夢(2020年5月18日、夜明け前)
家の中で、わたしが普段いる部屋に行ったら、入口のドアが閉まってて、その前の廊下に、紙が何枚も散らばっていた。見ると、「ブヨ」「クズ」「出ていけ」とかの字が書いてあった。とにかく、わたしに敵意を持ってる誰かがやったんだろうと確信した。その「誰か」が集団なのは、わたしには明らかだった。
ドアを開けて、部屋に入った。わたしが以前、作って奥に飾っておいた、折り紙のウグイスが壊されていた。少し悲しい気持ちになった後、まあいいや、って考えて、あきらめた。
部屋から出ると、突然、何者かに襲われた。誰なのかは暗くて分からない。でも、男なのは間違いなくて、頑丈そうな大きいナイフを手に持っていた。男が「セイスイ」という言葉を口にした。セイスイ……聖水? いったい、どんな意味なんだろう。他にも何か言ってたけど、聞きとれなかった。そのうちに、男はどこかに姿を消した。ケガをせずにすんで、よかった。
いつのまにか、わたしの両手には細長い空気銃が握られていた。ちょっと頼りないけど、素手よりはマシなはず。
また別の誰かの影が出てきた。わたしは、とっさに相手を空気銃で撃った。影は、この家を所有する、杯だった。杯は「弾が当たった」と、豆みたいに小さく縮んだ目を、こちらの顔のすぐそばに近づけた。たたでさえ何度か修理した目なのに……。そんなふうに不憫に感じながらも、杯が建てたこの家しか生きる場所がない自分の境遇をふっと思い出して、杯に対する憎しみが湧き起こった。
後で、杯の寝室に様子を見にいった。杯はベッドに横になって、外に山が広がる、近くの窓のほうを向いたまま、背後にいるわたしに「だいじょうぶ」と言った。
しばらくして、二人のおじさんが現われた。二人は文字どおり声をそろえて、どちらかが、さっき、わたしを襲った男なんだと説明した。
片方のおじさんは、いつかどこかで見た気がする、四角くて隅が丸い顔に、メガネをかけていた。この人は、明日、わたしと会うことが運命で決まってるんだって話してた。もう一方のおじさんは、身体が樫の木でできた種族の出身で、同胞たちと外部をつなぐ役目をはたしているらしい。
わたしと杯と二人のおじさんは、玄関の前に出た。それぞれが立ってる場所を線で結ぶと、正方形ができる。そのうち、メガネのおじさんが一歩後ろに下がって、例のナイフを持った男は自分だと宣言した。わたしは、おじさんの前髪がなんだか気になってしかたがなかった。