【解説】1枚初動から特殊勝利!《毒蛇神ヴェノミナーガ》擬似ワンキル
1.はじめに
1-1.筆者について
はじめまして。ゆらゆら(@yura_owl)と申します。特に何か実績があるわけでもない一般YPです。普段はCS等に出ることもなく、身内でひっそりと遊戯王を楽しんでいます。所謂カジュアル勢・ファンデッカーです。
私のフェイバリットカードは、この記事のタイトルにも入っていますが、《毒蛇神ヴェノミナーガ》です。友人に誘われ近所の駄菓子屋で「TACTICAL EVOLUTION」を開封したあの日からずっと、このカードの虜です。カード詳細については後程触れますが、このやたらと手のかかる相棒のおかげで、(実用性のない)展開ルートを考えることが好きになりました。例えば「先攻1ターン目蛇神降臨」とか、そんなデッキばかり考えています。
この度、せっかく考えた展開ルートを自分の中だけにしまっておくのはもったいないかな〜と思い、ここに書き留めている次第です。初めての試み故、読みにくい文章となるかもしれませんが、ご容赦くださいませ。
1-2.紹介する内容について
今回紹介するのはタイトル通り、ヴェノミナーガの効果による特殊勝利ワンキルルートになります。簡単にルートだけ紹介しても良かったのですが、意外とヴェノミナーガについて解説している記事が少ないようなので、その特殊勝利の難しさと、どうすれば相手に依存せずに特殊勝利が可能かを説明しながら、採用カードを説明していく流れにしたいと思います。ルートだけ見たいよ、って方は4.展開ルートまで飛ばしてください。
2.《毒蛇神ヴェノミナーガ》について
そもそも皆様《毒蛇神ヴェノミナーガ》のことはどれくらいご存知でしょうか?直近ですと、遊戯王マスターデュエルにて2023年3月31日から4月3日まで開催された「デュエルトライアル3」のレンタルデッキのテーマの1つに選ばれており、まだまだ遊戯王において数の少ない「完全耐性」と「特殊勝利効果」を有することから、使用したことはなくてもご存じの方は多いかと思います。魅力を語りだすと止まらなくなるので、今回はあくまで、このカードで特殊勝利することの難しさに焦点を当てていきます。
まずは、今一度その効果を確認しておきましょう。
テキストが非常に長いことで有名なこのカードですが、おおまかには以下の6つの効果に分割できます。特殊勝利を目指す上で問題になるのは、①②③⑤です。以下、それぞれご紹介します。
2-1.召喚条件の厳しさ(①)
《毒蛇神ヴェノミナーガ》の召喚条件となっている《蛇神降臨》は、自分フィールドの《毒蛇王ヴェノミノン》が戦闘以外で破壊された時に手札・デッキからヴェノミナーガを特殊召喚する通常罠カードです。
一見するとシンプルな条件で、登場するカードも少ないため、そんなに難しくなさそうに見えます。しかし、「他のモンスターの効果で特殊召喚出来ないヴェノミノンをフィールドに出す手段」「まともなサーチ手段がない蛇神降臨をセットする手段」「破壊した後に処理を挟まないでヴェノミノンを破壊する手段」の3つが必要と考えると、これが思った以上に大変です。幸い、ヴェノミノンはフィールド上ならどこから破壊されても構わないため、上記先攻1ターン目蛇神降臨ルートのように、《セリオンズ"エンプレス"アラシア》でヴェノミノンを装備カードとして装備する、といった抜け穴はありますが、どんな手段でも準備に一苦労を要するのは変わりません。特殊勝利までコンボに含めるためには、必要最低限のギミックで蛇神降臨を達成したいところです。
2-2.高い決定力と特殊勝利条件のミスマッチ(②及び⑤)
墓地の爬虫類族×500ポイント攻撃力の上がるヴェノミナーガは、墓地肥やしを得意とする爬虫類族を活用して特殊召喚した暁には容易くATK4000を超え、ほとんどの相手モンスターを戦闘破壊できるでしょう。相手の場がガラ空きならば、一撃で相手のライフを大きく削り、フィニッシャーとして申し分無い働きをします。
