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【SAPプロジェクト日記】#5 SAP と現場の改善文化は共存が可能なのか?

こんにちは。Yuriです。
フリーランスとして、企業からの業務委託でプロジェクト推進やトレーニングをしています。

現在私は非エンジニアとして、SAPプロジェクト推進をしています。

【SAPプロジェクト日記】#1プロジェクト推進メンバーにアサインいただきました|Yuri @フリーランス (note.com)

今日はそのプロジェクト日記の5回目「SAP と現場の改善活動の不一致」について記事にしたいと思います。

日本の製造業が伝統的に行ってきた改善(Kaizen)は、現場での細やかな業務改善と効率向上を目指すものです。しかし、SAPのようなERPシステムはグローバル標準の業務フローに基づいて設計されており、日本特有の改善活動との間にいくつかのミスマッチが生じることがあります。

私が日本において、 SAP 導入プロジェクトメンバーとしてとかで感じていることを記事にします。

1. 現場主導の柔軟な改善とSAPの標準化の矛盾

日本の製造業では、現場の従業員が自らアイデアを出し、業務改善を繰り返すことが奨励されています。たとえば、製造ラインでのプロセス改善や在庫管理の工夫など、細やかな変更が頻繁に行われます。しかし、SAPのシステムは業務プロセスを標準化するように設計されており、柔軟な変更を容易に受け入れることができません。そのため、これまで行ってきた日本の改善活動を SAP に当てはめようとすると、SAPの設定変更やカスタマイズが必要となり、システムのメンテナンスコストや開発期間が増大します。

顧客ニーズに合わせた柔軟な対応とERPの制約

日本の製造業は、顧客ニーズに応じて製品やサービスを柔軟に提供することを重視しています。カスタムオーダーや特殊仕様に素早く対応する能力は、多くの日本企業の競争優位性の一つです。しかし、SAPの標準機能では、特定のカスタマイズに対応するための設定や手続きが煩雑になる場合があります。これにより、顧客への迅速な対応が制約され、ビジネスチャンスを逃すリスクが生まれます。

改善活動の成果測定とデータ活用のギャップ

Kaizen活動の成果は、現場の細かな指標を積み重ねて評価することが一般的です。一方、SAPのレポート機能やデータ分析は、全社的な観点からの指標を重視する傾向があります。そのため、現場レベルの詳細なデータが集計・分析されにくく、改善の効果を適切に把握できないことがあります。これが、現場での改善活動のモチベーション低下につながる場合もあります。


まとめ SAP導入と改善文化の共存は可能か?

以上のようなミスマッチを解決するには、SAPを導入しつつも、日本の製造業特有の改善文化をどう維持するかが課題です。一部の企業は、SAPを標準的な業務フローの管理に活用しつつ、現場の改善活動には専用ツールを併用するなど、ハイブリッドなアプローチを採用しています。これにより、システムの標準化と現場の柔軟性のバランスをとることが試みられています。

ただ私が日々感じるのは、日本の改善文化を尊重するのであれば、 SAP の導入は見送った方がいいのではという点です。

SAPはシンプルなパッケージであり、このパッケージに業務を合わせていくのがドイツ流の使い方です。パッケージに合わせて業務を変えていくのです。一方で日本では業務はそのままでシステムを変えていこうというマインドセットになりがちです。そうすると追加開発やアドオンなどコストもかさみますし、現場のオペレーションもかえって複雑になってしまいます。

SAP と改善文化の共存は可能なのかについてはしばらく考えてみたいとは思いますが、今のところ私はまだイメージが湧いていません。



今日も SAP 日記を最後までお読みいただきありがとうございました。


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