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深海の魚

私は目が悪い。


普段はコンタクトをしているけれど、

外してしまうと視力は0.03。

ほぼ、何も見えない。


ある日、友だちが

おもむろに私に聞いた。


「目が悪いって、やっぱり水の中にいるような感じなの?そう聞いたことがあるんだけど…」


彼女は視力がいいため、

よく見えない、というのがどんな感じか

興味があったという。


見えないことへの

興味。

誰だって、知らないことに

興味を持つものだけど

実際には体験してみないと

何もわからない。


友達の言葉を聞いて

私は深海の魚に

想いを馳せてみた。

彼らはどんな風に、

太陽を感じるのだろう。

月は見えるのだろうか、

船の影は?

そんなことを気にもとめず

静かに自分の運命に身を任せて

漂っている。


ともすれば、

自分らしさとは

こういうことなのかもしれない。

置かれた場所で咲きなさい、という

有名な言葉があるけれど

深海の魚は、

やっぱりイルカにはなれなくて

いかに自分の置かれた環境で

幸せに生きれるかが重要なんだろう。

(きっと深海の魚は、そんなこと考えたりはしないけれど)


変わらない幸せなど、

どこにもないけれど

今のままの自分を受け入れて

自分なりの幸せを見つけたい。

だから、友達には

こう答えた。


「ぼんやり見える曖昧さは、水の中に似てるかもね」

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