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【2分文学集】むかしばなし『りんたろうとさくたろう』


ある村に、自信のないりんたろうという男がいた。

その村では、年に一度
誰が一番力持ちか、競うお祭りがあった。

一番のものは、みなにわんさわんさとかつぎあげられ、勝利をたたえられた。
りんたろうは、一番じゃぁなかった。
それで、こう言った。
「ふん、大したことない、こんなちっさな村で一番になったって、上には上がいる。」

そりゃぁそうだ。そのとおり。

この村では誰が一番かけっこが早いか、競うお祭りもあった。
一番のものは、さくたろうといって、
みなにほれほれとお祝いされ、お祭りの舞台で踊った。

りんたろうは、一番じゃぁないし、そもそも走るのも苦手だった。
それでこういった。
「ふん、大したこともない、走るのが早いからってなんの役にもたたねぇ。それに、こんなちっさな村で一番で調子にのっとる。もっと早いやつらはいっくらでもおる。」

一番のものは、
それを聞いてこういうた。
「それなら、近隣中の村々で大きなかっけこ競争をしよう。」
男は、はやぶさのように近隣を周り、
本当にかけっこ大会をすることとなった。

さぁ村のものたちは、幾つもの村々との催しを楽しみした。褒美も出し合った。
昔は、隣村のもんとも仲が良くてな、ようよう助け合った。
村々が集まる催しや祭りではそこで新しい恋も芽生えたし、
離れた家族とも久しぶりに会えて喜びが生まれた。幼い頃おんなじ時間を過ごしたもんに会ういうのは、嬉しいことや。

さて、大会の日、広場に集まったみなが興奮した大ざるみたいにわぁわだの子ザルみたいにきゃきゃだの賑わって応援した。

石ころ取り除かれた土の上20人もの脚自慢の男たちは、旋風のように走った。さくたろうも走った、走った。勇ましかったで。顔ひんまげたり歯をくいしばったりして、土をける男たち。

歓声は、ひとしお大きくなった。ゴールの注連縄は間近に近づいた。

編み込まれた縄に初めに届いたんは、だれや。やっぱりさくたろうやった。

村人も隣の村のもんたちも彼を称えて、どうかつぎをして盃をあげた。

はたからみてたりんたろうは、どうしたか?

りんたろうは、聞こえるような聞こえないような声であざ笑うように
こう言った。

「いずれ遅くなるにきまっとる。じきに落ち目になるってこっちゃ。それに3日前の晩は、大会の前ってのにわんさか騒ぎで飲んだと聞くじゃぁないか。勝ったとしてもなっとらん。」

村の親父とよばれる人がそれを聞いて言うた。

「さくたろうは、ちびっとしか飲んどらんだぞ。わまりのもんが集って応援やと楽しんだんじゃ。おめぇは、いっつもそんなこと言っとるが、おめぇは自信がないからそうなんだ、自分を認められないからほかのもんを認めらんのだ。いつもいつも、人のことさぁ、そげなことばかり言うとる。嫁はんこんのもしゃぁないわ。嫁はんきても一目散ににげちまうぞ。さくたろうより早いかもしれんな。」

村人に笑いがどっとわいた。そのころは、よめはんいうてもいやならけっこう自由に離縁できたし再婚ちゅうもんも滑らかにおこった。

「役に立たんこともねぇ。さくたろうのお陰で、妹がばばの死に目に会うことできた。さくたろうが隣村までよんでくれたでな。」

「この間の林の火事んときも村中に早い脚で知らせてくれたに。」
すると、さくたろうが言った。
「役たっとるんならほんま嬉しい。
じゃけん、
おらも満タンの自信なんてありはしねぇ。おらも自信はねぇ。」
なんとさくたろうも自信のない男やった。さくたろうは続けた。

「だからさ走るんじゃ。おらは、夕に畑仕事が終わったあと、村のまわりを走るんじゃ。
走るのはしんどいが好きなんじゃき。土を蹴りぜぇぜぇはぁはぁいう。全身の筋肉に力がみなぎる。血が体中を巡る。景色がどんどん変わる。
すると心配事やら不安やらがふっとぶんで、快活だけが血といっしょに身をかけめぐるんじゃ。」

りんたろうは、どういうたと思う?
「うわぁ、日々無駄な汗流してあほやのう。」

村のもんはどう思ったって?

みなさまはどお思われましたか?

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自信のない二人の男のお話でした。

オリンピックの選手のみなさまお疲れ様でしたー。こうしているまにも次の前進に向けて、鍛錬を始めたり、前向きな選択へと果敢に進む選手の方々たくさんなのだと思います。

一滴ほどでも見習って、前進していきたいと思います🐾

目を通して頂きありがとうございました♡



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