最低で最高だった頃
君にとって僕はもうその程度の存在なんだね。時々、最低で最高だった頃を思い出す。私が振り返ってしまう時もあれば、ツイートをみて思い出に浸ってしまうこともある。
「アニメのキャラスタンプを買って、なんでこのアニメ好きになったんだっけって考えてたら、あぁってなった。」
好きだった人がそうツイートしてるのを見かけた。そのアニメ、そのキャラ私が好きで、ハマって、何回も一緒にみて、あの子飼いたい私も欲しいって叶いもしない今思うと馬鹿らしいことをずっと話していた記憶が蘇った。
私たちは付き合っていなかった。付き合えなかったが正しいし、付き合う勇気もなかった。私たちの関係に名前なんて付けれなかった。世間ではセフレと呼ばれるのかもしれないけど、確かにそこにお互いの恋愛感情はあった。でもずっと、どちらかが好きと伝えても、何となく話を逸らしてしまっていた。
初めてしまえば終わりが来てしまう気がする。よくそういった話をして、付き合いたいとは思っていないと相手に伝えていた。
本音はどうだっただろうか。独り占めしたかったし、私は彼の物だと胸を張れることを望んでいた。2人の関係にお付き合いという口約束でできる、カップルという名前が欲しかった。喉から手が出るほど憧れていた。でも、そうなれない。そうなるべきではないと心にセーブをかけていた。仕方なかった、付き合ったとしても私は彼を受け止め切る自信なんてなかった。私だけの彼になる瞬間もあれば、彼はみんなのもの私以上に彼には熱狂的なファンがいたから。
彼は違った。2人の関係に名前を付けようとするくせに、ゆらぎちゃんはお付き合いしましょうっていう口約束で満足するの?名前がついてるか付かないかで僕たちの関係は変わるのかな。と矛盾した問いかけをしてきていた。彼は口が上手かった。ことばが綺麗に聞こえた。彼の話すことには、なんだが全て納得したくなる私があの時あの場所には居た。
あの頃なんて答えるのが正解だったのか、未だに私は分からない。あの頃に戻りたいと思うわけではないが、いつも思い出すとあの時の正解を探してしまう。
一方的に私から会わなくなり、相手にある言葉を言わせて終わった私たちの関係はきっと不完全燃焼している。君にとって僕はもうその程度の存在なんだね。そうラインの通知が来た時のことを今でも鮮明に覚えている。
時折、彼のツイッターをみると彼も思い出に浸っているのを見かける。私は今もなお、少しの罪悪感を抱えている。仕返しがしたかった自分と、実際にはわかり合いたかったと願っていた私。でももう、自ら会うことはないだろう。変わり者の彼を悲しませたくない。変わり者の彼を裏切りたくない。そう思う私は、きっともう変わり者の彼が大切なんだろう。私にお付き合いの良さを教えてくれている彼のことが。
あの頃、嫌だった記憶も、今では少し美化されていい思い出ばかりになった。あの時泣いた私も、教えてもらったアニメが好きだった私も全部大切な私の一部になっている。時が流れるといい思い出しか残らない。人間上手くできたもんだ。そりゃ、少し罪悪感が残ったままの私は、彼を思い出してはなんとも言い難い感情になるわけだ。
また、なんの話をしていたのか分からなくなった。私の悪い癖で、残したいことが次々へと出てきてはとっ散らかる。今日はこの辺で終わろう。
彼の中に私が消えていないことの優越感に浸りながら、変わり者の彼の腕の中で今日も眠る。
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