11月14日 魂の救済。
さて、遊園地ライブを逃し絶望した翌朝。
かくもスッキリせずに苛立っていた。
しかしこの日はネタ合わせ。
前回の舞台の反省点を活かして改造した。
不思議と彼女の事は考えずに集中していた。
昼、松屋を食った。
牛丼界隈で1番米が美味いと信頼している店だ。
肉のジャンキーさはすき家に部がある。
正直どっちでも良い。
とにかく美味い事は確かだ。
相方は紅生姜ジャンキーだ。
相容れない存在である。
しかし私から歩み寄った。
紅生姜をかけてみたのだ。
結果、理解できなかった。
全然美味しくない。
紅生姜不味い。
この日ばかりはアクリル板がベルリンの壁のように私達を隔てていた。
壊す気のないベルリンの壁。
苔がむし、カタツムリが這うことだろう。
飲食店なのにそれはまずい。
こんな事では魂は救われない。
相方に魂を救われるようならおしまいである。
そう、彼女だ。
この日はナイトクラブでのライブがあった。
廊下が赤ピンクで怖い。
ここでもまた紅色が邪魔をする。
ビビってトイレに逃げようとした。
「そっち女トイレですよ」
その一声が私の足を止めた。
「捕まっちゃいますよ」
分かっている。見えないのだ。
トイレの看板が赤く染まって区別がつかないのだ。
分かって欲しい。
追い討ちをかけないで欲しい。
ライブ会場はとても狭い。
最前の柵からステージまで10cm程度だ。
その気になれば演者を触れるような距離である。
この日はトップバッター。
昨日の絶望により陰鬱な気分で最前にいた。
最前交渉をわざわざして最前にいる。
ちゃっかりしているのである。
そうして現れた彼女。
女神だった。
以前から見たい見たいとリクエストしていた。
その度に他に邪魔をされ見ることのできなかった。
そう、ポニーテールである。
その瞬間の高まりと言ったらもう。
脊髄注射でアルコールをぶち込まれたかのような。
脳内から溢れ出る好きという感情。
ホルモンよりも早く分泌され体内に行き渡る。
そう、メロメロである。
こんなに嬉しい事はない。
こんなに嬉しい事はない。
ちょっと待って、こんなに嬉しい事はない。
ほんとにもうそれはライブを楽しんだ。
そんな中、真の救済が訪れた。
彼女はライブ終わりに基本的に振り向く事は無く、しれーっとはけていく。この理由を考察すると、彼女はレスを全員に振り撒く事を意識しているからだ。みんなに手を振るわけではなく、みんな平等になるように帰りはレスせずすぐ捌けるのだろう。
私は勿論、挨拶後はずっと彼女を見続けて指を刺している。
だからこそこの考察に辿り着いた。
しかしだ、しかしなのだ。
なんか彼女が振り向いたんよ。
振り向いてうちに指差してきたんよ。
え!?まっ!??
まっ!???
あかんやで。
犯罪なんよ。
救済である。
これまでの思いが全て綺麗に昇華された。
脳内麻薬の花火が打ち上がった。
打ち上げ花火下から見るか横から見るか。
答えは目の前だ。
バチバチに弾けた。
バチバチって言ったかもしれない。
大好き。
この日の救済は止まらない。
チェキでも事件が起きた。
実は前日、友達にチェキを代行してもらった。
「今日来れないあいつを煽り散らかして、最後だけデレてあげて。」
そう頼んでおいた。
受け取った時、遊園地が思っていた以上に楽しそうだったから、気が気じゃなく素直に笑えなかった。自分から頼んでおいて酷い有様だ。
そのチェキを手に白目剥いて彼女と撮影した。
「今日のポニテ最高!!」
「昨日楽しそうだったなー」
そんな事を言いながら時間が過ぎていった。
正直私も参っていたので、あまり覚えていない。
そろそろ終わりかな、そんな間際。
「○○○」
!?!?!?
呼ばれた、彼女にこう呼んで欲しいと伝えていたあだ名を。
首が一周回らんばかりの勢いで振り向いた。
そのあまりの速度に頭部が置いてかれ、ろくろっ首にならんかのような勢いだ。
体の反射に思考が追いつかず唖然としていた。
「そんなに嬉しいの?」
「うん」
やっと声が出た。
「やっと自分から私の名前を呼んでくれた。」
「ずっといつ呼ぼうか迷ってた!」
「おーーーい!!」
だとしたらタイミングの天才だ。
私には微塵もない才能を彼女は持っている。
きっと私は世界で1番笑顔だっただろう。
この日の私はひまわりだ。
彼女は水あげる人。
こんなにだらしのない例えがかつてあっただろうか。
ポニテにあてられてチェキ2周目をした。
そこでもまた名前を呼ばれた。
また首がえらい事になった。
「嬉しい?」
「ここから離れたく無くなる」
「ギャッハッハ」
最高。
脳みそが蕩けた。
いまでこそ蟹味噌の気持ちがわかる。
頭割ってお湯でといて彼女に飲んで欲しい。
私の好きという味を食レポして欲しい。
多分茹でたコーラぐらい甘くベタついてる。
出会ったその日に彼女に落ちた私。
出会えなかった次の日に落とされた私。
ちょろ過ぎて久しぶりに私を好きになれた。
ありがとな。
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