しかし、特殊勝利を狙い始めた途端に、この打点の高さが仇となります。ヴェノミナーガの特殊勝利条件は、「相手に3回ダメージを与えること」ですが、高打点のモンスターが相手フィールドにいる時に、無防備な攻撃表示モンスターを召喚してくれる人はいません。ヴェノミナーガが対峙すのは、ほとんどの場合守備表示のモンスターであり、当然、戦闘ダメージは与えられません。守備モンスターを他のカードで蹴散らした後、ヴェノミナーガで直接攻撃すれば、ダメージは与えられますが……特殊勝利を狙うには、一般決闘者のライフは貧弱すぎます。
要するに、「3回ダメージを与えられるなら殴り倒せてしまう」ということですね。
2-3.自分のサポートも受けない耐性(③)
戦闘を介して発動する特徴から、ハイパーヴェノムカウンターを1ターンで3つ乗せるために考えられる方法としては、「複数回攻撃」「攻撃の強制」が考えられます。しかし、ヴェノミナーガを象徴する、神をも凌ぐ効果への耐性が、これらのアイデアの実現を困難にしています。
「複数回攻撃」に関しては、それを付与できる《EMカレイドスコーピオン》等の効果を受けないことから、不可能と言って良いでしょう。そのため、今回は「攻撃の強制」を活用していくのですが、効果の対象にならないことから《仁王立ち》等の攻撃誘導を利用できず、少し工夫が必要です。
以上の問題点を踏まえて、特殊勝利を達成するために必要な要素を洗い出していきましょう。
3.特殊勝利を目指して
毒蛇神ヴェノミナーガによる特殊勝利を達成するためには、以下の要素が求められます。
3-1.毒蛇神ヴェノミナーガの特殊召喚
先程説明したように、ヴェノミナーガを特殊召喚するためには「ヴェノミノンをフィールドに出す手段」「蛇神降臨をセットする手段」「ヴェノミノンを破壊する手段」の3つが必要です。しかし、2023年1月14日発売の「CYBERSTORM ACCESS」で登場したあるカードが、蛇神降臨界隈に革命を起こしました。それが、《トラップトラック》です。
このカードは「破壊」と「セット」が同時であるおかげで、ヴェノミノンを破壊し蛇神降臨セット→「フィールドのヴェノミノンが破壊された」タイミングのためそのまま蛇神降臨発動、という夢のような動きが可能です。「蛇神降臨をセットする手段」「ヴェノミノンを破壊する手段」をまとめて「トラップトラックのサーチ」に置き換えるわけですから、使わない手はありません。では、トラップトラックをどうサーチするかですが、今回は一度墓地へ落として回収を狙います。回収手段は、モンスターの頭数を揃えるだけで良い《トロイメア・グリフォン》がお手軽です。
墓地へ送る手段として扱いやすいのは、《ワルキューレ・フュンフト》でしょう。《ワルキューレ・セクスト》の①でフュンフトを特殊召喚すれば、そのままトラップトラックを墓地へ送ることができます。
では、セクストを特殊召喚するには?となれば、別途リリース手段が必要にはなりますが、やはり《宣告者の神巫》が便利ですね。①の効果も強力ですし、使わない手はありません。
整理すると、「ヴェノミノンの破壊手段」「蛇神降臨を用意する手段」⇔「《宣告者の神巫》とそれをリリースする手段の用意」とかなりシンプルに置き換えられました。
後はヴェノミノンをフィールドに用意するだけですが、これは爬虫類族のパワーを活かします。任意の星4×3と任意のモンスターから、以下の手順でヴェノミノンを用意できます。
少し遠回りで要求されるカードの枚数も多いですが、使用する爬虫類族の枚数を減らすことで、デッキをコンパクトにしつつ最終的なヴェノミナーガの攻撃力を最低限(ATK2500)に抑えられるのがこのルートのメリットです。
以上で、蛇神降臨の準備は整いました。
3-2.攻撃させるモンスターの送り付け
次に考えるべきは、特殊勝利のための贄、ヴェノミナーガに攻撃を仕掛けるモンスターをどのように相手フィールドに送り付けるか、です。最も簡単なのは、相手フィールドに3体以上のトークンを生成することです。ただし、先述した通り、戦闘ダメージで勝利してしまっては意味がないので、そこそこの打点が求められます。加えて、《トラップトラック》の用意で汎用的な魔法・罠のサーチ手段を消費していますから、こちらはモンスターか、魔法・罠なら他のサーチ手段がある、すなわち何らかのカテゴリに属しているカードが望ましいです。まさか、そんな都合の良いカードがあるのか…?
