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カミングアウトコンビニ【毎週ショートショートnote応募作品】
男性客がお酒の棚にある読み取り機に会員証をかざした。ここ、無人コンビニでお酒を買うには、事前登録した携帯電話のアプリか、会員証が必要だ。
男子高校生の二人がニヤニヤしながらレジにやって来たが、『私』が雑誌名と価格を言うと、急に恥ずかしくなったのか、もじもじし始めた。
「その雑誌、兄ちゃん達には刺激が強いんじゃねーか」
「す、すみません」
二人は雑誌を戻し、そそくさと出て行った。
「邪魔者はいなくなったな」
男性客は小説とカップ酒をレジに置くと、「おすすめは?」と言った。『私』が商品データから推測して商品名を言うのを恍惚とした表情で聞いていた。
「カミングアウトコンビニって言われる意味が分かったぜ。イケボロボ、癖になりそうだ」
『私』は警告音を発した。
「なんだ?」
「私はあなたのような人間は嫌いです」
『私』のカミングアウトに反応した掃除ロボットが男を何処かへ運んで行った。
了
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