!?
お茶出ししなきゃ!?
軽くパニくり、直立不動の笑顔でうやうやしく挨拶しました。
堂々と、一歩一歩近づいてくる気さくな笑顔。
内心、どうしようぅと思いながら直立で待機していると、目の前に現れたおじいさんの服には、胸に名前が刺繍されていました。
・・・利用者さん!?
一気に脱力 笑
堂々と気さくな笑顔は貫禄があり、ぱっと見、歴代施設長となんら雰囲気は変わりませんでした。
微妙に複雑な心境にかられた、若かりし頃の思い出です。