「言葉のいのち」
眠れない夜。
ふと思う。
「言葉にはいのちがあるんじゃないか」と。
物書きと称して、
自分勝手に
詩や小説を描いていた頃。
言葉が浮かんでくるのは
決まって夜遅く。
だから、
もちろん眠くなってくる。
だけど、言葉のいのちは
形にしないと
消えてしまう。
だから、懸命に睡魔と戦いながらも…
惨敗してしまう。
朝になって、後悔する。
「やっちゃったな…」
スマホのモニターを見るのも、
心が重い。
そんなとき、モニターには
「保存完了」
の文字が。
寝る直前に書いた言葉は
朝読むと、
まるで全く違う言葉に感じる。
記憶が曖昧だからだ。
でも、その言葉のいのちを
落としたくなくて
形にした自分に、
愛おしささえ感じる。
だから、
夜に書いた言葉は
読み返さない。
よっぽど、誤字脱字が多ければ
修正は必要だけれど
言葉のいのちは、
言葉が生まれてはじめて
いのちになるから。
そのときに、言葉として
生まれたかったのなら
物書きとして、
そのいのちを守りたい。
そう思ってきた。
言葉のいのちは、
儚く、重く、愛おしい。
だから、大切な気持ちは
言葉にしなければ
届かない。
だから、今。
私は言葉のいのちを生み出しているのだ。