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実は難しかった「間接税」

「間接税」と聞くとどんな税金を思い浮かべるだろうか。
何かを買ったり利用した時に代金と一緒に提供者に「預ける」税金で、「預かった」提供者が国や地方自治体に納める税金…と思ってないだろうか。
筆者はずっとそう思っていた。だがそれは間違っていた。
(文責: 城崎裕一)


「間接税」ってどんな税金??

みんなの思う「間接税」

「間接税」というと物やサービスを買ったり利用した時に、代金と共に提供者に「預け」提供者が国や地方自治体に「納める」税金だ、と思っている人が多いと思う。
だが、それは間違い。
「間接税」とは「税額分を買い手に転嫁する」税金であって「買い手から預かる税金」ではないのである。

間接税は「転嫁」される税金

間接税は「租税法」の分野で次のように定義されている。
「間接税とは納税義務者と担税者が異なる税金のこと」であると。
つまり納税義務者が担税者に「転嫁」することを法的に予定されている税金のことを「間接税」と呼ぶのだ。
「納税義務者」というのは国や地方自治体(租税債権者)によって租税という「負債」を負わされる人のことで「租税債務者」とも言う。
「担税者」というのは実際に税額分の金銭的負担を負う人のこと。
ここで気をつけないといけないのは「担税者」は法律上、単なる「納税義務者の取引相手」に過ぎず、何らの「租税法律関係」にはないということ。つまり「担税者」が支払う「間接税額相当分」の金銭は「税金ではない」ということ。

間接税は「預かり金」ではない〜「転嫁」の意味

ならば「担税者」が支払う税額相当分の金銭は何なのか??
それは「価格の一部」である
消費税を例にとると、売り手が売上げ5,000円欲しいケーキに8%の消費税額相当金額を「転嫁」して5,400円で売ったとすれば買い手にとってその5,400円が丸ごと「そのケーキの値段」なのである。
たとえレシートに「消費税8% 400円」と書かれていたとしても。
「俺は消費税なんか負担しねえぞ!! 5,000円しか出さぁん!!」と主張しても「5,000円しか出さなければ5,400円の商品は買えません」となる。
「売値に上乗せされ、一体で不可分な〈価格〉となる」、これが「転嫁」の意味である。

消費税は「間接税」だが「預かり金」ではない

ここまでに見た「間接税」の定義「法律上、納税義務者が負担しないで取引相手が負担することを予定している租税」に照らしてみると消費税は「間接税」である。
しかし、前章で述べたように一般の常識的な感覚に反して「間接税」は「預かり金」ではない
従って、消費税は預かり金ではないのである。

おまけ・なぜ間接税が「預かり金」ではないのかについての一考察

じゃ、なんでそんな妙なことになっているのか??
と思わないだろうか。筆者は思った。
で考えてみたのだが、これは「二重課税」の謗りを免れるためではないだろうか。
例えば酒。酒の製造者には「酒税」がかかる。
そしてその酒税は製造者から買い付ける買い手に「転嫁」される。つまり買い手が「担税者」になる「間接税」だ。
そしてさらに「消費税」もかかる。この消費税は「酒税込み」の「価格」に対して10%課税される。
ここでもし、「間接税は預かり金」ということになっていると「買い手が支払った酒税相当額」は「税金」という扱いになり、消費税の一部は「酒税に対してかけられた税金」ということになってしまう。税金に税金をかける「二重課税」だ。
それを避けるには転嫁されて買い手が支払った「税額相当分」を「税金ではない」ことにしなければならない。つまり間接税も含めた支払額が丸ごと「価格」であると。
それで「担税者はただの〈納税義務者の取引相手〉に過ぎず、間接税に関しては何の法的立場も持たない、つまり〈租税法律関係〉がない存在である」ことになっているのではなかろうか。

参考文献

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城崎裕一(遊楽庵)
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