「私を喰べたい、ひとでなし」を通して百合観を考えた話
先月9巻が発売され、さらにはアニメ化も決まった「私を喰べたい、ひとでなし」
アニメはいつからやるのか、10巻はいつでるのかとわくわくが止まりません
「私を喰べたい、ひとでなし」ことわたたべは、まず単純にキャラクターが可愛すぎる
主人公の比名子の常に影を抱えている感じの瞳もゾクゾクするものがあるし、陰鬱としてる主人公ってあんまり好きになれないことが多いんだけれども、性格的にくよくよしていないからか、庇護欲が湧いてくるのもわかる
ただ私としては、比名子よりも好きなのが汐莉だ
ビジュアルが強すぎる
1巻の表紙の汐莉があまりにも美しすぎるがゆえにこの作品を読み始めたくらいだ
黒髪ロングってなんであんなに人を惹きつけるんでしょうね
わたたべの表紙の汐莉はどれも魅力的で、特に3巻表紙の汐莉は、あの含みをもった視線で美胡ちゃんを見ているだけなのに、そこから広がる物語を読み手の脳内にぶちこんでくる
ちなみに私の黒髪ロングラブの根源は、アニメ「sola」の四方茉莉である
更にわたたべのすごいところは、異形の描き方がすごい
普段のキャラクターたちとの可愛さのギャップで、狐やら人魚のおどろどろしさが際立って物語への没入感を加速させている
恐ろしいとはいいつつ、狐状態の美胡ちゃんをもふもふしたいと思うのはきっと読者の総意だろう
アニメ化した際にはグッズで美胡ちゃんのしっぽを販売してほしいところだ
そんなこの作品を、私はいつものごとく百合ナビで知ったと記憶している
9巻まで読んでいて思うことだが、はて、この作品は百合作品なのだろうか
2巻のおまけで描かれていたはずだが、汐莉は姿を変えることができるようだ
つまり比名子に接近するのに警戒されず、なおかつ仲良く慣れる姿を考えた結果同学年の女学生に姿を合わせたわけだ
ならば男の姿になってボーイミーツガールなんてこともできたのではないか?そうなるとこれは百合と言えるのか?
そんなことをここ数日考えている
わたたべは百合というか、汐莉という人外の存在が、比名子を助けるために人間の内側と外側の境界を飛び越えるための進化の物語?みたいなものだと勝手に思っている
その境界を飛び越えた先で比名子を助けることができるのだろうけど、汐莉は亡き者になるんじゃないかなーっていう今後の予想
でもなんだかんだ作者はハッピーエンドが好きそうだし、ふたりとも生き残って幸せに暮らしました、みたいなエンドもあるのかな
エンド予想は端に置いといて
人外百合でいうと「フツーと化け物」も最近読んだが、あれもヒロインポジションの高橋さんは中身化け物で、ガワだけ美少女なわけで
ではこれも百合ではないのか?贄セン結構好みなんだけど薄い本はどこですか?
今までの私の百合観は
例えば男女2人ずつがいたときに、今までであれば2通りの恋愛しか生まれなかったのが、百合という概念を導入することで男to男、女to女のプラス2通り
計4通りの関係性が発生する、いわば関係性の化学反応だと思っていた
この私が思う関係性の化学反応としての百合という概念の中に、人外というものは含まれていなかったのだと発覚してしまっていた
今まで人外百合を読んできていなかったわけではない
その昔は「監獄街へようこそ!」という作品で、灯の告白シーンが良すぎて夢でまで告白シーンの再現が行われたほどだ
ようは人外でも相手が人の形をとっていれば、私は百合だなって感覚で読めていたわけだ
ではどこまで形を崩していくと百合とは思えなくなってしまうのか
そもそも私の百合観はそんな人間に限定されたものだったのか
こういった自身への百合観を確かめるためにも、私は今日も百合漫画を読むのだろう
とりあえず人外×人外百合アンソロジーなるものがあるので、そちらを購入して感覚を更新していこうと思う