(1/2) VCは本当にバリューアップに貢献しているのか?
少し前の記事になりますが、アントレプレナーで現在はVCのPartnerを務めるCarl Fritjofssonのブログよりお届けいたします。
長いので2回にわけます。
元記事はこちら
ベンチャーキャピタリストとして、私はバリューアップに貢献できる投資家だと思っています。
資金提供によって会社をスケールさせるだけでなく、アドバイス、コネクション、その他様々なプロフェッショナルなサービスによって貢献していると思います。また、関わる全ての会社に対して、最も信頼され役に立つ投資家でありたいと思っています。
しかしながら、正直なところ、VCは自分たちが与えているインパクトやバリューアドを過大評価する傾向にあると思います。
この考えに基づいて、NewfundのHenri Deshaysと私はVCと起業家の微妙な関係性に関し理解を深めることにしました。
VCは本当にバリューアップに貢献しているだろうか?創業者は投資家の何がバリューアップに貢献していると考えているだろうか?資金調達先を選ぶ際に、投資家をどのように評価しているのだろうか?
Kauffman Fellows ProgramとシカゴMBAのOwen Reynoldsの協力を元に、98のVCと121人の創業者に対してこのトピックに関しアンケート調査をしました。
あらゆるステージの投資家と、3000万~20億ドルの運用資産をもつ機関投資家から回答を集めました。
創業者とVCがお互いに対しどう考えているのか、対になる質問に答えてもらいました。
VCs and Founders Diverge
予測していた通り、創業者がこの関係性に対し感じていたことはVCのそれとは違うものでした。創業者がVCから受けたと思っている連絡の頻度やサポートは、VCが行ったと思っているものよりも少なく、おそらく両者で優先順位が異なるということでしょう。
最も対照的だったのは、VCがどれくらい影響を与えていて、役立っているのかを10段階で評価した点数でした。VCは自身を平均7点だと評価したのに対し、創業者は平均で5.3点だと評価したのです。
実に32%の開きがありました。
同様に、VCが「毎週連絡をしている」と答えた割合は、創業者らが「毎週連絡をもらっている」と答えた割合の3倍でした。
この差は、創業者側の落胆とVCの役割に対する誤解を示しています。
Decision Drivers for Investment and Partnerships
またこの調査で、VCとファウンダーの間でどのようなパートナーシップを築いているのかという点に関し、重要なことがわかりました。
創業者がVCをパートナーとして選ぶ際に重要だと思っている上位3つの基準をランク付けし、VCもまた創業者が自分たちを評価してくれると思っている重要な上位3つの基準をランク付けしました。
創業者・VCともに、個人的な関係性とお互いの相性が最も重要だと思っていることがわかりました。
スタートアップファイナンスは関係性ビジネスだと言われる理論をサポートする内容です。
一方で意外なことに、創業者・VCともにトラックレコードはそれほど優先順位は高くありませんでした。
両者で最も意見が異なったのは、スピードと評判に関してです。
創業者はスピードが3番目に重要だと答えたのに関し、VC側は最も重要でないと回答していたのです。
これは創業者が資金調達において厳しいタイムラインに置かれていることを考えれば納得ですが、VC側は全く認識していないように見えます。
対照的にVC側は、創業者がパートナーのブランドやリーダーシップの経験が重要だと考えているのではないかと思っています。
VCはブランドがディールに勝つ要因だと思っていますが、今回の調査結果によると、もしスピード感のある良い交渉条件をオファーすれば、ブランドのあるVCに勝つことができるかもしれないということがわかりました。