VCに対してどのようにタームシートの交渉をすべきか

本日はIntialized Capitalのブログよりお届けしたいと思います。
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How To Negotiate A Term Sheet Against A VC

スタートアップの経営者が優れているべきことはたくさんありますが(チーム作り、採用、資金調達など)、交渉がその中で常に一番重要というわけではありません。

投資家は交渉の経験が豊富ですが、経験が浅い創業者を制圧することが目標ではないですし、それによってスタートアップをダメにしてしまったり、価値のあるビジネスを作るために必要なことが得られなくなるかもしれません。

私はベンチャー業界にはいってから、歩み寄って交渉する方法を学びました。キャピタリストになる前は、私は訴訟を担当していたので、タフな交渉を相手の弁護士とすることに多くの時間を費やし、勝つことが目的でした。VCにおける交渉は、勝ち負けではありません。全ての関係者にインセンティブがあるように投資することが理想的です。

ここでは、創業者がVCとの交渉を準備する際に使えそうな5つの実践的なTipsを紹介します。

1. 始める前に落としどころを決めておく

どんな結果を期待し、どこで身を引くのかを決めておくことです。
交渉の間にそれは変わるかもしれません。でも、前もって決めておけば、自分の立ち位置をよく把握することができ、相手の戦略や交渉に惑わされることがなくなります。のちに、そのベンチマークによって、なぜそのスタンスから始めたのか、またその理由、モチベーショを思い出すことができます。
また、オファーを受諾するまに、その落としどころを思い出すことも重要です。

2. 思っている以上にパワーがあることを覚えておく

投資家は資本を持っているので力があるように見えますが、実はスタートアップ側にも大きなパワーがあります。たとえ他社からタームシートをもらっていなかったとしてもです。
投資家が一度あなたの会社に投資したいときめたのなら、勝ったも同然です。ほとんどの機関投資家は1年に1-3件しか投資できないため、そこにたどり着くまでが勝負なのです。
また、投資家は悪い関係でスタートしたいとは思っていないので、交渉の余地は十分にあります。

話をしているVCのレファレンスチェックを行い、情報を多くもつこともお勧めします。決断に十分な時間をもらい、自身も投資家のDDをしてください。

現在の市況環境では、多くの投資家は起業家側にパワーがあると思っています。多くの企業が、様々なファームからタームシートを受けているからです。もしあなたの会社が今そんな状況じゃなかったとしても、のちに他の投資家が入ってくるかもしれないという脅威はあります。
さらにいうなら、もし1社からのオファーしかなかったり、オファーが全くなかったとしても、まだオプションはあります。
他の投資家からの資金調達を試み続けること、インキュベーターのプログラムにエントリーすること、資金調達を遅らせるということもできます。

3. 自分と投資家にとって何が最も重要なのかを知る

スタートアップが最もケアすべきことは、
1) 希薄化(評価額+オプションのプールサイズ+投資額)
2) 残余財産優先分配権
3) 取締役会の構成
です。

一度に全てを交渉するのは難しいので、1つか2つのカギとなる点にフォーカスすることをお勧めします。
例えば、もし希薄化を抑えたいなら、高い評価額にしてもらうよう依頼しましょう。またはこんな方法もあります。
株式でのインセンティブを付けた採用計画を説明し、低いオプションプールでも次のラウンドに十分であることを示すこともできます。
(補足:VCがバリュエーションを提示するときには、オプションプール込であることが多いので、実はこのオプションプールを減らす方が同じ金額を調達する際、希薄化を抑えることができます)

また、投資家のレファレンスチェックやDDをすることで、彼らが何を重要視しているのか判断することができます。
最低でもどれくらいの保有率にしたいのか?ボードシートにこだわっているのか?

そして最も重要なことは、交渉の最初にたくさんの質問をすることです。
驚くこともあるかもしれませんが、相手の動機や根拠を理解することに役立つことは間違いないでしょう。また、この質問によって、自分たちの落としどころに合った交渉をするために必要なパワーをもたらしてくれるかもしれません。

4. Creativeになろう

交渉の結果は勝ち負けではありません。
お互いにメリットがあるときのみ合意に至るのです。
交渉であっても、全員が理解し納得できる結果になるよう、お互いに譲歩し柔軟に対応する必要があります。

例えば、投資家がボードシートの確保にこだわっているが、自分はそれを望んでいなかったとします。
次の資金調達の際、あるマイルトンを達成したら、社外取締役が付加価値を付けられると判断できたら、ボードシートを降りてもらうようにお願いしてみるのはどうでしょうか。

同様に投資家側も将来の資金調達をブロックする権利など、保護条件を依頼することがあります。
それらは大抵、企業が順調な時は問題ありませんが、悪いことが起こるときに備えて設定されます。
こういった条項は、期限付きのサイドレターにしてもらうようにお願いしましょう。

5. 自信をもつこと

最後に、柔軟性を、弱さや自信のなさと混同しないことが重要です。
投資家との優先順位の違いから、交渉の中で犠牲にしなければいけないことが出てくるかもしれません。あなたにとってゆずれない問題があるかもしれません。
もし投資家と折り合わない場合には、明確な理由を述べましょう。
きちんと理由が説明されている限り、一連の状況に自信をもつことは強いリーダーの証です。

創業者には、自分たちの製品、ビジネス、能力に自信をもってほしいと思っています。あなたの企業に投資するということは、創業チームの判断力に投資するいうことであり、交渉プロセスはお互いのことをよく知る方法だと思っています。

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