はい、ありました。アニメ「遊戯王5D's」において何度もジャック・アトラスの窮地を救った《ナイトメア・デーモンズ》です。
・「デーモン」カードなので、《トリック・デーモン》でサーチ可能
・攻撃表示で特殊召喚するので、表示形式を変更する手間がない
・ATK2000という絶妙なステータスにより、3体でATK2500のヴェノミナーガを攻撃してもLPが0にならない
と、至れり尽くせりのカードです。サーチ手段である《トリック・デーモン》は効果で墓地へ送る必要がありますが、今回はリンク4の《トロイメア・グリフォン》に繋げやすい《ライトロード・ドミニオン キュリオス》を使うことにします。
尚、キュリオスは強制効果の②がコンボパーツを墓地に落としてしまう可能性がある厄介なモンスターですが、ここで輝くのが先ほど紹介した《宣告者の神巫》。①の効果で《宿神像ケルドウ》または《剣神官ムドラ》を落とすことで、事故を回避可能です。
3-3.相手への攻撃強制
これはかなり色々な手段があります。最も手軽なのは、《源竜星-ボウテンコウ》で《竜星の極み》をサーチすることでしょうか。ただ今回は、ルート構築上非常に自然な流れで出せる、《No.2 蚊学忍者シャドー・モスキート》をご紹介します。
このカードの優れている点は、「ナンバーズ」であること。これにより、ルートの中で墓地に星2を2体落としておけば、星4×2から《銀河光子竜》(→《フォトン・ジャンパー》)→《最後の希望》と繋げることで、墓地リソースを利用して特殊召喚できます。先程紹介したように、トラップトラックを用意するために星2の宣告者の神巫とフュンフトを使用し、ヴェノミノンを用意する流れで任意のランク4を作るため、無駄がありません。
3-4.メインフェイズ1のスキップ
「攻撃可能なモンスターは攻撃しなければならない」効果が適用されていて、攻撃表示モンスターが存在する場合、相手は必ずバトルフェイズに入る必要があります。《No.2 蚊学忍者シャドー・モスキート》がいる状態で《ナイトメア・デーモンズ》を発動すれば、一旦、その状況を作ることができますが、現代遊戯王において使用方法に何の縛りもないトークンを3体送り付けても、なんらかの素材に使われてしまうのがオチです。バトルフェイズを強制するためにはもう一手、メインフェイズ1スキップが必要です。
今回は手軽なメインフェイズ1スキップとして悪名高い《燃え竹光》を使用します。
サーチ手段である《妖刀竹光》と合わせて、しばしば《聖騎士の追想 イゾルデ》と共に悪さをするこのカードですが、実は《パワー・ツール・ブレイバー・ドラゴン》を出すだけでもメインフェイズ1スキップが可能です。ブレイバーに《妖刀竹光》《真刀竹光》を装備し、真刀効果で妖刀をもう1枚装備、ブレイバーを墓地へ送れば、妖刀2枚の効果で《燃え竹光》と任意の「竹光」カードをサーチできます。
【2023年11月18日追記】
妖刀竹光の②が先攻1ターン目に発動可能と裁定が変更されたので、《妖刀》《真刀》を装備して《真刀》をバウンスすれば、《妖刀》と《真刀》の枚数を1枚ずつ減らした上で同じ動きが可能です。。
これで、スタンバイフェイズに《ナイトメア・デーモンズ》を発動することで、相手はバトルフェイズに入り、「ナイトメア・デーモン・トークン」で攻撃するしかなくなりました。
3-5.ヴェノミナーガへの攻撃誘導
攻撃を強制できても、ヴェノミナーガ以外のモンスターがいるならば、相手はそれを攻撃すればなんの問題もありません。特殊勝利のためには、なんとかして攻撃対象をヴェノミナーガに限定する必要があります。もちろん、ヴェノミナーガ以外を全て破壊するのも一つの手ですが、せっかくソリティアするなら、オシャレに攻撃の誘導がしたい、そうは思いませんか?
