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【SAPプロジェクト日記】#9 現場の抵抗感を和らげるために大切なこと

こんにちは。企業からの業務委託でプロジェクト推進をしているYuriです。現在、外資系企業様にて、SAP S/4 HANAのプロジェクト推進をしています。

SAP導入プロジェクト推進をされている方の中には「現場の抵抗感が強い」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

トレーニングでただ「やり方」を教えるだけでは、ほとんどのケースにおいて現場の抵抗にあってしまいます。

本記事では、プロジェクト推進の現場経験を積んできた私が、現場の抵抗を最小限に抑え、スムーズにSAPを導入・運用するためのポイントを紹介します。


1. なぜ現場は抵抗するのか?

SAP導入時に現場からの反発が起こるのは、主に以下が理由ではないかと考えています。

  • 業務フローの変更:慣れ親しんだ業務手順が変わることへの不安。

  • 操作の煩雑さ:SAPのGUIが直感的でないと感じるユーザーも多い。

  • メリットが見えにくい:導入の目的が伝わっておらず、自分たちの業務が楽になるという実感がない。

SAPってとにかく現場ユーザーにとっては「使いにくい」システムと言わざるを得ません。世界標準のシステムであり、経営者へのメリットが大きいシステムなので、ある程度は仕方ないですが、正直本当に使いにくいのです。

それに「変化への不安」「メリットがよくわかない」という要素がプラスされると、どうしても現場から抵抗されてしまい、プロジェクトが滞る原因にもなってしまいます。

2. 現場の抵抗を乗り越えるためのポイント

ここからは、現場の抵抗を乗り越えるために私がポイントだと感じていることをご紹介します。

(1) 早期からのコミュニケーションを徹底する

SAP導入プロジェクトがスタートした段階で、現場のメンバーにしっかりと情報を共有することが大切です。

  • 「なぜSAPを導入するのか?」を明確に伝える

  • 現場メンバーとよくコミュニケーションをとり、不安や懸念を把握する

  • 経営層だけでなく、現場レベルの意見を取り入れた設計にする

特にひとつめ「なぜSAPを導入するのか?」を曖昧にして明確に伝えないと、途中から「これってやる意味あるんですか?」「私たちの業務増えますよね?」など不満が蓄積してしまいます。また、現場で運用を決める際も、「効率化しよう」「いや内部統制が重要だ」と優先順位が定まらず、運用方法の決定が難航してしまいます。

私自身、目的が語られないプロジェクトを経験したことが何度かあります。目的が共有されないと、ほとんどのケースにおいて、途中でプロジェクトが滞ってしまいます。

(2) キーユーザーとコミュニケーションをとる

SAPの教科書、指南書などを読むと「各部署から影響力のあるキーユーザーを選出し、プロジェクトに巻き込むことで、現場の抵抗を和らげることができます。」といったことが必ず書いてあります。

これは極めて正しいのですが、時に「キーユーザーが」適切に選任されないケースがあるように感じます。なんとなく手が空いているから選出されてしまったり、時にはSAP使用経験が全くないマネージャークラスの人が選任されていることもあります。

大切なのは「キーユーザー」の役割に選出された人に限らず、「真のキーパーソン」を見つけてよくコミュニケーションをとることです。

「新のキーパーソン」とは、役割に関わらず「現場メンバーから頼りにされている人」「この人が言うならやろうか、という気持ちにさせる人」です。

どの職場にも、こういう頼りにされているメンバーが何人かいるのではないでしょうか。

もちろん「キーユーザー」に選出された人がたまたま「新のキーパーソン」であればラッキーですが、そうではない場合には、役割にかかわらずキーパーソンをよく見極めて、コミュニケーションをとっておくと、何事もスムーズに物事がすすみます。

(3) メンバーが評価される仕組みを構築する

意外と見落としがちなのは、現場メンバーは「SAPプロジェクトをやれば評価されるのか?」という点です。

「SAP導入に関わっても関わらなくても同じ」「やっても評価されない」だと、従業員はSAPに関わるのが億劫になってしまうものです。

「SAP導入に関わると評価される」あるいは「関わらないと評価が下がる」といった仕組みを早めに構築しておくことがおすすめです。個人目標に入れることができたらベストです。

ただ、会社によって評価の仕組みは様々なので、このあたりは部門長に早めに相談をしておくのがいいです。


まとめ


いかがでしたでしょうか。
これからSAPプロジェクトを推進する方の参考になる情報がありましたら幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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