#3 【革命】中国DeepSeekの登場によりAI業界やAIソフト業界が加速する(前編)
※当記事はVoicyの通常放送#1002(2025年1月29日放送)を再構成したものです。
https://voicy.jp/channel/1911/6397354
どうも、ゆうパパです☺️
今回は、中国発のAIスタートアップ「DeepSeek」の登場により、AI業界がどのように変わっていくのか、前編では特にAI業界全体への影響について解説していきたいと思います。
それでは早速、いってみまーしょうっ!
DeepSeekとは?
最近、AI業界で大きな話題となっているDeepSeekは、2024年5月に中国人の天才企業家が創業したAIスタートアップです。
この会社が注目を集めている理由は、わずか約8億円という比較的少額の開発費で、ChatGPT-4レベルの性能を持つ大規模言語モデル(LLM)を開発したことにあります。
これまでAI業界の最先端を走っていたのは、OpenAI(ChatGPT)やGoogle(Gemini)といったアメリカの巨大テック企業でした。
彼らは巨額の投資と最先端のチップを独占することで優位性を保ってきました。
特に、OpenAIやGoogleは、最新のNVIDIA製GPUを大量に購入し、強力な計算能力を確保することで、他社の追随を許さない地位を築いてきたのです。
実際、これまでの大規模言語モデルの開発には、数千億円規模の投資が必要と言われてきました。
その理由は、モデルの学習に必要な大量のGPUの調達コスト、莫大な電力消費、そして優秀なAI研究者の人件費などが高額になるためです。
しかし、DeepSeekの登場により、この常識が覆されようとしています。
高性能なAIモデルの開発には必ずしも最新のGPUや巨額の投資が必要ではないという新たな可能性を示したのです。
業界への衝撃と市場の反応
DeepSeekの特筆すべき点は以下の3つです。
大幅なコスト削減の実現
従来の開発費用の数分の一でのAIモデル開発
運用コストの削減可能性
中小企業でも導入しやすい価格帯の実現
効率的な学習アルゴリズムの採用による学習時間の短縮
オープンソースでの提供
誰でも利用可能な開発環境
コミュニティによる改善や発展の可能性
技術の民主化促進
企業独自のカスタマイズが可能
最新のNVIDIAチップを使用せずに高性能を実現
ダウングレード版のH800チップでの動作
効率的なモデル設計
電力消費の最適化
既存のインフラでの運用可能性
この発表により、株式市場では大きな動きが起こりました。
NVIDIAの株価が1日で17%も下落し、Broadcomも14%以上下げるなど、半導体関連企業に大きな影響が出ています。
さらに、AI開発に巨額投資をしているMicrosoftやAlphabet、AI関連の電力インフラ企業なども株価が下落しました。
特に注目すべきは、この株価下落が単なる一時的な反応ではなく、AI業界の構造的な変化を市場が織り込み始めた可能性を示唆している点です。
これまで「AI開発には巨額投資が必要」という前提で成り立っていたビジネスモデルの再考を迫られる可能性が出てきました。
技術的特徴とその意義
DeepSeekは現在、テキストベースの生成AI(シングルモーダル)に特化しています。
ChatGPTのような画像生成や文書読み取りなどの多機能(マルチモーダル)は備えていませんが、テキスト生成に関してはChatGPT-4と同等レベルの性能を持っているとされています。
このアプローチには重要な意味があります。
AI開発において、まずテキスト処理の基盤を確立し、その後段階的に画像処理や動画処理などの機能を追加していくのが一般的です。
DeepSeekは、最も重要な基盤部分で既存の強者と互角以上の性能を実現したことになります。
特筆すべきは、以下のような技術的な特徴です。
効率的なアーキテクチャ設計
最適化された学習アルゴリズム
リソース使用の効率化
スケーラビリティの確保
低レイテンシーでの応答性能
これらの特徴により、従来のモデルと比較して、より少ないリソースで高い性能を実現しています。
今後のAI業界の展望
僕はDeepSeekの登場により、AI業界は新たなフェーズに入ったと考えています。
これまでの展開を振り返ると…
第1フェーズ:半導体メーカーの台頭
NVIDIAを筆頭とする半導体メーカーの急成長
AI用チップの開発競争
インフラ整備の時期
巨額な設備投資の必要性
第2フェーズ:ソフトウェアサービスの展開
ChatGPTなどの大規模言語モデルの登場
企業向けAIソリューションの開発
高額な開発・運用コストが課題
限られたプレイヤーによる寡占状態
そして今、DeepSeekの登場により、第3フェーズに突入しようとしています。
より手軽なAI開発環境の実現
中小企業でも参入可能な市場の形成
AIサービスの多様化と競争の活性化
新しいビジネスモデルの創出
既存プレイヤーの役割の再定義
技術革新の加速
市場の二極化と新たな可能性
今後のAI市場は、以下のような二極化が進むと予想されます。
プレミアムサービス
ChatGPTなどの高機能・高性能なAIサービス
多機能で信頼性の高い企業向けソリューション
月額数万円程度の高額プラン
大規模な計算リソースを活用した高度な機能
専門的なサポート体制
コンプライアンスやセキュリティの保証
2.カジュアルサービス
DeepSeekベースの手軽なAIツール
特定の用途に特化したサービス
無料~月額数千円程度の手頃な価格帯
必要最小限の機能に特化
セルフサービス型の運用
コミュニティベースのサポート
これは、スマートフォン市場でiPhone Proとカジュアルスマホが共存しているような構図です。
それぞれの市場で異なるニーズに応える形で、AIサービスの多様化が進んでいくでしょう。
今後の展望と課題
DeepSeekの登場は、AIソフトウェア開発競争の新しい幕を開けました。
高額な開発コストという参入障壁を下げることで、より多くのプレイヤーがAI開発に参入できる可能性を示したのです。
ただし、いくつかの課題も存在します。
データのプライバシーとセキュリティ
モデルの信頼性と品質保証
知的財産権の問題
規制への対応
持続可能なビジネスモデルの確立
これらの課題をクリアしながら、AI業界がどのように発展していくのか、そして具体的にどのような企業にビジネスチャンスが生まれるのか、それについては後編でお話しさせていただきます。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
まったね〜♪
※後編の記事はこちら