……まぁ、もはやこの辺りは私個人の趣味の領域なんですが、最後のキーカードとして、《闘神の虚像》をご紹介させてくださいませ。
このカードの①を利用することで、攻撃対象をヴェノミナーガに限定することができます。リンク素材、効果の発動条件に「VS」モンスターを要求していますが、先程メインフェイズ1スキップで活躍した《パワー・ツール・ブレイバー・ドラゴン》で《『焔聖剣-デュランダル』》を装備することで、戦士族・炎属性である《VS ラゼン》をサーチできるため、問題なく用意できます。また、ラゼンからサーチできる《VS Dr.マッドラヴ》は星4のため、ランク4を作る際に活用できます。
3-6.ここまでのまとめ
以上、全てのキーカードが揃いました。必要な要素をまとめると、以下の4項目になり、随分とシンプルになったように感じますね。
後は、これらを一つのルートに押し込める、最強の1枚初動を模索します。ここは正直、色々な初動を総当たりで検討しました。
結論としては、サーチしやすさとデッキのゴミの少なさから、《フォーマッド・スキッパー》を選びました。《スケアクロー・ライトハート》との組み合わせで、大量のレベル4を展開することができます。そこから《斬機サーキュラー》や《ヴィサス=アムリターラ》といった展開力の高いパワーカードを活用して、盤面を作り上げます。
さぁ、宇宙を創造しましょう。
4.展開ルート
それでは、展開ルートをご紹介します。
一応注意点として、「相手の妨害(手札誘発等)は無い」ことを前提としています。流石にね。
まずは動画をご覧くださいませ。
文字起こしバージョンはこちらに。
以下、簡略化のため次のように言い換えます。
・通常召喚→ns
・特殊召喚→ss
・効果(発動)→ef
また、一度登場したカード名は適宜省略します。
というわけで、以上が1枚初動から毒蛇神ヴェノミナーガで特殊勝利するルートになります。ルートの中で筆者自身が気に入っているところは、神巫ケルドウによるキュリオス事故ケアと、突然始まるVS展開です。
尚、デッキとして纏める場合、《サイバネット・マイニング》《ピリ・レイスの地図》《ワン・フォー・ワン》を積んで死ぬ気でスキッパーにアクセスする形になります。
5.おわりに
ここまで長々とお付き合い頂き、ありがとうございました。「ヴェノミナーガによる特殊勝利」は自分の中で一つの目標で、完成した日には一人祝杯を挙げました。このnoteから、その喜びを少しでも感じていただけたら幸いです。
ちなみに、宣告者の神巫で落とすモンスターを虹光の宣告者にすると、別のアプローチでワンキルできます。また、イゾルデ初動のルートも一応あります。暇な人は考えてみてはいかがでしょうか。
では、全国5000万人のヴェノミナーガ使いの皆様の益々のご発展をお祈りして、結びの言葉とさせていただきます。